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681 膝へ ☆
ウチの子は抱っこが嫌いだ。抱っこすると爪を切られるか、病院へ連れていかれるかと思うのかもしれない。確かに抱っこすると、爪を切るし、病院へ連れていくことが多い。
でも、わたしは抱っこしたい。もふもふするのも夢だった。現実は厳しいが……。
そんなウチの子もわたしの膝へ乗ることがある。それは、顔回りを搔いて欲しい時だ。わたしの顔を見上げて、「さあ、搔きなさい」とばかりに顔を差し出す。わたしは当然猫の要求に応える。右に左にと搔いてあげる。そして、いつもなら嫌がるあごの下も。
普通の猫はあごの下を搔くと喜ぶと思うかもしれないが、ウチの子は違う。手をあごへ持っていくと噛まれるのだ。それが搔いて欲しい時はやってくる。やはり我が儘な猫である。




