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62 ピアス
わたしは、普段ピアスをしている。
ピアスを外すのは、お風呂に入る時だ。
わたしはお風呂に入るため、ピアスを外して、キッチンのテーブルの上に置いた。
そしてお風呂に入り、出てきた時、ピアスの片方がなかった。
犯人は、一人(一匹)しかいない。
そう、猫だ。
しかし、悪いのはわたしだ。キッチンのテーブルの上に置きっぱなしにしてしまったのだから。
いつものように、何故洗面室に置かなかったのだろう。
辺りを探したが、ピアスは見当たらない。どこか棚の下にでも入ってしまったのだろうか。
再度言う。悪いのはわたしだ。それはわかっている。
だが、どうしても猫に恨みがましい目を向けてしまう。
しかし、猫は知らん顔だ。愛くるしい顔で、わたしを見上げてくる。
現場を見たわけではないので、叱ることもできない。
でも、あのピアスは高かったのに!
たまに猫は、なくなったと思ったおもちゃで遊んでいることがある。どこかに隠すところがあるのかもしれない。
わたしは、猫がなくなったピアスで遊ぶのを待っている。




