6 寝床の奪いあい
夜になると、わたしはベッドで寝る。
同じように、猫もわたしのベッドで寝る。
夜は、ベッドで寝るものだと思っているらしい。
最近の夜は蒸し暑い。梅雨でじめじめしているせいだ。
暑いので、掛け布団をお腹の上にだけ掛けて寝る。
うとうとし始めると、猫がベッドへやってくる。
猫は、わたしの足の間に無理矢理入りこむ。
暑い。それでなくとも暑いのに、足の間に毛皮が密着しているのだ。
しかし、猫も暑いはずだ。全身毛皮を纏っているのだから。
猫の方が我慢できずに出ていくに違いない。
わたしはそう思い、我慢する。
時間だけが過ぎていく。暑い。暑いよ。
猫も我慢しているのだろうか。
何故、我慢比べをしながら寝なければいけないのか。しかし、ここで負けるのも悔しい。でも、早く寝たい。
あぁ、もう限界だ。仕方なく寝返りを打つ。
はー、涼しい。ホッとして、もう一度寝返りを打とうとする。
しかし、それは猫によって阻まれる。
猫パンチを喰らったのだ。
よく見ると、猫がベッドの真ん中で伸びている。
しかもベッドを横切るように寝ている。
やはり、猫も暑かったのだろう。
しかし、邪魔だ。寝返りが全く打てないではないか。
わたしは、手で少し猫を押してみる。
案の定、反撃に合う。猫パンチに足蹴りだ。
ここは自分の場所だと言っているようだ。
ベッドの三分の二を取られてしまった。
でも大丈夫だ。ベッドの横に、ベッドと同じ高さの出窓がある。
わたしは、出窓へ足を出し、斜めになって寝る。
仕方がない。家での序列は猫の方が上なのだ。
こうして暑い日は、猫との寝床の奪いあいに敗北している。