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55 姿見
わたしは、新しい姿見を買った。
前の姿見は、猫がぶつかり、倒れて割れてしまったのだ。
新しい姿見がウチに届いた。
大きい段ボール箱に入っている。
わたしは、梱包を解くために床に倒して置く。
すると、猫がやってきた。
そして、床に寝かせてある姿見の上に乗った。
匂いを嗅いでいるようだ。
わたしは少しずつ梱包を解いていく。
しかし、猫は動かない。
わたしは、梱包を解くのを一時中断し、テレビを見にいった。
すると、猫がこちらへやってくる。
わたしは、再び梱包を解き始めた。
そして、姿見を出して、壁に立て掛ける。
うん、良い感じだ。
わたしは、段ボール箱を片付けようとした。
しかし、そこには猫がいた。
段ボール箱の上に乗って寛いでいる。
またか。何故猫は、段ボール箱が好きなのだろう?
わたしは、猫が飽きるまで放っておくことにした。
しばらくして猫は、座っているわたしのところへやってきた。
「満足したの?」
わたしは、猫に聞く。
猫は何も言わないが、もう段ボール箱には興味を失ったようだ。
やれやれ、これでようやく段ボール箱を片付けられる。




