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473 掻いて ☆
いつもの朝がきた。わたしはなんとか起きて、体を起こそうとした。するとわたしの枕元にいた猫が、わたしの膝に乗ろうと斜めになっているわたしの太ももによじ登ってきた。
ちょっと待ってよ。きちんと起きさせて……。
とのわたしの思いも通じずに、猫はわたしの足の上に立ってわたしを見ている。
わたしがようやく起き上がると、猫も満足そうだ。そしてわたしが頭を撫でていると、わたしの手に自分の頬を押し付けてきた。
これは「掻け」との合図。
わたしは猫の頬から耳にかけて掻いてあげる。猫は右に左にと顔を動かして、わたしに掻かせる。
これは毎朝のことであり、わたしは早めに起きなければ遅刻してしまう。
いつ満足するのか。それは猫次第だ。




