44 チーズ
ウチの子(猫)は、チーズが好きだ。というか、乳製品が好きなようである。
子猫の頃の名残なのかは、わからないが。
わたしが家で晩酌をする時、猫は必ずやってくる。
もちろん、ごはんが目当てだ。
少しでも、自分が食べられるものがないか物色する。
わたしがワインを飲み、チーズを食べていた時、猫はいつものようにやってきた。
そして、チーズを見つけた。
猫は、わたしがクラッカーに乗せたチーズの匂いを嗅ぐ。
まずい。このままでは猫にチーズを食べられてしまう。
わたしは、チーズが入った箱の蓋を閉め、クラッカーを高く持ち上げる。
これで大丈夫だろうと思った時、猫がわたしの手にあるクラッカーをめがけて後ろ足で立ち、前足でクラッカーを取ろうとしたのだ。
わたしは、クラッカーを床に落としてしまった。
猫は、すぐにテーブルから降りてクラッカーをめざす。
わたしは、間一髪でクラッカーを拾い上げた。
猫は、床の匂いを嗅いでいる。
今のうちに食べなくては。
わたしは、床に落ちたものは捨て、新たにクラッカーにチーズをつける。
すると猫は、テーブルに上がって来る。
わたしは、クラッカーを口の中に入れて、ワインを飲む。
猫は、そんなわたしの前に居座り、わたしの口の匂いを嗅いでいる。
あぁ、もっと優雅にゆっくり食べたい。
のんびり食事をする方法はないだろうか。




