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43 待って
わたしは昼寝をしていた。
猫がベッドへ上がってきたことにも、気がつかなかった。
猫は、わたしの横の掛け布団の上に伏せるようにいた。
わたしが目を開けると、猫と目が合う。
「起きるの待ってたの?」
わたしが猫に聞いた時だった。
猫は、掛け布団ごとベッドから落ちそうになった。それを落ちまいと、慌てて掛け布団に爪を立てようとする。
しかし、猫の健闘も虚しくお尻からずり落ちたのだ。
「あははははは!」
わたしは思わず笑ってしまった。
猫は、不機嫌そうに尻尾をぶんぶん振っている。
ごめんよ。でも、面白かったんだよ。




