377 グルーミング ☆
わたしがソファで寛いでいると、猫が足元にやって来る。そして鳴く。
「くぅ」
「ごはん食べたいの?」
わたしは猫の頭を撫でる。猫は、そんなわたしの膝に乗り、グルーミングを求める。まずは左耳、額を通ってそのまま右耳へ。猫は自分で頭を動かす。
元々右目に病気があるため、右耳も痒いらしい。右耳へのグルーミングの時間は長い。猫も痒いのだろう。右耳をわたしの手に押し付けてくる。そして、長いグルーミングが終わったあと、猫はわたしの膝で寛ぎ始める。
ん?ごはんの催促ではなかったか?
猫は喉を鳴らしながら、わたしの膝の上から退く気配がない。しかし、猫の尻尾はぶんぶん振られている。機嫌は悪くなさそうだが、喉を鳴らしながら尻尾を振るとはどういう意味だろう。まさかここにごはんを持ってこいとか……?しかし、わたしは猫が膝にいるので立てない。わたしが猫を撫でようとしたら噛まれた。
一体何をしたいのか。わたしは猫を膝に乗せたまま、寛ぎ始めた。すると、猫が振り返る。わたしが猫の頭を撫でると、今度は気持ち良さそうに目を細める。その間は猫の尻尾も大人しい。だが、頭を撫で終わると、また尻尾をぶんぶん振る。
しばらく猫に付き合い、ソファでまったりとしていると、猫はふいにわたしの膝を蹴りキッチンへ。そして、段ボール箱で爪研ぎを始める。
ようやくごはんの催促らしい。わたしはソファから立ち上がり、キッチンへ向かった。




