3 緑のた○き
わたしは、カップそばの「緑のた○き」を食べようと、お湯を入れ、テーブルに置く。
三分経ったので、テーブルの前に行くと、緑のた○きの横に猫がいた。ちょこん、と座っている。「早く食べようよ」と言っているようだ。それは、わたしのごはんであって、猫のごはんではない。
わたしは、とりあえずテーブルにつき、緑のた○きの蓋をはがす。すると、猫が顔を近づけ、匂いを嗅いでいる。
だから、これはわたしのごはん!
「はい、どいてー」とばかりに、猫を押しやる。
しかし、猫は諦めない。わたしが箸でそばをすくうと匂いを嗅ぎ、右手に持った箸を手前に引き寄せようとする。
わたしは、さすがにまずいと思い、猫をテーブルの下へ降ろす。
しかし、食欲魔神である猫が諦めるはずがなかった。
猫は、再びテーブルに上がると、わたしの箸の先にあるそばにかぶり付いた。
熱かったのだろう。首を振っている。が、そばを放そうとはしない。
そして、そばをくわえたまま、テーブルの下へ降り、食べ始めた。
わたしは、呆然と、その様子を眺めてしまった。
猫は、そばを一本食べ終わり、またテーブルに上ってくる。美味しかったらしい。そばを再び食べるべく、前足を緑のた○きの中に入れようとする。
まずい。これ以上食べさせては健康に悪い。
わたしは、すぐにカップを持って立ち上がり、キッチンへ向かう。仕方がない。立ち食いだ。
しかし、食欲魔神は諦めない。キッチンに上り、カップに手をかけ、引き寄せようとする。
危ない!つゆがこぼれる!
さっと体の向きを変えて、カップを守る。そして、勢い良く食べきる。
わたしがホッと一息つくと、猫が背中に張り付いている。よっぽど食べたかったらしい。しかし、ほだされてはいけない。これが、毎日、毎食のことなのだ。先に猫にごはんをあげているのに、なぜか、いつもわたしのごはんを食べようとする。
そして今日も、食欲魔神(猫)との戦いは続く。