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224 もしかして……
わたしはキッチンのシンク前にいた。猫はキッチンとリビングの境目のところで座っている。わたしに背中を向けて。しかしわたしのことが気になるのか、ちらちらとこちらを振り返る。これはもしかして……。わたしは少しかがんで猫に聞いてみた。
「ごはん食べるの?」
「くぅ!」
すぐに返事が返ってきた。そしてわたしにすり寄る。わたしがキッチンのシンク下から猫のごはん袋を出すと、猫はいつもごはんを食べる場所で待っている。実に行儀が良い。
猫に「ごはん」以外の言葉を覚えさせられないものか。




