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162 置物 ☆
わたしがベッドで寝ている時、猫はごはんの要求にやってくる。
完全にわたしが寝ている時は、体の上に乗るが、わたしが起きていて寝転がって本を読んでいたりする時は、別の方法を取る。
猫は、ベッドに上がってきて、枕元にある目覚まし時計の横に座るのだ。
そして、じっとわたしを見つめる。
わたしは本に夢中になっていると、猫のことを忘れてしまう。それだけ猫は、静かなのだ。
ウチの子(猫)は元々あまり鳴かないが、ベッドの枕元にいても鳴かない。
まるで置物のように、ずっと同じ体勢でそこにいる。
わたしがふと気づき、本から顔を上げて枕元を見ると、猫がわたしをじっと見つめている。
わたしが寝ている時は、遠慮なく体の上に乗るくせに、本を読んでいる時は、邪魔をしてはいけないと思うのだろうか。
しかし、どちらにしろ猫の要求は、ごはんであることに変わりはないだろう。




