12 隙間
猫は、狭い隙間が好きだ。
ひげで入れるかどうかを判断して、大丈夫なら隙間へ突進していく。
ウチの子(猫)を一部屋で生活させることに失敗し、どの部屋にも行けるようになった。
しかし、二部屋だけ猫を入れるのを止めようと思っている。それは、トイレと洗面室だ。トイレは狭くて、奥に入られると何かあった時に困る。洗面室は、洗濯機があるためだ。洗濯機の後ろに入られると、手が届かない。
しかし、猫は自分の縄張りで知らない場所があることが嫌なようだ。
わたしがトイレへ入り、出ようと扉を開けた時、猫がするりと入ってきた。
止める間もなく、奥へと入っていく。わたしは扉を開けたまま、猫の動向を見守る。
猫は隅から隅まで見てから出てきた。満足したようだ。
ほっ、何もなくて良かった。
次に目をつけられたのは洗面室だ。洗面室も、わたしが出入りする時を狙われた。
わたしが洗面室の扉を開けた時、猫が入ってきた。
あっ、と思った時には、猫は洗濯機の横に入り始めていた。
どうしよう。自分で出て来られるだろうか。
ハラハラしながら見ていると、洗濯機の反対側の横から出てきた。埃とともに......
あぁ、だから洗濯機の後ろには行ってほしくなかったのに。
仕方ない。猫が掃除してくれたと思おう。
こうして、ウチの子(猫)の行けない場所は、玄関だけとなった。