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113 ふみふみ ☆
猫は赤ちゃんの頃、お母さんのお乳を飲む時、手でお乳を揉んで「ふみふみ」する。
大きくなってもその名残で、人に対してや柔らかい毛布などでふみふみする。そうすると落ち着くようだ。
ウチの子(猫)も、子猫の頃、わたしのお腹をふみふみした。
今は、柔らかいぬいぐるみや手触りの良い膝掛けでふみふみをしている。
わたしのお腹では、ふみふみしなくなった。
しかし、ある日一緒にベッドで寝ていた時、猫はふみふみを始めた。
わたしの二の腕で。
確かに肉がよくつき、ぷるぷるしているから気持ち良いだろう。
だが、痛い。それに、なんだろう。このもの悲しさは......そんなに二の腕がたるんでいるのだろうか......
猫がわたしにふみふみするのは、安心しているからだと思うと嬉しいが、複雑な気分だ。
そんなわたしには目もくれず、喉を鳴らしながらふみふみするウチの子の姿があった。




