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110 起きようと
朝、わたしは起きるために、ベッドの端に座り、目覚まし時計を確認しようと体を捻る。
すると、膝に重みを感じた。
猫だ。猫が、わたしの膝の上に座っている。いつの間に起きたのだろう。
猫の要求は、わかっている。頬を掻いて欲しいのだ。
わたしは、自分の手を猫の顔に近づける。すると、猫は、わたしの手に自分の頬を押しつけてくる。
わたしは、猫の要求通り、頬を掻いてあげる。猫は、右に左にと顔を動かす。
しばらくして、わたしは、猫に言う。
「そろそろ退いてくれないかな~」
猫は、なんとなく察するものがあるのだろう。わたしの膝から降りていった。
しかし、これで終わりではない。猫は、少し歩いたところで振り返り、わたしを待っている。
次は、ごはんの催促だ。
「はいはい、ごはんね」
わたしが猫に話しかけると、猫は尻尾を立てて、わたしを先導する。
この一連の流れが、ほぼ毎朝の日課である。
ちなみに、猫がごはんを食べている間は、わたしにとっては猫用トイレの掃除の時間である。




