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えびせん Good Morning,MARS  作者: 大嶺双山
第三幕 戦
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第百十一話 暴れ水

 カニカマが棒を突き出す。叩くのでは通用しないと考えたようで、槍のように突き込む。だがそれも、はさみによって掴まれた。

 そのまま持ちあげられ、振り回される。棒をはさみから離したカニカマが落ちてくる。

 間隙を縫ってゾウスイが踏み込んだ。下から上へ、刀を振るう。紫の殻を滑って、傷を与える。

 怒れるパエリアが逆のはさみを振り下ろす。それをやはりゾウスイがはさみで受け止める。受け切れず、ゾウスイが下がった。

 パエリアのはさみを足場にして、アカシは跳んだ。狙うのは、パエリアの目だ。

 全力で槍を突き出す。

 それをパエリアは首を振り、顔の側面で受け止めた。堅い殻は、やはり貫けない。

 おのれ。

 パエリアが顎を開く。触手を翻して跳び退く。

 そこに踏み込む影がある。ゾウスイだ。

「このときを、待っておったのよ」

 刀を横に薙ぐ。そこにはパエリアの顎がある。この巨大な長き殻は、全身を堅牢な甲殻に覆われている。アカシの槍も、ゾウスイの刀でさえ、それには通じない。

 だが、その殻の内側はどうか。

 パエリアの体液が、はじめて水に混じる。顎の端を、ゾウスイの刀が切り裂いたのだ。その瞬。その場。まさにそれを捕えた一撃だった。

 振り抜いた刀を逆に返そうとはさみを回す。だが驚くべきは、パエリアだった。

 傷をものともせず、顎とはさみを進ませてくる。

 両のはさみが、ゾウスイの脚を掴む。顎が、半身に喰いつく。

 そのまま、引きちぎられた。

 顎とはさみが持ち上げられる。半分になったゾウスイの身体も、一緒に水中を舞い、散らばった。

 最早どう見ても、生きてはいない。

 持ち上がった赤い殻が、パエリアの顎の中へ消えてゆく。そして、見えなくなった。

 アカシは、傍に転がっていたカニカマを槍で叩いた。カニカマが何とか起き上がる。

「ゾウスイ殿が喰われた。退くぞ」

 カニカマに声をかける。カニカマの体表は、まだ朦朧としているように見える。

 飛ばされ転がったゾウスイの刀が、カニカマの傍らに転がっていた。

 タラバ族の若者は、迷わずそれを拾い上げた。

「いかん、カニカマ。退け」

 刀を構えたカニカマが、じりじりとパエリアに寄ってゆく。パエリアの目がぎろりと動き、カニカマを見下ろした。

 カニカマが刀を構える。体液を流しながらも大きく開かれた化け物の顎が迫った。


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