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魔王が出来る3つの条件  作者: かずあ
魔王のマ!
7/29

魔王のマ!その7!一画目!

魔王への道開きます

 「…………」




 むくりと起き上がる。挨拶を交わす相手はもういない。起きたら戻ってきていた、なんてのも期待したがするだけ無駄だったようだ。



 今日はどうしようか。まだ、宿の日数が残っているけどここを出ようと思う。


 向うもその方が暮らしやすいだろう。それに、大規模な街ほど得られる情報は多い。




 そうと決まれば野宿品を買いに走るか。

 カタンカタンと階段を下りて行くとカウンターには誰も居なかった。不用心なのかそうじゃないのか…。貰った札を置くと静かに宿を後にした。




 (とりあえずは目に付いたところから…)



 大通りに出てギルドを目指す。ギルドに用があるわけではないが、冒険者が多く通るのか武器屋、道具屋などが並んでいるのだ。



 (テヌスの道具屋か…ありきたりだな)



 とりあえず入り、品物を見て行く。



 「へいらっしゃい!今日はどういった物を?」



 奥から店主が出てきたようだ。まだ若そうなその人はイケメンで、奥に妻らしき人を…この時点でかなり買う気が失せたが、踏みとどまる。




 「野宿出来そうな…テントとか携帯食料、日用雑貨を」




 「へい、それではこちら…冒険者セットになりやす。中身は簡易テント、干し肉が3切れ、黒パンが3つ、木の水筒、木串などが入って銀貨1枚でございます」



 欲しい物全部か…価値はわからないけど懐に困っていない。買いだ。




 「毎度っ!ありあとっざいあした!」



 少し大きめのリュックに入ったそれらを担ぎ、屋台で買った肉串をほおばる。後は…場所だ。


 財布の中身を確認して、酒場へ向かう。あのおっちゃんならどこか分かるだろう。何せランクがかなり上だったからな。



 歯の間に詰まった肉を串で応戦している間に、着いてしまったようだ。この前の様な喧騒は聞こえないが、それでも賑わってはいるようだ。

 周りを見渡し、おっちゃんを見つけると財布から鉄貨を3つほど取り出した。



 「おっちゃん!」



 「んぉ、この前のか!どうでぃ、ランクは鉄になれただろ?」




 洗い物をしている手を止めて、挨拶を返してくれる。その問いに俺は後ろを向き紋章を見せる。



 「へっ、この前までは名無しだった野郎がなぁ…で、なんの用だ?」



 待ってましたと言わんばかりに、鉄貨を握った手をテーブルに置く。わざと音を立てるようにコトコトコトっと。



 「ここから近い、大きい街を教えてほしい。出来れば道も。地図があればもっと助かる」




 「………街の名前はセントリーゼン。地図はギルドに行けば買える筈だ。ほらよ」



 少しばかり多かったのか、鉄貨1枚を投げて返してくるおっちゃん。




 「それと、モンスターには気をつけろ。思わぬ事故は付き物だからな」




 このおっちゃんイケメンや!あの腐れイケメンよりイケメンや!返された鉄貨1枚をおっちゃんに投げて渡し、こう言い放つ。




 「それは今の注意代な!今度来た時、エールでもおごってくれ!」



 おっちゃんは数秒口を開けた後がっはっはと笑って言う。



 「新参野郎が良く言うぜ!とびっきりうまいエール飲ましてやっから、死ぬんじゃねーぞ!」



 俺今かっこよくね?おっちゃんの言葉を背にスタスタと歩いてるんだぜ?朝までのテンションはどこへやら、こうでもしてないとやってられん。



 ギルドへ向かい、サクッと地図を買うと北門へ急ぐ。セントリーゼルはここから北へ約3フェーメル行った所にあるらしい。単位はよくわからないけど、5kmも進めば見えてくるだろ最悪。



 門番の人に一言行ってきますと伝えると、またおいでと返された。どっかのホモ兄さんとは大違いだな。



 「さて、…行くか」




 チラリとリーゼンを見て、リュックを背負い直し歩きだす。どこかでまた、会うかもしれないけどさよならだ、ジル。



 悲しくはならない、悔しいのだ。あのイケメンよりいい所が無い自分が情けなくて、あの時より全然変わって無くて涙が出てきた。



 ひとしきり涙を流すと、袖で目をぐしぐしと拭き、誓いを立てる。いつか有名になって見返してやるよ。お前が捨てたご主人様は、顔がいいだけの奴とは違うってことを。




▼△▼△▼






 ずーっと真っ直ぐな道をひたすらに歩き続ける。途中行商人とすれ違うが、すれ違うだけ。特に何も起こらないのがいいのだけど、こうも暇だと何か起こってほしくなる。




 (今日はここで野宿にしよう)



 脇に逸れ適当に開けたところにテントを張ると、薪を集めてきてスパンで火を灯す。


 薪を集めているとバリが転がっていた。





 名:バリ

 種類:鉱石

 状態:帯電32%

 説明:静電気などを溜めておける鉱石。その量は大きさに比例して上がる。砕けると帯電させていた電気が魔素を伝い、辺りに漏れ出す。





 あの約半分だが効果があるのは実証済み。忘れずに拾っておく。



 もう手慣れたものだ。リーゼンを出てから今日で3日。3フェーメルってどんくらいだよ…もう30kmは進んだぞ…。一日黒パン1つ、干し肉1つと決めていたので今日で蓄えが無くなる。明日には着いてほしい。



 食べ終わると火を消してテントに潜り込む。



 (着いたらまずなにしようかな)



 月明かりに手をかざしながら考える。眠くて目を細めた時、情報が頭の中に入ってきた。



 名:斎藤浩太

 種族:人間

 状態:普通

 称号:冒険者→判断能力UP小 勇者の卵→基本能力全体UP小


    モンスターの理解者→テイム率上昇 無差別凌辱 鑑定眼力→判断能力UP中


    魔王への道しるべ <異界者> サバイバー→野外での行動力30%UP


    天性の顔つき(不)→相手の好感度減少率大 鉱石見習い→鉱石の扱い小UP


    毒薬見習い→全毒耐性UP小、毒効果時間、ダメージ減少小


    言語マスター→言葉理解100% 見習い紳士 威風堂々→動揺率減少中


    比重の心理→仲間に対して相手の良さが濃く伝わる   


    心がイケメン→相手の好感度UP特大(要ニ年一緒にいること)


    不屈の心→精神力UP中 火事場の馬鹿力→命の危険を感じると全能力UP中


    ポジティブシンキング→精神力UP中、判断能力低下小

    戦闘狂→戦闘になるとテンションが上がる




 なにやら視れる物が増えている。称号の部分多いな!そう言えば俺自身を見たのって初めてだ。この鑑定も時間が経つにつれて視れるものがどんどん増えてきている。



 無差別凌辱って…ジルのやつか。天性の顔つきについては言う事は何もない。魔王への道しるべ…?勇者の卵と一緒にあるのっておかしくないか。比重の心理に心がイケメンね…まぁ情報が増えるのはありがたい。今日はこの辺で寝よう…寝れるときに寝る癖を付けとかなきゃ、いざって時にまずい。




 「おやすみ」



 誰に言うわけでもない、ただの習慣。けど、本音を言うなら返事をしてくれる相手が欲しいかな。






▼△▼△▼





 サバイバーの朝は早い。ささっとテントを片し、非常食のセリリを食べる。朝はちょっと肌寒くなってきたので、マントか毛布が欲しいところだ。



 随分と軽くなったリュックを背負い、リュックに吊るしてある水筒の水をあおる。目印を頼りに歩いていた道へ出ると、木串を取り出して歯を綺麗にしていく。


 歯ブラシなんてものは無いらしい、もしかして発明して売ったら大儲け…よし、計画の一つに入れておこう。



 「~~~♪」



 あまりにも暇なので歌を歌うことにした。大好きなアニメのオープニングだ。決して大きい大人が見るようなアニメではない事を忠告しておく。



 「いやぁぁぁぁぁぁぁー!」



 その歌がCサビに入ったところで女の人の悲鳴が聞こえてきた。


 行くかどうか一瞬迷ったが行くことに決めた。天性の顔つきがなんだ!見ていてくれる人はきっといる!と信じたい。




 (盗賊か…?女の人は冒険者か…)



 相手は3人に対してレディーは一人。きっとこのまま放置していたら犯されるか殺されるかのどちらか…売られるも候補か。なんにせよ助けに入らなければなるまい。





 名:トウ・テーバ

 種族:人間

 状態:興奮

 称号:盗賊稼業→暗器の扱い小UP、夜目小UP 無差別凌辱

    紳士の嗜み→幼女に対して性欲UP中




 名:ゾク・コッティ

 種族:人間

 状態:興奮

 称号:盗賊稼業→暗器の扱い小UP、夜目小UP 

    モンスターフェチ→モンスターに対しての性欲UP大



 名:ラス・イーソー

 種族:人間

 状態:普通

 称号:盗賊稼業→暗器の扱い小UP、夜目小UP 同性愛者→同性に対して性欲UP大




 名:ジーク・レイナ

 種族:人間/エルフ

 状態:恐慌 損傷5%(腕)

 称号:冒険者→判断能力小UP ハーフハーフ→魔素量UP小、機動力UP小

    疑心暗鬼→判断力減少中

 



 ほうほうほう、盗賊の方碌なやついねーなおい。女の人の方は…エルフ…ハーフハーフから考えるに、人間とエルフのハーフね。


 さて、カッコイイところを見せますかな!この3日の間に手に入れた新アイテムをリュックから取り出す。




 名:ニルド

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:衝撃が加わると、自身のまわりを石で出来た棘で包む。




 投石用の鉱石ゲットだぜ。効果は途中試してみたから大丈夫。うにみたいな感じになったよ!中々固いようで何回か使えそうだ。





 草の陰に隠れて様子をうかがう。奇襲で一人は倒したいところだ。一人で複数は流石に無理だろ?



 「へっへ…ハーフエルフだが中々上物じゃねーかぁ」



 「お前も物好きだな。こんな年増なんてよ」



 「お前らは分かっていない。男の感じ方は男がよく知っている」



 (…なんなんだこいつらは…)



 言葉が出てこないとはまさにこの事だろう。女の人の方も怖さと驚きが8:2くらいな顔をしている。



 男の一人が嫌がっている女の人の革鎧を外すと、その下の衣服に手をかけて行く。そこ変われじゃなくてうらやまでもなくてけしからん!お仕置きが必要なようだな!



 顔でいいよね、ムカつくし。完全に胸に目が行った瞬間、ニルドを顔目掛けて投げる。力を込めすぎたらしくてもう棘が複数出ているが…まぁ、ね。俺しらねっと。




 「あ?…あが……」



 運が悪いようだ。女の人の胸を見たからだな、それは仕方ない。



 「!だ、誰だ!」



 こいつら盗賊か?手際がゴロツキ共と同じだぞ。っとゲイの方は出来るようだな。短剣を逆手に持って周りを警戒している。

 俺は静かにケルスを取り出すと、落ちている魔素石を拾い、右手約1mの所に投げる。ゲイの近くだ、あいつなら動くと思うが…



 がささっと音を立てて茂みに入る石。ゲイは耳で確認すると同時にそちらへ身体を向ける。遅れてゴロツキの方も向くが…錬度がやっぱ違うな。弱い方から…



 ジャグを足元に置き。イメージする。目標はゴロツキ、場所は肩スレスレくらい、大丈夫オールの木でコツは掴めている…扱いUPもあるんだ。よし!



 一息入れるとジャグを思いっきり踏み飛び出す。ゴロツキの左、狙った所どんぴしゃだ!すれ違いざまにケルスで腹を殴ると、そいつを抱えたままフェードアウト。木にぶつかりそうになったがゴロツキを盾にした。

 内臓が大変なことになっていると思うが知ったこっちゃない。女の人の為だお前らも本望だろう。無造作にゴロツキを捨てると、後ろから物音がする。ゲイが来たのだろう。



 これは気合いを入れねばならん。負けたら掘られるのは確実だろう。童貞も捨てていないのに、そちらを先に捨てるつもりなど毛頭ない。もちろん捨てた後も一生捨てないつもりだ。




 「………」



 「おやおやぁ、少し話でもしましょうよぅ。あ、俺はゲイじゃないんでそっちの話は嫌ですよ?」



 「…………」



 ふむ…つまらないな…しょうがない、普通に戦闘だ!



 見えるようにケルスに付いた血をシャツで拭う。と、拭っている最中に足元の石を相手の顔目掛けて蹴っ飛ばす。



 「……っ!」



 短剣で防がれたがそれでも十分な隙が出来た。一踏みで距離を詰めると、ケルスを振りかぶる。キィィーンという金属特有の音が鳴り響き指に痛みが走る。

 グローブとか買うか…


 開いている手でポケットからバリを取り出す。相手も手が痺れているようで短剣を持ちかえながらバックステップで距離を取っていった。



 俺がいかにも様子を探っているという風で、円を描くようにそれでいて少し斜めに先ほど蹴ったジャグを探していく。

 あればいいけど…どっか飛んでいっちまったかな。



 ゲイはそんな俺の行動に感づいたのか、ジグザグにこちらへ向かってくる。何をするわけでもなく、近づかれるのを待ち突きだされた短剣をケルスで弾いていく。こんなのならシルファングの飛びかかりの方が怖かったからなぁ…頬の皮が切れた時に自分の血が目に映った。その時頭がかぁっとして…

 次に来た斬撃を力を込めて確実に大きく弾くと、その力を利用して一回転しケルスを顔面にお見舞いする。たまらずよろけたゲイにダメ押しでタックルを、短剣を蹴って飛ばすとマウントポジションをとる。これでチェック…いや。



 嫌な予感がしたので素早く立ち上がり距離をとると、ゲイの靴から短いナイフが飛び出しているのが見えた。暗器の扱いUPか…もったいないけど…



 バリを振りかぶると、顔を押さえて立ち上がってる最中のゲイに向かって投げる。狙いが外れ、足元で砕けてしまったが結果オーライ。ぴかっと光り、肉の焦げる匂いが辺りに広がる。



  名:ラス・イーソー

 種族:人間

 状態:損傷47%(顔、両足、)

 称号:盗賊稼業→暗器の扱い小UP、夜目小UP 同性愛者→同性に対して性欲UP大


 



 気絶をしないのは電力が低いからか、それでも戦闘不能になったゲイを見てほくそ笑む。お前にうらみは無いが、因果応報だ。髪の毛を掴み地面へ叩きつけるとケルスで殴っていく。



 ぐちゃり、ぐちゃりと肉の潰れる音がして、血の匂いがしてきて、血が顔に付いたときに我に返った。


 何事もなかったかのようにシャツで顔についた血をふき、盗賊どもの懐から金を奪い女の人の元へと急ぐ。逃げられていたら俺の苦労が水の泡だ。バリを返せ。




 動き回っていたので場所が曖昧だったが、なんとか着いたようだ。顔に、元に戻ったニルドがくっついてる変態が横たわっている。女の人は気絶しているのか意識がない。



 真ん前でいきなりスプラッターを見せられたら、女の人にはキツイか。



 とりあえずと、摘んできたゼルーで応急処置し、自分の指には唾を付けてゼルーをペッタリと貼り付ける。やらないよりはマシだろ。




△▼△▼△




 どれくらい時間が経ったのか、虫刺されが激しくなってきた頃に一つの足音がこちらへ向かってくる。



 (新手の盗賊か…?)



 すでに回収済みのジャグと血を拭いたケルスを握り、隠れる。



 すると、どうやら現れたのはあの神々しいイケメンだった。肩には…ジルがいる。



 (なんの用だよ、こんなところに…)



 少しの嫉妬と憎悪が混じる。



 どうやらなにか話しているようだ。



 「ねぇ、プル?こっちからホントに人の気配がしたの?」




 <ほんとだってばぁー、ウィルは信じてくれないのぉ?>



 懐かしい、でも相手に媚びる様な甘ったるい声が聞こえてくる。あいつ、モンスターと喋れんのか…!



 ……ふぅん、俺の時とは大違いだな。



 <あっ、ほらあそこ!人がいるよ!>



 一瞬俺の事を言われたと思いどきっとする。するだけで動きはしないが。ジルがゼリーで指?差すとウィルと呼ばれたイケメンがあの女の人に近づいていく…落ちが読めた気がするのは俺だけか…?



 「あのっ!大丈夫ですか?」



 イケメンが数回身体を揺らすと、女の人が意識を取り戻した。置きあがったときの為に、既に死体は埋葬処理してある。もちろん衣服の整理も…でへ。




 「う、うぅ…ここは…ひぃ!やめて…こないでよ…」



 あの盗賊との記憶が甦っているのか、後ずさりながら悲鳴を上げている。ちょっと気になり過ぎて身を乗り出したのがいけなかった。



 <っ!ウィル!まだ誰かいる!>



 「…っ!」



 ジルがそう言った途端にこちらへバッと振り返る。なんで場所わかるんだよ。



 「ジル、俺だよ。コータ、わかる?」



 手を上げながらそう答える。もう違うやつの所に行ったとはいえ殺しあうのはごめんだ。ジルの厄介さはわかっている。



 血まみれのシャツで登場したのがいけなかったか、女の人のヒステリックさに磨きがかかる。



 「ジル…?この女の人の名前かな…?」



 <…………かしらね>



 はぁー…だと思ったけどさーけどさーけどさぁー。



 「あのぉ…なにがあったんですか?」



 イケメンが聞いてくる。ムカつく。



 「盗賊に襲われてたから助けた」



 実に簡潔な答えだ。これで俺がいかに善人かが伝わったことだろう。



 <まってウィル、血まみれの服を見てなにかおかしいと思わない?ホントに盗賊に襲われていた所を助けたのかしら?>



 自分でも信じられないほどの歯ぎしりが聞こえてくる。なんでそこまでするんだ…ジル…っ!



 「た、確かに…この人に聞くのが一番早いんだろうけど…」



 <どう見ても"ソイツ"を見て怯えているみたいね>



 ……覚悟はきめといた方がいいだろう。またサバイバルか―リュック回収できるかなぁ。



 「…あなたは、あの人に、盗賊に襲われているところを助けられましたか?」



 イケメンが丁寧に、顔を近づけて聞く。女の人は落ち着いた様子で俺の顔を見るとフルフルと首を振り否定する。


 俺はそれを見た瞬間走り出した。見つからない様に全力で、木の間をすり抜けて。後ろの方ではガサガサと聞こえているが、10分程走り回った辺りから聞こえなくなったいった。



 「俺が…なにをしたんだよぉ…クソッ。なんでだよ…」



 女の人の方は陰から奇襲して、ジャグで飛び出したから見えてないのは当然だけど。なんだよあのジルの態度…まるで腫れものみたいに、"ソイツ"だってさ。




 「もう全然わかんねぇよぉ…」



 情けなくぽろぽろと涙を流していく。こんなことになるなら盗賊からなんて助けなければよかった。そう心で思った。と同時に嗤う。見てろよ。ぜってぇこのままで終わらねぇかんな。



 





▼△▼△▼△





 今日は、ここか…川の近くにあったほら穴に薪を集めスパンで火を灯す。鉱石系はポケットの中なので健在だ。シャツは川で水洗いしてきてある。少し湿っているが、血の匂いにモンスターが寄ってくることよりはマシだろう。





 これからは自分の事を毎晩確認することにしよう。ひょっこり視えるものや、称号が増えているかもしれない。







 名:斎藤浩太

 種族:人間

 状態:普通

 称号:冒険者→判断能力UP小 狂戦士の心得→一定の条件で基本能力UP中


    モンスターへの憎悪→テイム率減少小 無差別凌辱 鑑定眼力→判断能力UP中


    魔王の心得→能力全体UP小 異界者 優しい心→敵、敵愾心減少小


    天性の顔つき(不)→相手の好感度減少率大 鉱石玄人→鉱石の扱いUP中


    毒薬見習い→全毒耐性UP小、毒効果時間、ダメージ減少小


    言語マスター→言葉理解100% 紳士 威風堂々→動揺率減少中


    比重の心理→仲間に対して相手の良さが濃く伝わる 体術家→体捌き40%UP


    心がイケメン→相手の好感度UP特大(要ニ年一緒にいること)


    不屈の心→精神力UP中 火事場の馬鹿力→命の危険を感じると全能力UP中


    ポジティブシンキング→精神力UP中、判断能力低下小 


    戦闘狂→戦闘になるとテンションが上がる 四面楚歌→精神力UP大


    体内魔素100突破→ボーナス>魔法使用許可1、能力全体UP小


    レンジャー→野外での行動力50%UP夜目UP大


    モンスターハンター→モンスターとの戦闘時基本能力UP中その他能力UP小


    エスコート→♀の好感度上昇率UP小








 うひゃぁー増えてんなぁ…サバイバーが無くなってレンジャーみたいに、名前が大きく変わるもあるんだな。



 狂戦士、魔王に憎悪、四面楚歌ね…違わなくない所にいらっとする。他にもエスコートや体捌きなんてモロ俺の為にあるようなもんじゃねーか!神様も捨てたもんじゃねーな。それに魔法使用許可って、魔法が使えるようになりましたってか!明日試してみよー!





▼△▼△▼





 火にあたりながら情報を視ていたら眠くなってきた…そういや飯も食ってねぇなぁ。食べたのはセリリ1つだけか…



 空腹を誤魔化すためにも早く寝よう。まだ生乾きのシャツを着て、火を付けたまま壁へ寄り掛かる。



 街はどこなんだろうなぁ…むぅ…俺の夢諦めたくないな…。




 「………おやすみ」



 明日も生きていられます様に。










果たして無事にセントリーゼンへ辿りつけるのかイケメンは×××!

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