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魔王が出来る3つの条件  作者: かずあ
魔王のマ!
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魔王のマ!

多少の気分が沈む表現が後からたくさん出てくると思います苦手な人はまわれ右で




書き溜めはしていますが更新が遅くなる時もありますご了承ください

―まずは頭の中を整理しよう。俺は斎藤浩太、高校三年生で今日が卒業式だったはずだ…


 そう、"はず"…


 ザァァ…風が吹くと同時に周りの木々、葉っぱなどが揺れる。


 俺の家、アパートの近くには、森どころか街路樹一本もなかった気がするんだが…気がするだけ?


 「俺、どうなんのかなぁ」


 少しは落ち着いたが、それでも現状に頭がついていかない。そんな俺の呟きに答えるかのように、もう一度大きな風が吹いた。



▼△▼△▼



 と、とりあえず安全な場所に水と食い物だ。今の恰好はジーパンに半袖の緑Tシャツ、昨日は疲れてそのまま寝たんだっけ…


 「これ、夢とかじゃないよな?」


 気合いを入れて一発自分のほほにビンタを…「ってぇ!…少なくともリアリティーのある夢だな」


 持ち物は無し、まさに着の身着のままだ。



 「いまどきの田舎でも、こんな背の高い木ばっかの森はないぞ…」


 辺りは背の高い葉の茂った木、木、木…動物は見当たらないけどいると思っていいだろう。一番まずいのはここが何かしらの動物の縄張りでその動物が肉食、襲人性を持ってる時…


 「あ?フラグ?」


 そう言葉にした時だった。



 「×××××××―!!」


 聞いたことのない声だった、いや、声なのかすら怪しい


 「ヒッ!」


 思わず腰を抜かしてしまった。タイミング良すぎだろ…!


 きょろきょろと周りを見渡してみるがそれらしき動物はいなかった。


 「なんなんだよ…ったく…」


 泣きそうになりながらも安全で寝られそうな場所を探していく。


 何十分歩いただろう、これだけの時間で見つかったのは運がいいのでは?と思うくらいアッサリと見つかった。


 そこは程よく茂みに隠れた木の洞だった。とりあえず小動物は無し、動物がいた痕跡もなし。


 「ここで寝るか…」


 日本はまだ寒い春先だったが、"ココ"は夏か春みたいだ。寒くて辛い思いをしなくてすむのだからそれに越したことはないけど…


 「外国…なのかなぁ…」


 少なくとも日本ではないだろう、こんなウン百メートルもありそうな木を聞いたことも見たこともない。それが所狭しと生えているのだから日本にそんなスペースはない、と思う。



 「とりあえずもう寝よう…」


 高かった日は沈みもう数時間かすれば辺りは暗闇で見えなくなる。


 「よっこい…」


 横になろうと足を伸ばしたらなにか硬いものに当たった。まぁ木のなにかだろうとその時は気にしていなかった。



▼△▼△▼




 「んぁ…?」


 体中が痛い…そりゃこんなデコボコした所で寝たらこうなるわな。



 「夢…じゃなかったな」


 そろそろ本気で飯、水を探した方がいいだろう。特に水は無いと困るからな。


 洞を出るときに昨日の夜足に当たった何かを思い出した。外に出ようと掛けていた手を戻し、くるりと後ろを向く。



 「へ?」


 骸骨だった。外からじゃ見えない位置にそれは転がっていた。


 初めて見るのにそこまで動揺しないのはもう諦めたからだろうか?多分ここに隠れたままなにかしらの事があってそのまま…かな。


 「これは…?」


 近くに寄ってみると古ぼけた紙?と一緒に液体の入った小瓶が落ちていた。



 「なんだこれ?」



 なにか文字らしきものが書かれているが予想通り読めない。しばらく眺めていると…



 「お?おおお?」



 原理は知らないが理解できるようになってきた。




 手紙の内容はこう、私は歴代でもそれは名の通った凄腕の薬師だった。だがもうその腕を奮う事はないだろう、この森に薬草を採りに来ている時、ダレットベアーの縄張りにウッカリと入ってしまった…代償が片腕なのは運がいいのだが腕が無くては薬でも治せない。血も流し過ぎたようだ…無くなった腕は今頃あの憎たらしい魔物の腹の中だろう。もし、私が力尽きて誰かがこの手紙を、読んでくれているのなら近くに小瓶があるはずだ。それは私の作った薬の中でも最高の出来栄え。自分ではもったいなく感じてとうとう使えなかったが…その薬は鑑定の目薬。中身を全部両目に半分づつ垂らすことで一生効果が続くだろう。知りたいと思った対象に念じれば頭の中に入ってくる…はずだ。試すか試さないかはお前が決めてくれ。数滴なら一日効果が続くだろう、その後に全部垂らしても大丈夫なはずだ。できれば墓を作ってもらいたいがそれは余裕があったらでいい。くれぐれも私の様なミスは犯さないように…



 後は汚れのせいか読めない。…ダレットベアー、やっぱりいるのか。でも文から読み取るに縄張りに入らなければセーフ?よくわからないけど注意するに越したことはないだろう。


 墓…か、まぁこんな凄そうな代物をもらってそのまんまってのもなぁ?とりあえずこれを試してみるか。


 きゅぽっという音とともにされていた栓を抜く。


 「さてこれで少しづつ垂らすように…あっ…」



 手が滑った!なんて事はなくちょっと多めにかけてしまったが、問題は無しだ。



 しばらく瞬きを繰り返していると液体が引いてきた。


 「これで視えるように…おっ?」


 しばらく骸骨を眺めていたら情報が頭に入ってきた。



 名:フェラグレ・スール

 種族:人間

 状態:白骨



 ふむ…これは便利だなさっさと一生使えるようにするか。ポタポタっと…



 「よし、行こう…少し待っててくれよ絶対墓作ってやるから」


 スールさんを一瞥して茂みをかき分けながら外へ出る、さぁここからが本当のサバイバルだ!






▼△▼△▼




 「便利だな―あの薬、そこらへんの見たことない草でも知識が入ってくる」



 スールさんには悪いけどあそこに薬があってよかった。


 「ん?オールの実?」


 片っぱしから食えそうな、利用できそうな毒物などを採っていると、木の実が視界に入ったようだ。やっぱ聞いたことないよなーオールの実なんて。


 どうやらこれは食べられそうだ。



 名:オールの実

 種類:植物

 状態:破損75%

 説明:オールの木から生る木の実。養殖されているやつは甘くて美味しいが野生の実は酸っぱさの方が強い。果実は少ないが中が空洞になっており、その中に果汁が詰まっている。



 鳥にでも突かれたのか無残な姿の果実が地面に転がっていた。


 水分キター!これで当分は困らないな。ぱっと見結構生っているけど、木の背が高くてほとんど届きそうにない。まだ川か新しいオールの木を探さないといけないか…



 「よっと…ほっ…む…」



 届かない。いや、なんで"ココ"は背の高い木ばっかなんだよ!



 「怒りの投石ショット!」


 そこら辺に落ちている石ころを手当たり次第に投げつける。しょうがないだろ!これでも一応170以上はあるんだぞ!



 「ないっしょー!」


 やっと1つ採れたころにはもう、日が落ちそうな時間だった。



 とりあえず…っと、鋭そうな石でオールの木に目印を付ける。意味はあまり無いかもしれないけど一応な、一応。



 それにしてもこっちに来てから楽しんでる自分がいる。まだ害となる生物が居ないからなのか、うまくいかないことがないからなのかはわからないけど、少なくとも日本にいた頃よりは楽しんでると思う。



 「さて、今日の成果はっと…」


 洞に戻ると、ジーパンのポケットからキノコやら草やらを取り出して並べる。



 名:ゼルー

 種類:植物

 状態:普通

 説明:世に言う薬草。すり潰して患部に塗ると僅かだが回復力が上昇する。細かく刻み、煮詰めると回復力が上昇する、その場合は飲用。食用には向いていない



 名:バラカ

 種類:植物

 状態:普通

 説明:ゼルーに良く似た毒草。体内に摂取すると軽い腹痛、頭痛、足部の関節痛などの症状が出る。切れ目を入れて沸騰した水に30分漬けると毒が抜ける。食用には向かない。ゼルーと見分ける為には根を見るとよし、根が赤いのがバラカ、青いのがゼルー



 名:ノキア

 種類:植物

 状態:普通

 説明:神経毒を秘めたキノコ。摂取すると手足が内から痺れていく。汁を搾り利用することも可能。味は美味。汁色は青い



 名:セリリ

 種類:植物

 状態:普通

 説明:食用茸。味は普通。火を通した方が安全だが生でも食べられる。



 名:魔素石

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:そこら辺の石。僅かだが魔素を含んでいる。



 名:ジャグ

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:強い衝撃が加わると衝撃以上の力で反発する柔らかい金属。


 名:ケルス

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:とにかく硬く耐久度が高い金属。未だに加工方法が無い。



 名:スカス

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:軽い鉱石。強い力が加わり砕けると、全体が細かい塵状になる。



 名:スパン

 種類:鉱石

 状態:普通

 説明:二つをかち合せると周囲5㎝にやけどをするほどの高熱を発する。




 などなどこの程度かな。中々見分けがつかないのが多くて薬が無かったらやっていけてたか…とりあえず採ってきたオールの実を食いながら毒物とそうでないの、鉱石に分ける。中でもスパンは2つ必要なのか明日取ってこないとな、火は…"ココ"の動物は火を恐れる?もし違ってたら?…まぁあるに越したことはないし、いざとなったら罠にでも使おう。



 毒キノコや毒草の類もまだ使えな…キノコは大丈夫か薬の小瓶がある、あれに詰めよう。説明を見る限りじゃ皮膚からは平気そうだし。



 にしても…魔素?ミソじゃなくて魔素…ねぇ…そろそろ本気で別世界説が有効になってきたな、薬で大分傾いていたが。



 「んま、なるようになんべ」


 最後のオールの実を齧り汁を啜り横になる。なんなんだろうなー"ココ"せめて諦めのつく証拠があればなぁ…そう考えて何気なく空を見た。



 「………」


 昨日は早くに寝ちゃったからな時間の関係で見れなかったんだろう。


 そこには月が3つ、寄り添うように浮かんでいた。別世界説が、大穴一等賞ってか。



 本気で、この世界に骨を埋める覚悟をしなくちゃいけなくなった。突然来れたんだから、何らかの方法があってもいいはずだけど、神隠しに遭って戻って来ました、なんてのそうそう聞かないからな。


 「こんな時、冷静になれるのか…」



 いつもの俺なら慌てふためき夢だ!なんて言い出し洞から飛び出して、猛ダッシュしそうなくらいの驚きなんだけどな。こっちに来てから頭がスッキリしてるみたいだ。



 「寝るか…明日はちょっと遠くまで足を運ぼう」



 決意も早々に今日の疲れをとる為、意識が沈んでいった…

 

感想、アドバイス、辛口コメントなど大募集です!返信は遅くなるかも知れませんが修正は早めにしますのでこれからも宜しくお願い致します




補足として、なぜ字が理解できるなどはその内出てきます

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