ここからが本番だ(2)
周りから、相手から。
愛馬と自分の会話のように。
(今日も敵に見せてやろうじゃないか。俺たちの力を・・・・!!)
たぶん、馬も考えてるはずだ。
何十年も一緒に戦ってきたのだから。
目には見えない、だが感じることのできる絆。
敵陣の動きが出てきた。
(行くぞ。)
自分の母国の国旗を掲げる。
「行くぞおぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
目に留まらない速さで激走する。
それを見た、仲間も口々に、続くぞと声を張り上げる。
見かけとは大切なことだ。
大声を張り上げることで勇気がでる。士気が高まる。
雰囲気でとも言えるが・・・。
そんなことは気に留めない。
国のために勝敗を傾け、勝利につなげるのだ。
顔が痛い。
風を体全身に受ける分、速ければ速いほど、体に負担が掛かる。
(気にしないが・・・)
綱を強く握る。
手に跡が残るほどまでに。
(もう、敵はすぐそこだ。)
真正面から、形相の悪い敵が隣を走る。
隙を逃さぬよう、見極める。
相手の右胸に、長剣を突き刺す。
相手の胸を刺しているまま、上に放り放つ。
血の飛沫が飛び散る。
目は白目をむいていた。
「ふっ、」
剣を引き抜く。
(またか。)
何度経験しても慣れない感覚。
人の体から剣を引き抜く、重みと感触。剣を通して伝わる。
だがそんな気持ちなどお構いなしに敵は、剣を振り落してきた。
(うわぁ・・・やばかった。)
顔に剣が掠った。
血が頬から滲みだしていた。
(この馬鹿力野郎。力で押せばいいんじゃないいんだよ)
相手の力を技で流す。
(力は技で流せるって、基礎をこいつは忘れたのか?)
暑苦しい顔をした男は顔を歪める。
(なんでだ?って顔にかいてんだよ!)
何回も同じことを試している。
そして、失敗する。
繰り返しだ。
「糞っ!!なんなんだ!??」
罵倒を浴びせられる。
ぶん、ぶん
剣を振るう姿が滑稽だ。
次の手が読めてくる。
(単純なやつ。可哀そうだ。自分に過信しすぎて周りが見えてない。)
鼻で笑う。
(焦ってるなぁ、こいつ。)
力一杯、頑張ってる。
形振りかまわずに、対抗心を滾らせていた。
(もう、構ってやれない。残念だ。)
剣を突き刺してくる瞬間、首を切った。
「頭を使え。」
忠告してあげたが、もう聞こえないだろう。
顔を確認してから次の敵に向かう。
辺りを見回すと、味方側が押されていた。
(やはり、そう来るか。読みが当たったな。)
やることの順序を変更させる。
副官のリランを探す。
案外、近くにいたようで接触する。
戦いが安定してたようなので、言葉を投げた。
「俺が居ない間、前線の均衡保てよ」
声が聞こえたのか、笑みを浮かべ首を縦に振った。
(さすがだな。)
味方の陣地に引き返す。
(早速、出番が来たぜ。)
陣地の裏に身を潜めていた、将軍が居た。
「やっと来たか。予定道理進んでるんだろ、その顔は。ロイ」
意地悪い笑いをする。
(幼馴染だから許すけど)
仮にも、自分の将軍なのだから。
「無理を言ってもいいか?」
一応会話の形式だけは取っておく。
家臣もいるのだから。
(だが、yesでもnoでもやってもらうが。)
相手の表情が肯定を示していた。
「この崖から降りて追撃してくれないか?」
喉の鳴る音が聞こえた。
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