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灯台の下

作者: 伊藤響

都会、それは人が集まっていて企業が発達している国である。

しかし、地図の上からは人も企業も見えないのである。

人とはできる人間とできない人間がいると思う。

できる人間、それは僕だ。できない人間、それはまわりのクズだ。 そんな中、僕は都会に産まれた。

僕の父はIT会社の社長だ。僕も、もちろんその会社を受け継ぐつもりです。

母は専業主婦だ。

そして、僕はすくすくと成長し小学校に入学した。

初めて友達ができた。

その子の名前は健太。

僕は毎日、健太と遊んだ。健太の家は貧乏だった。

だけど僕は貧乏というものが良くわからない。

でも後に貧乏という名のクズに気付くことになる。

それは、ある日学校に行くと健太が友達と話していた。

健太が

「なんかあいつウザイ、ただの金持ちだから遊んでるだけなんさー」

と言いまわりの友達と大笑いしている。

僕は悔しくて泣いて家に帰ってしまった。

その時、初めて知った。

この世にはクズしかいないということを。

そして、僕は金の力で健太の家を潰した。

次の日からは誰も友達ができなくなった。

でも僕はクズなんかいらない。

そして友達もできないまま小学校を卒業した。

もちろん僕は入試を受けて私立の中学校にいった。

そして中学三年の春、初めて彼女ができた。

彼女が僕に告白をしてきた。

僕は女というものに興味があったのでOKした。

彼女と七ヶ月ぐらい付き合ったある日、彼女は自殺した。

僕は何が何だかわからなかった。

そして聞いた話だと、彼女はいじめられていた。

僕はまったく気付かなかった。

いじめたクズたちを探した。

結局見付からなかった。

僕はその事を胸の奥に抱えたまま中学を卒業し高校に入学した。

僕は先輩にタバコと酒を教わった。

こんな良いものがあっていいのかと思う。

しかし、先輩のクズが先生にチクって僕は謹慎処分になる。

僕は先生に

「先輩もタバコを吸っていた」

と言った。先生は

「何ばかのこと言うんだ」

と言い、僕を殴った。

みんなクズだ。

僕はどこか深い深い闇に落ちた…。

そして親は泣いている。

父親には見捨てられた。

僕は父のことを尊敬していたはずだったのにいつの間にかクズと思うようになっていた。

けど僕は頭が良かったため謹慎はすぐとけた。

そして、勉強をしまくった。

大学も都内で有名な所に入った。

そうしたら、父も少し見直してくれた。

僕が良い大学に入っただけで見直すなんてクズだと思う。

そしてトップの成績で卒業し、父の会社に入った。

僕は20代ながら部長の座につく。

僕の部下は何万にもいる。そのクズどもは僕の言うことを聞く。

とてもすがすがしかった。そしてぼくが30歳になった時、父は定年退職した。

僕は一流企業の社長になる。

何もかも贅沢できた。

しかしある日僕の言った一言で株が暴落した。

ただ

「社長なんて余裕、楽だよ」

それだけだった。

そのせいで僕は何人もの部下をリストラした。

中には自殺した部下もいた。

葬式には出たものの心の中でこう思った。

「どうせ使えないクズだ。邪魔なだけだ。」

そして、自殺で死んだ部下には家族がいた。

そして裁判の判定で多額な賠償金を背負うことになる。

会社も潰れてしまい、親からも捨てられ、ホームレスになった。

でも僕にはホームレスになった実感がない。

ある日、橋の下で寝ていると学生服を着た子供達が僕に向かって石を投げている。

何だこのクズどもはと思った。

しかし、本当のクズは僕だったのである。

たくさんの人たちを路頭に迷わせ、自分がホームレスになってもまわりをクズと言っている。

ずっと気付かなかった。

今、この都会に何人の人がいるかわからない。

しかしみんな何かのために頑張っている。

それはクズではない。

ニートもホームレスもクズではない。

僕よりかとても立派である。

青い空の下、まだ地球はまわっている。

これからでも僕はやり直せる。

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