第二十一話 糸口
目が覚めると、肩に毛布が掛けられており、
私の隣では綾人くんが引き続き書物を調べていてくれた。
私は綾人くんに、ありがとうと伝え、同時に寝ちゃってごめんと謝る。
綾人くんは私の頭を撫でて、微笑む。
「俺は人間と違って体力が有り余ってるから。それに、まだ何も見つけられてないしな」
そう呟き、時計の針をみる。
「さっき、兄貴から連絡があったんだ。吸血鬼達も異変を感じてて、豊穣祭が始まるタイミングで祠を調べるらしいって」
綾人は唇を噛み締める。
「だから、残り時間は実質あと3時間ない」
そう言われて、私は綾人くんに夢の話をする。
「私、また例の夢をみたの……私、堕神の子孫だったみたい。正確には堕ちる前の」
そう伝えると、綾人くんは目を大きく見開いた。
そして、少し考えた後、そうか、だから……と呟く。
「廃病院で倒した異形、ひなこの血を飲んだ時、様子がおかしかったよな。まるで祈ってるみたいなポーズして」
そう言われて、確かに違和感を感じた事を思い出す。
「俺も、ひなこの血を飲むと、何か赦されたような、胸に熱い感情が湧き出てきて、涙が出そうになるんだ」
ーーまるで、神様に此処にいていいんだって言われてるみたいに。ポツリと綾人くんは呟く。
「もし、ひなこが堕神の子孫なのだとしたら、納得できるかもしれない。
俺たちや異形は堕神から産まれてるから、ある意味ひなこと俺は血で繋がってるんだ」
綾人くんは、そう、きっとそうだと私の目を真っ直ぐみつめる。
「ひなこ達と俺達の違いは、神が堕ちる前に生まれたかどうかだ。その頃の神は稀血で人間を癒していた……異形や俺のこの変化は、きっと、稀血による浄化なんだ」
「それって、もしかしたら、堕神も…」
「ああ、きっと堕神も浄化できるに違いない。穢れる前の自分と、そして愛する人の血を受け継ぐものがいるんだって。
子供は生きてたんだって、まだ希望はあったんだって」
全てに絶望し、全てを滅ぼそうとした堕神、そんな彼に希望は潰えてなかったと、伝える。
私は、立ち上がり、綾人くんに手を伸ばす。
「危険だと思う。けど、一緒に来て欲しい。蓮くんを助けよう」
綾人くんは、ニッと笑い、私の手を取る。
「当然。蓮とも約束したしんだ。絶対にひなこを守るって」
最後まで、私の心配をしてくれていた蓮くん……ううん、最後になんてさせない!
私達は海の祠に向かい、走り出した。
読んでいただき、ありがとうございました!
明日の投稿で完結予定です。
よろしければ、最後までお付き合いください。




