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第十九話 諦めないから


「おじいちゃん!」


私は染谷神社の一室に向かい、襖を勢いよく開く。

蓮くんのおじいちゃんは、座布団に正座しており、ゆっくりとこちらを見上げた。

その目は泣き腫らしたように赤く、しかし覚悟しているように芯をもっていた。


「ひなこちゃん、いらっしゃい」


静かにそう言うおじいちゃんの前で、私は頭を下げる。


「お願い、おじいちゃん、蓮くんを助けたいの!」 


震える声で伝える私をじっと見つめ、おじいちゃんは頭を左右に振った。


「それはできない。蓮は3日間祈祷を行い、人柱となるーーちょうど、豊穣祭の夜だ」


その言葉に、頭に血が急激に昇る。


「おじいちゃんは、それでいいの!?」


そう声を上げながら、頭をあげ……自分の発言に後悔する。


「……もちろん、よくないさ。出来ることなら儂が変わってやりたかった」


おじいちゃんは、涙を流しながしながら、震える声で答えた。


「だが、もう封印は決壊寸前だ。……人柱の条件である、成人していない染谷家の人間は蓮しかいない。あの子も覚悟を決めたんだ。この街を、ひなこちゃんを救いたいって」


私の手をそっと包むおじいちゃんに、ごめんなさいと呟く。

どうにか出来るなら、おじいちゃんが蓮くんを人柱にするわけがないってわかってるのに…。


ーーでも


私は顔を上げ、おじいちゃんの目を真っ直ぐ見つめる。


「まだ時間があるのなら、最後まで足掻きたい。蓮くんとこれからも一緒に居たいの」


私の真剣な眼差しに、おじいちゃんは、そうか、と呟く。


「だが、方法はないだろう。堕神の瘴気は次期に街中を覆い尽くし、命あるものは死に絶える。出来ることは結界の修復のみだ」


「堕神は、元は普通の神様だったんだよな」

綾人くんがふと、呟く。


「堕神を浄化、っていえばいいのか……何とかして、元の神様に戻すことはできないか」


その言葉に、私はハッとして、おじいちゃんの方をみる。

おじいちゃんは、理屈は通るが……

だが、そんな方法は存在しない、と呟いた。


「でも、まだ可能性はゼロじゃないんだ」


私は自分に言い聞かせるように、そう言葉にする。

そして、立ち上がり、綾人くんの手を取る。


「綾人くん、私、諦めない。綾人くんも、一緒に蓮くんを助けてほしい」


綾人くんは、ニッと笑う。


「当たり前だ。絶対助けよう」


私達のやりとりをみて、おじいちゃんは少し微笑む。


「もしかしたら、何か方法があるかもしれないね。奥の部屋に昔の文献がある。そこを使いなさい。蓮もよく、遅くまで調べていた」

おじいちゃんは、私も改めて、調べてみよう、と立ち上がる。


「ありがとう!おじいちゃん」


私は綾人くんの手を引いて、奥の部屋に向かう。


(待ってて、蓮くん!絶対に助けるから)


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