第七十五話「闇夜の誘い」
闇夜は深い。
だが、
そこに潜む影こそが、
真実の扉を開く鍵となる。
雨が静かに降る深夜。
探偵事務所の机の上に、一通の黒い封筒が置かれていた。
差出人は不明。中にはただ一枚のカードが。
そこにはこう書かれていた。
「夜の帳が下りた頃、真実を知りたければ、闇の館へ来い。」
興味と警戒が交錯する中、俺はその誘いに応じることにした。
指定された場所は、街外れの廃工場。
現場に着くと、薄明かりの中に黒衣の男が立っていた。
顔は影に隠れ、声は低く静かだった。
「ようこそ、探偵。お前に伝えるべき真実がある」
男は語った。
この街には、表に出ない“闇の織り手”がいること。
彼らは人々の運命の糸を操り、影を紡いでいるという。
男の話は断片的で、意味深だった。
そして、俺への警告も含まれていた。
「この先、深く入り込むな。
闇は時に人を喰らう獣だ」
俺は闇の中に、一筋の光を見つけるべく、真実への探索を決意する。
この招待状は、始まりに過ぎなかった。
次回・第76話「影織りの街」では、
闇の織り手たちが集う秘密の街。
探偵はそこで、さらなる陰謀の糸に絡まれていく。




