第五十七話「封印の境界」
封印の力は、刹那の光。
だが闇は永遠に消えない。
対峙し、理解し、断つしかない。
神社の石段を上る。
風が唸り、木々がざわめく中、俺は懐中電灯を握りしめていた。
石の祠の前に、封印用の古い御札と祈祷具が並べられている。
手早く準備を整え、祭壇に御札を貼り、祝詞を唱え始めた。
その時、背後から静かな足音が近づいてきた。
振り返ると、見知らぬ若い女性が立っていた。
目は澄んでいるが、どこか影のある表情。
「……あなたが、この村の謎を追っている探偵ですね?」
俺は警戒しつつも頷いた。
彼女は名を“霧島 紗夜”と言った。
この村の外れにある神社の守り手を代々務める家系の末裔だという。
「この村には、封印されし“影”を扱う者がいる。
私は、その者の血を引いている。
あなたの封印は、まだ不十分。」
紗夜は儀式の補助を申し出た。
祈祷具を取り出し、独特の呪文を唱える。
空気が張り詰め、神社の境内が異様な力に包まれていく。
“鬼”の影が渦巻くように周囲を駆け巡る。
儀式の最中、紗夜は語った。
「封印は、一時しのぎ。
本当の解決は、“影”の根源を断つこと。
それは、あなたのこれからの調査次第。」
儀式が終わると、空気は一瞬、静寂に包まれた。
だが、遠くから響く赤い目の影の唸り声が、俺たちを嘲笑うように聞こえた。
紗夜の登場で物語は新たな局面へ。
次回、第58話は、
探偵と紗夜が協力し、影の根源を探り始める。




