ふわふわの檻
町外れの商店街で出会った、ふわふわのクマの着ぐるみ。
何気なく袖を通したその瞬間、少年の身体はぬるりと溶けはじめ、
皮膚も骨も輪郭も、静かに、甘く、毛皮の内側へと溶け込んでいく。
目覚めたとき、彼はもう“おとな”ではなかった。
そこにあったのは、知らない小学生の姿と、空になったクマのぬいぐるみ。
声も、体も、日常も変わってしまったのに、
心の奥には、あの着ぐるみのぬくもりがまだ残っている。
それは恐怖ではなく――どこか、懐かしさに似たやさしさ。
何気なく袖を通したその瞬間、少年の身体はぬるりと溶けはじめ、
皮膚も骨も輪郭も、静かに、甘く、毛皮の内側へと溶け込んでいく。
目覚めたとき、彼はもう“おとな”ではなかった。
そこにあったのは、知らない小学生の姿と、空になったクマのぬいぐるみ。
声も、体も、日常も変わってしまったのに、
心の奥には、あの着ぐるみのぬくもりがまだ残っている。
それは恐怖ではなく――どこか、懐かしさに似たやさしさ。