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アラフィフおじさんの推し活奮闘記  作者: DAI


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13/15

第13話

私の名前は田中健二。今年で45才。いわゆるアラフィフだ。




握手会を終えた私たち4人が喜びを分かち合っているころ、それを上階から見ている2人の影があった。。。

話を数分前に戻そう。




【その数分前、フードコート】


「お母さん、今日は楽しかったね。」

「あなたと2人だけで、買い物なんて、いつ以来かしら?」

「お父さん、休日出勤で残念。」

「たまには、おとうさん抜きでも良いんじゃない?おとうさん、ショッピングモールでは、いつも別行動だし。」

「そうだね。」

ユイは、周りを見回す。

「今日は、空いてるね。」

「給料日前だからかな。」

「じゃあ、ゴミ捨ててくる。お母さん、待ってて。」

「あ、お願い。」

私はゴミを捨てに行った。

お母さんと合流して、買い物再開だ。

「そういえば、スタドリの握手会。今の時間じゃなかった?」

「そうね。上から見れるかな?」

「見てみようよ。お母さん。」

「そうね。」

私たちは、吹き抜けの所に行った。吹き抜けの下は広場になっていて、今日の今の時間は、スタドリの握手会をしているはずだ。

吹き抜けから下を除くと、広場がグルっとパーテーションで囲まれていて、中に長机が置いてある。そこに5人が並んで立っている。スタドリだ。

周りにはスーツを着た沢山のスタッフらしき人がいて、ファンらしき人たちが列を作っていた。

スタッフに呼ばれた人が一人ずつ、パーテーションの中に入って、握手をして、反対側から出るという流れのようだ。

「お母さん!あそこにスタドリがいるよ!」

「本当だ、遠目に見てもカッコいいわね。」

「マジプリには、負けるけどね。」


ふと、出口の近くにいる4人に目が留まった。


女性2人と男性2人。男性の1人はスーツ姿。あの人は。。。

「お父さん!?」

「え。こんなところにお父さんが居るわけないじゃない。」

「いや、あれ、お父さんだよ!間違いない。」

お父さんは、他の3人と話している。楽しそうだ。女性の一人は、この間の保険勧誘員の人に似ている。もしかして、Wデート?

「あれって、Wデートじゃないの?」

「いいえ。そんなはずはないわ。」

お母さんが、珍しく語気を強めて言う。でも、あれはお父さんだし、保険勧誘員の女性と一緒にいる。もう一組の男女も、おじさんと若い女性だ。Wデートに違いない。

「やっぱり、お父さん、クロだったんだよ。」

「そ、そんな。。。」

また、お母さんが泣きそうだ。マズイ。ここから離れよう。

と、その前に。

私はスマホで何枚か写真を撮った。

そして、お母さんの気持ちを落ち着けるために、カフェに入った。


「お母さん、落ち着いた?」

「ええ。」

お母さんは、やっといつもの顔に戻っていた。

「もう、これは決定的だよ。今日こそ、お父さんを問い詰める。」

「わかったわ。」

「お母さん、辛いと思うけど、私はお母さんの味方だからね。」

「そうね。ユイ、頼りにしてるわ。」

「今回も、私が話するから、お母さんは聞いてて。」

「真面目なおとうさんだったのに・・・」

お母さんが、また、泣きそうだ。

「お母さん、気晴らしに、もう少し買い物してから帰ろう?」

「そうね。そうしましょう!」

私とお母さんは、夕方まで買い物を楽しんだ。




【一方、その頃】




私たち4人はフードコートで打ち上げをしていた。

さすがに今回は4人とも興奮気味で、話がいくらでも出てくる。

スタドリというアイドルを通して、私たちの絆は、間違いなく強くなっていると感じた。


「やっぱり、直接触れ合うと、より身近に感じるよね。」

アヤ先輩も興奮気味だ。

「ユウくんの対応は、まさに神対応だったな。」

マサさんも顔を赤くしながら力説する。

「リーダーのコウくんが、やっぱり、流石リーダー!って感じだったな。」

ミドリさんが一番俯瞰でメンバーを平等に見てる気がする。

「初めての、しかも、こんなおじさんにも、ちゃんと対応してくれて嬉しかったですね。」

私も改めてメンバーそれぞれの良さを知った気がする。


「ケンジくん、CD見せてよ。」

ミドリさんが言うので、サインを貰ったCDをテーブルの上に出した。

「ウワー!」

全員の歓声が上がる。

「やっぱり、リュウくんは達筆だね。」

「タクミくんは、子供っぽい字だな。」

「コウくんは、キッチリした字だ。流石リーダー。」

「ケンくんは、そつなく書いてる感じ。」

「ユウくんは、字まで輝いてるね。」

5人のサインの端には、なんと『ケンジくんへ』と書いてある。

「これ、ユウくんの字だ。ケンジくん、宝物じゃん。」

アヤ師匠に言われて、誇らしい気持ちになった。

「一生の宝物にします!!」


私たちは、夕方には解散して、それぞれ帰路についた。

帰りの電車は、方向が同じアヤ師匠と一緒だった。

「ケンジくん。ご家族は本当に大丈夫なの?」

「まあ、今のところは。。。」

「推し活のこと、ちゃんとオープンにした方が良いと思うよ。」

「そうですか。反対されるかもなぁ。」

「ケンジくんの熱意があれば、きっと伝わるよ。」

「はい。頑張ってカミングアウトします。」

「そうだ弟子よ。その意気だ!なんちゃって。」

「はい。師匠。頑張ります。」




そんな会話をしていた、その時。

我が家では、鬼の形相の2人が、待ち構えているのであった。。。

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