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魔女の酸素
【魔女・1】
魔女は町から出られない。
だから海の無い町にいたって、こんな無痛の酸素は意味を持たない。
海水の味はもう知れないけれど、わたしは金魚鉢の中でだって、生きられたの。
ああ、今日はきっと晴れていて。光は海中に射し込んで。
砂が白くって、鮮やかな魚がいて──そんな綺麗な色を、狭い頭の中で考える。
でも、瞑ったままの目では水の冷たさしかわからない。
あまりにも滑稽で、笑うと、海水が口の中に流れ込んだ。
しょっぱいって昔、星に聞いた。
泡の音が遠のいてゆく。
もう辛さなんて感じない。
瞼を透かして光の束が在った。星よりも眩しい光が、切るように瞳に染みていく。
ああ、もうこれでいいかと諦めて、
諦めて、閉じることを決めた、その瞬間。
影が光を遮って、落雷みたいな音が鳴る。
あんまりにも力強いものだから、怖くなって身を縮めて、でもそんなこと意に介さないようで、かっさらうように
影は私を抱きしめた。
熱かった




