神に助けを求める
『なんということだ。私の情けゆえにこの国は乱れてしまった』
バルコニーに雷鳴と共に現れた白い影。
それと共に周囲の人々の時が止まった。
「なんだ、貴様は」
「カシェル。剣をおさめてください」
白い影へ抜き身の剣を向けるカシェルを、ジネヴラはその腕にしがみついて止める。
白い影は、白鳥に姿を変えてバルコニーに降り立つ。
『ジネヴラ、約束であろう。私を永遠に信奉すると。彼と共にいるということは、信仰を捨てること。それはならん、神との約束をたがえるということは、神の呪いを受けるということ』
「そんな」
『私は妬む神なのだ。そなたはその男を喪って、神を呪った。なればと思い、その男を救う手助けをしたというのに、お前はまた私を捨てようというのか』
燦然と光輝くその鳥は雷雲を轟かせ、ジネヴラに迫る。
「お前が神である筈がない。そんな利己的な神は神ではない」
「約束は、約束なのです。確かに私はそう約束したのですから」
カシェルがジネヴラを庇うように前に出て、ジネヴラは思わず彼を突き飛ばした。
数ヵ月後。
ジネヴラは神殿の祭壇の前で、祝福の聖詠を口ずさんでいた。
そこには可愛らしい女性と、引き締まった顔つきのカシェルがいた。
二人は純白の衣装を見に纏い、今や誓いの言葉を口にする。
「カシェル様、どうかお幸せに」
神の娘となったジネヴラは、二人がゆっくりと歩み行く門出を微笑みで見送った。
HappyEND




