王都への出発(今度こそ!)
それから私は自らの名と、この変身能力について、ここに至るまでの経緯を説明しました。
「うーんとつまり、王都行きの途中だったわけか。
なんかごめんね
というか、
元の人間には戻れないの?」
「えっと…」
「あっ!無理にというわけでは無いよ!
いやそのどんな人なのかなぁって気になってね!」
私の答えづらそうにしている様子に少女は気を使ってくれました。
「いえ戻れない訳では無いのですが…なんというかその…服が…」
「あ、あぁ…なるほどね」
彼女は訳知り顔で頷いてくれました。
服に関してですが、正確に言えばないことは無いのですがあまり着たくは無いのです。
体のラインが出てしまうので恥ずかしいですし。
「さて、とそろそろ帰らないとなぁ」
それから少したち、彼女が言いました。
そして立ち上がろうとしました。
「あっまだ!足は…」
「グッ!?」
足はまだ完治していないのです。
適切な処置を施し、痛みは引いたようですが、
まだ完治はしていません。
それを伝えようとしましたが、時すでに遅し、と言った感じですね。
「いった!?クッソまだ治ってなかったか!」
「えっとすいません…」
「あぁ気にしないで!元はと言えば私が悪いんだから!」
いやあの思い切り悪態ついてましたよね?
困ってる人を置いていくのは私も気が引けます。
それに私の秘密を明かしてしまったので、もう隠すものもありません。
なので私は彼女をできるだけ楽に移動できるよう、提案をすることにしました。
「…もし、もしよろしければですが…」
「ん?どうしたの?」
と私は意識を集中しました。
思い描いた像は大きな翼に大きい頭、全身鱗におおわれた、古の怪物であり、人類の友とも言われている。
名を…
「えっ!?ドラゴン!?」
「うわ〜!速い!」
私たちは森を飛び、王都へ向かっています。
「というかドラゴンなんて、よく変身できたね!もしかして前に会ったことあった?」
勘が鋭い人ですね。
「はい。実は前に1度だけあります」
「へぇー!すごい!また今度話し聞かせてね!」
「は、はぁ。と王都が見えてきましたよ!どこまで送ればいいですか?」
「じゃあ王宮までお願い!王宮の裏に裏庭があるからそっちの方がいいかも!」
うーん?なぜ王宮なのでしょうか?
私はてっきり王都の広場かと思ったのですが。
ますます彼女が何者なのか分からなくなりました。
それから方向を変え、彼女の言うとおり、王宮の裏庭まで来ました。
そこには王宮に隣接する形で建物がありました。
これが噂の離宮っていうやつでしょうか?
「ここでいいよ。ありがとう」
「わかりました」
私は着陸体制を取り、裏庭に着地しました。
それから程なくして、2人分の足音が聞こえました。
…というより、なぜ私は王宮にそれも裏庭にいるのでしょうか?
これって泥棒に見えませんかね?
しかもドラゴンだし…。
私は我に返り、近づいてくる人影に身構えました。
その人影はこちらに近づいたと思うと、姿が突然消えて、私たちの横にいました。
私が謝罪を述べようとした瞬間隣からゴスッという鈍い音が聞こえました