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彼女との出会い

どのくらい寝ていたでしょうか?

気づいたら日は傾き始めていました。

そしてなんだか、あたたかいような…

私はそっと目を開けました。すると目の前には大きな人の顔が…

「…!」

私はすごくびっくりして、落ちそうになりましたが、彼女が支えてくれました。

足元は彼女の手のようで、どうやら私を手に載せているようです。

「あなたが助けてくれたの?」

と独り言のように彼女は言いました。

きっと私に対してでしょうが、何しろ鳥ですから、話しかけることはできません。

さてどうしたものでしょうか?

「それにしても…」

と彼女は自身の足から全身を流し見し、

「あの怪我を治すなんてね、どんな魔力量してるんだろう?

というかそもそもどうやって?」

彼女の怪我は治りつつあります。

ただ完全ではありません。

とりあえず大事には至ってなくて、私は密かに安堵し、じとっとした視線にはっとしました。

どうやら彼女のようです。

その視線はすぐにでも解明したい!と思っているかのようで。

それから彼女は私を持ち上げたり、触ったりと色々と試しだしました。

だんだん不味くなってきたように感じ、怖くなってきました。

自分の身分を示さなければどうなることか…。

でもどうしましょう?持ち物は少ししかありませんし。

今は王都に向かっている最中、身分を表せるものは…

ん?待てよ?

私は彼女にバレぬよう(バレても良いのですが)

提げていたポシェットの中を覗きました。

中には僅かな所持品ときらりと光るものがありました。

その光るものは外の光に反射し、黒と金色に輝いています。

私は輝くそれを彼女の足元に落としました。

「なんの音?」

彼女は私の方から目を離し、物音がした方を見ました。

そして反射し、光る物体をみつけました。

私から手を離し、それを手に取るなり驚きました。

「え?これって徽章だよね?しかもルート商会のだし…」

そうこれは私の身分を示すもの。

人目で関係者であることが分かるものです。

私は近くの木にとまるなり、持ってて良かったと心底ほっとしました。

ただ、私は可能性というものを考えてはいなかったのです。

基本的に徽章というのは身分を示すもので、関係者が持つものですが、いくつか例外があります。

そして私はその例外に漏れず…

「さては盗んできたな!」

と彼女に言われました。


そう窃盗です。

または商会の馬車を襲い、商人達を殺め盗んだものです。

その時でも、持っている可能性はあります。


私は困惑し、彼女を見つめました。

彼女は私の方を見て、それから剣に手をかけ始めました。

まずい…。

そう思って改めて考え始めた時、気づきました。

そうです。今私は鳥なのです。なので通用するわけがありません。

彼女から見たら鳥が光るものを見つけて奪ったとしか見えませんし、動物を殺めることについてこの国では厳重というわけでもありません。

それに彼女の表情。

あれはここで止めなければ本当に斬られるかもしれません。

「ま、待ってください!私はルート商会のものです!どうかお話を!」

と私はもう全てを諦め、目の前の少女に命乞いをしました。

すると彼女は持っていた件を取り落とし、

「え!?鳥が喋った!?」

と。

あぁ、どうしてこうなってしまったのでしょうか…


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