魔法研究とスカウト
私は王都へと-。私は工房へと向かっていた-。買い付けのために、王都には面白いものが沢山ありますから-。
新しい魔道具、新しい世界!私だけの魔法!-。
交差点を曲がり、顔見知りの商人に会釈をし-。
さて帰りますかと工房を出て、上機嫌で道を通る。
「今日は優しい風が吹くね」
「今日も優しい風が吹きますね」
そう-
呟きながら歩いていた。
「きゃっ!?」「おっと!?」
何かにぶつかった。いや-。
-それは、もはや神様に既に決められていたことなのかもしれません。
私は出会ってしまった。綺麗な青色の髪に少し幼さが残る顔、その胸には商会の徽章が-。
私は出会ってしまいました。短く明るい髪に、動きやすそうな服、言わずと知れた王家の顔。
「あっごめんぶつかっちゃった」
「あっいっいえ滅相もございません」
私は反射的に謝り、私は慌てて否定しました。
「えっと、貴女の名前を聞いてもいいかな?」
私は興味を持った。なぜかは分からない。ただどうしようもなく、彼女に惹かれたから。
「私の名前はミシェールと申します」
私は名を告げました。なぜ王女様に名を訊ねられたのかは分かりませんでしたが。
「そっか!今日はごめんね!商会のお仕事頑張ってね!じゃあね」
私は思った。彼女との出会いはきっと偶然では無い。そしてこれから何かを変える気がする。
だから-。「ミシェ!」と。
-「ミシェ!」と私の名を仰った意図は分かりませんでしたが、それでも、なぜかあの方とはまたご縁があるような気がします。
もしかしたらこれが商人の勘というものでしょうか?
もしくは天命により定められし、事柄なのかもしれません。
「さて、次のお店へ行きますか!」
わたしは気を取り直し、歩みを再開しました。
実際、先程のことが偶然かどうかは分かりませんし、ある意味必然なのかもしれません。
でも、そんなことを気にもしていられません。
天命に定められているのであれば、いずれわかることです。ならばそう信じて進んでいくだけなのです。
私はそう心に決めながら、
今日もお店の戸を開きました。
そんな私へまるでおうえんをするかのように、優しい風が吹きました。
やはりいい風が吹きますね。
どうか末永く続きますように。