ある日突然、婚約者の王太子殿下が口をきいてくれなくなりました。その理由とは私の腹違いの妹でした
「…殿下あの」
「……」
私は殿下に話しかけても口をきいてくれないのに今も何気ない世間話を装って話しかけています。
しかし無言でしたわ。
「殿下、今日も良いお天気ですわよねえ」
「……」
…いえ無視というか目は合わせてくれるのです。お茶もしてくれるしでも口をきいてくれないのですわ。
しかもある日突然でした。
私は原因は何か考えましたがとんと浮かびません。
「…殿下、お茶がおいしいですわね」
「……」
3か月ほどこれが続き、周囲の人も何があったのかきいてきますが、私何もしてませんわ。
「もう耐えられないかもしれませんわ」
私は実家の父にとうとう泣き言を言ってしまいました。
しかし父は我慢しろというばかり。
「…お姉さま、どうされましたの?」
「いえなんでもありませんわ。マリエル」
私は妹に向かって笑いかけます。マリエルは1年前にできたばかりというか、父が外で作った娘でした。
とてもきれいな子で、お母さまは踊り子だったそうです。
どこか生気がないというかか弱げな感じがいいのか、男性によくもてました。
「…そうですか」
マリエルの唇の端があがったように見えたのは気のせいだったのでしょうか?
そして私はやはり王宮に帰っても殿下に無視される日々が続いたのです。
「あれは根を上げようとしないが…」
「あの人は甘い人ですからもう少しです殿下」
私が眠れず庭を散歩していたら話し声が聞こえてきました。
思わず隠れるとそこにはマリエルと殿下がいたのです。
「お姉さまから婚約破棄させれば、慰謝料を払わずにすみますし、根をあげるのが待つのが得策です」
「そうかい、君を見た時から私は君に夢中だマリエル。ああ愛しいマリエル」
…ああそうですかなるほどなるほど口をきいてくれない原因が自分にあるかと悩んだ私がおバカでしたわ。
しかしこんなところで逢引きなんて…詰めが甘いですわ。
ええ、絶対に復讐をいたしますわ。
私のスキルは使い魔を操ること、私は鳥に伝言をのせあらゆるところに飛ばしました。
するとぞろぞろと人々がやってきたのです。
「…こんな夜中に何をしている!」
「ひ、殿下!」
「父上!」
『お姉さまは気が弱いですから、無視し続ければ婚約解消を言い出しますわ』
『そうだね愛しいマリエル。私の真実愛するのは君だけだ』
私の使い魔から流れてくる二人の声、これが私の使い魔のもつ特性でした。ある一定の伝言を保存できるのですわ。
「…情けない…何の罪もない婚約者を無視してその妹と不義の逢引きとは、お前を謹慎させる! そしてマリエルとやらお前は不義の罪だ! 沙汰を待て!」
衛兵が現れ、マリエルが連れていかれます。
「申し訳ないこんなことになっているとは…」
私は陛下や王妃様、そしてあらゆる人たちにこの逢引きの様子と庭で逢引きをしているということを伝えたのですわ。
瞬時に伝えられるのです。
「いいえ…」
私は陛下や王妃様に謝罪され、殿下はこの後廃嫡、マリエルは不義の罪により辺境の修道院送りとなりました。
だがしかし…それほどの甘ちゃんだと思われていたとは…。
マリエルはお母さまを亡くして気の毒だと思って優しくしていただけですわ。私、敵と分かった相手には容赦しませんの。さて私は第二王子との婚約を提案されましたがどうしましょう。
うふふ、マリエルの悔し気な様子でも使い魔を使って観察しながら考えましょう。
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