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61.自衛隊の出番は中々減らない

 


 新世界歴1年7月10日、アルテシア大陸 日本領 ラステーナ基地より北東方向700km 第101都市開発予定地


 日ス両軍の上陸地点であるラステーナ基地より北東方向の河川の河口付近に建設される予定なのが、第101都市(仮)である。

 第101都市という名前は第1次開発の01番目の都市という意味である。

 ちなみに第1次開発は計4都市を開発する予定の為、第101都市(仮)〜第104都市(仮)まである。


 そんな第101都市(仮)開発予定地は河川河口の中洲である。

 アルテシア大陸北東部の山岳地帯から流れてくるこの河川はパッと見ても日本にあるどの河川よりも距離・流域面積・流量が多い。

 その為、中洲と言っても軽く東京23区の約3分の2もの面積があり、その場所に第101都市(仮)は開発されている。


 第101都市開発計画では約150万人の都市を想定しており、東京23区の約900万人と比べると非常にゆったりとしたとした都市開発である。

 ただ、防衛省が決定した新大陸防衛計画によりそれぞれの都市全てに陸上自衛隊駐屯地を置く計画がある為、400㎢の面積のうち約30㎢は自衛隊駐屯地用地として既に確保されている。

 ちなみに400㎢という面積は日本最大面積の市になる予定だ。


「工事はどの程度進んでいます?」

「整地などはだいたい3分の1程度は終わったかな?港湾施設に関しては来月の中頃には使えるようになる。」


 海上自衛隊輸送部隊の隊員と民間の大手ゼネコンの工事担当者達が話していた。


 彼等の話通り、この第101都市(仮)はまだ滑走路や港湾施設などは一切完成していない。

 だが、開発予定地の中洲には様々な大手ゼネコンの重機などが稼働しており、急ピッチで地ならしなどを行っていた。


「しかし自衛隊も大変だよなぁ。海自の揚陸艦だってそんなに数無いだろ?」

「稼働している輸送艦は全て投入してますね・・・はい。」

「・・・マジで?」


 実は第101都市(仮)開発予定地は中洲にある為、海上自衛隊の輸送艦からLCACや上陸艇などを使い重機や工事要員を輸送していたのだ。

 この事については野党から「自衛隊の私事利用だ!」と、同じ与党からも「自衛隊は便利屋では無い!」と批判があったのだが、民間企業にインフラが一切無い未開地で開拓して下さい、は無理があった。


 同じ問題からスフィアナでも海軍が手伝っており、アメリカのフロリダ沖に現れた島も海軍が開発の手伝いをしていた。

 どの世界のどの国の会社にも揚陸出来るような艦艇や人員などは存在しないのだ。


「空自も空から機材を空挺降下させてますし、飛行場や港湾施設が出来たらようやく任務から開放されますね。」

「だけど熊みたいな猛獣もチラホラ出てますんで、今自衛隊に居なくなられても困りますなぁ。」

「1個連隊程度は残りますから多分大丈夫でしょう。」


 第101都市(仮)はまだ開発中の為、人口は未だ0人である。

 その為、第101駐屯地(仮)にも部隊は駐留しておらず、今いる部隊は陸上自衛隊の施設科部隊か、もしくは魔獣(獣)対策の普通科中隊程度である。

 ちなみに現在、第1次開発計画により開発される5つの都市に設置される駐屯地に配備される陸上自衛隊部隊は防衛省内でかなり揉めたのだが、北海道の第7師団が移駐する事になった。


 移駐に従い第7師団隷下の3個戦車連隊のうち1個戦車連隊は同じ北海道に配備されていた第5師団に移動され、第7師団には新たに2個普通科連隊が新設される予定になっている。

 その為、移駐が完了する頃には第7師団は2個戦車連隊と3個普通科連隊の5個連隊規模の部隊になっている筈だ。

 ちなみに第2次開発時には九州の第4師団が、第3次開発では四国の第14旅団がそれぞれ残存部隊と同様に増強されて移駐される予定だ。

 恐らくその頃には日本本土で陸上自衛隊の再編があると推測される。


「でもまだ暫くは終わらないよなぁ。」


 結局は自衛隊はある意味での便利屋として既に認識されている為、もし憲法が改正されてもその認識は当分、改まらないだろうと隊員は思った。





 新世界歴1年7月10日、日本国 岐阜県各務原市 航空自衛隊 岐阜基地


 航空自衛隊岐阜基地は日本で初めての飛行場という大変歴史のある場所なのだが、今現在は拡張され3000m級の大型旅客機でも離着陸出来る滑走路を備えていた。

 見た目としては都市郊外の空港と対して変わらない見た目なのだが、民間機は一切おらず航空自衛隊の戦闘機部隊や輸送部隊などの実戦部隊は一切配備されていない。

 では、何の為の基地なのかと言うと、航空自衛隊で使用される装備品の開発や試験などを行う基地なのである。

 その為に、試験や開発などを行う飛行開発実験団が所在している。


 そしてその関係上、様々な航空機を改造する事も多い部隊の為、COIN機を想定して開発されたT-8練習機を改造するのは非常に簡単な事だった。

 (防衛省)からはミレスティナーレに輸出する上で出来るだけ安くするように求められていた。

 何故ならイギリスには練習機・攻撃機である『BAe ホーク』があるからである。


『BAe ホーク』は世界中で約900機近く生産された傑作機であり、日本の『T-8』改造機より積み重ねがあった。

 最も、現在でもイギリス空軍で使用されている『BAe ホーク』を歯向かう可能性のある国に輸出するか?という疑問はあったのだが、それを言ったら『T-8』は空自の最新鋭ジェット練習機の為、そういう事は気にしない方針だった。


「T-8・・・だよね?」

「T-8・・・ですね。」


『T-8』ジェット練習機の生産を引き続き担っている川崎重工からCOIN機化完了の連絡を受け防衛装備庁の担当者達が工場のある岐阜基地に向かい、現物を見た後の反応がコレである。


「はい。これがT-8ジェット練習機のCOIN機化、いわゆる武装強化バージョンのFA-8攻撃機ですね。お値段は頑張りまして、100機調達致しますと1機辺り約28億円になります。」


 防衛装備庁の担当者が完成機を見て絶句しているのを無視してK重工の担当者が説明をする。

 ちなみに彼等に名前を決める権利は無いのだが、普通に考えて『FA-8』になるだろう。

 だが、問題はそれではないのである。


「ちょっと待って!コレで飛ぶの?」


 防衛装備庁の担当者が指摘したのはT-8の胴体下と翼下についているパッと見て過剰とも呼べる装着物だった。

 当初、T-8改造機には7.62mm機関銃のガンポッドが取り付けられる予定だったのだが、ミレスティナーレが最低でも20mmという要望を出していた。

 その為、F-35Bに25mmガンポットがあった事を思い出し、アメリカ政府に許可を取ったのだ。

 それで取り付けたのが胴体下。

 更に両脇の翼下には短距離対空ミサイルが2発づつ搭載されている。


 ここまでは良いのである。

 問題は25mmガンポットが搭載されている胴体下に更に燃料用の500ガロン増槽が設置されている事であった。


「こんなにゴテゴテ取り付けて飛行性能は大丈夫なのか!?」

「えぇ、一応シミュレーションはしましたし、BAEシステムズの人間も開発に携わってますから・・・」


 こんな所までイギリスのBAEシステムズが来ているのかと驚愕した防衛装備庁担当者達だったが、良く考えたら現在飛行試験中の『F-3』戦闘機での関係でK社と接点があったなと、思い出した。


「試験飛行はまだですけど、コンピュータ上は問題無いですね。一応増槽を外しても良いんですが、元が練習機ですので、武装を付けてしまったので、それだと航続距離が2000km程度しか無いんですよねぇ。」

「有れば?」

「2600km程ですね。」


 一応、コンピュータ上で問題が無いのなら空力的には問題が無いんだろうが、コレに乗るのは是非遠慮したかった。

 だが、増槽を付けた『T-4』や『T-8』が目の前に見えるソレと大差ないのを考えると、案外見た目は当てにならないものである。


「そう言えばF-104も外観アレだしなぁ。」

「それでその試作FA-8はどのくらいのスピードが出るの?」

「大体M0.95ですね、巡航はM0.8ですが。」


 まぁ、その辺りは所詮練習機かと安心した。

 ただ、約800mの滑走路でも運用出来る辺りはスウェーデンの『JAS 39 グリペン』と同程度の離着陸性能である。

 最も『グリペン』は純粋な戦闘機なのに対し、こちら側は練習機を改造したCOIN機という違いはある。


「そう言えばスフィアナの方は大丈夫なんですか?」

「スフィアナ?そっちの方はあんまり情報が無いからな。鉄道の方はJRが色々とやってるみたいだが、安全保障に関してはサッパリだよ。」


 ちなみにイギリス政府が敗北したミレスティナーレでの新路線建設計画ではイギリスは日本対イギリス対スフィアナだと思っていたが、実際には日本・スフィアナ対イギリスだったのを後から知った。

 ちなみにスフィアナと日本が手を組んだ理由はJRが色々動いた事とスフィアナの鉄道も日本と同じ狭軌を採用していたからである。

 日本とスフィアナの鉄道幅が同じなのは偶々である。

 ・・・・・偶々だよな?


 その事についてはさて置き、このゴテゴテした機体を誰かが操縦して空に飛ばさないと行けないのだが、実際に飛ばさないメーカーの人間は気楽だった。





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― 新着の感想 ―
[一言] これぞ「モンキーモデル」と言う感じだな
[気になる点] F-35B/Cのガンポットは25mm機関砲だよ。
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