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59.在日・在英米軍基地の行方

 


 新世界歴1年6月20日、日本国 大阪都 中央区 近畿中部防衛局 会議室


 大阪城近くにある防衛省地方防衛局の一つである近畿中部防衛局の会議室では防衛省所属の官僚やて国土交通省、総務省からも出席者達が居た。

 これから行う会議は『在日米軍基地返還に伴う自衛隊基地及び駐屯地への転用』というかなり大事な会議である。


 何故、東京の市ヶ谷にある防衛省で行わないのかと言うと、ただ単に今年に入って自衛隊の増強や新大陸の防衛、更にはNPTO間の調整などで会議室が足りないのである。

 だからと言って国土交通省で行っても、国土交通省内には新大陸開発庁が設置されており、こちらも会議室が足りない。


 更にマスコミなどに嗅ぎ付けられたら非常に面倒な事になる為、こうして地方防衛局の会議室で行う事になったのである。

 そして、その選択の中で近畿中部防衛局なのは関係無い。

 交通の便が良い地方防衛局なら何処でも良かったのだ。


「それでは『在日米軍基地返還に伴う自衛隊基地及び駐屯地への転用』に関する会議を始めたいと思います。」


 司会進行役の防衛省官僚がメモに書いている通りのセリフを慣れたようにスラスラと話していく。

 ちなみに今回の会議で話されるのは三沢基地、岩国基地、横須賀基地、佐世保基地の4大基地である。


 この4大基地と沖縄の嘉手納基地と辺野古基地は縮小されていた在日米軍でも最後までアメリカ軍が手放さなかった基地でもある。

 細かい事は決まってないのだが、在日米軍基地の一部を自衛隊が継承する事については三沢市、岩国市、横須賀市、佐世保市の4自治体と話は既に付いている。


「在日米軍基地の自衛隊への継承と言ってもなぁ。沖縄方面は終わったからまだマシか・・・」

「ちなみに横須賀市や佐世保市、岩国市や三沢市、そしてその周辺自治体からは可能な限り自衛隊が継承する事が望ましいとの要望書を頂いています。」


 これまで在日米軍基地があった自治体からすればいきなり返還されても税収が大きく落ち込む事は間違いなかった。

 逆に在日米軍基地があったから財政上裕福な自治体もあったのだ。

 ちなみに『可能な限り自衛隊が継承する事が望ましい』と要望書に記載されているが、全て自衛隊が受け継ぐのは困る。

 どの自治体も在日米軍絡みの問題は少なからず有ったからだ。


 そしてそのような要望書を渡された防衛省としては非常に困っていた。


「って言われてもな。横須賀や佐世保は海上自衛隊の大幅増強が有るから相当な土地が継承されるが、岩国と三沢はな。・・・アレは広過ぎる。」


 気になる人はGoogle Earthでも見て貰えば良い。

 三沢基地も岩国基地も尋常無く広大な基地である。

 普通に考えていきなりそれだけの施設を管理しろと言われても無理である。


「敷地内に映画館やゴルフ場なんかあっても管理しきれない。」

「って言うか教会など要らんぞ!」

「福利厚生と言えばそれまでだが、周辺地域で何とかなるからな。」


 三沢基地や岩国基地にはゴルフ場や映画館、ショッピングモールや教会まである。

 基地内で働いているのはアメリカ軍人なので福利厚生と言われればそれまでなのだが、日本人である自衛隊が使うには一切必要無い施設だった。

 特に学校などは基地内には必要無かった。


 先に返還された嘉手納基地や他の基地でも真っ先に解体されたのはそういった福利厚生関連施設だった。

地元自治体としても市街地に出て金を落として欲しいからだ。


「それで?まず先に岩国基地はどうする?」

「基地の半分は返還して公園にでもすれば良い。」

「海上自衛隊の航空部隊も使用しているのだから全返還は無理だな。」


 岩国基地は海上自衛隊の電子戦データ収集機である『EP-3』『EP-1』や掃海・輸送ヘリコプターの『MCH-101』などを運用している部隊などが配備されている。

 だが、どう考えても広大な岩国基地を今居る部隊だけで管理出来るとは到底思えない。


「・・・では次に横須賀基地だ。」

「横須賀基地に関してはそこまで悩む必要は無いのでは?在日米軍の基地を全て自衛隊が継承し、海上自衛隊横須賀基地を移設、これまで使ってきた横須賀基地は一部を除き閉鎖。」

「自衛隊の横須賀病院は?」

「閉鎖か、民間に売却して米海軍の横須賀病院に移設すれば?吾妻島も海自の燃料貯蔵施設として使えば良い。」


 海上自衛隊横須賀基地が海岸線に沿って立ち並んでるのと比べたら在日米軍横須賀基地は小ちゃな半島丸々が基地になっている。

 対ゲリラや機密保護などを考えれば在日米軍横須賀基地の方が良いのは当たり前だ。

 そもそも現在の在日米軍横須賀基地は旧大日本帝国海軍の横須賀海軍工廠跡につくられた基地である。

 海軍基地としては現在の海上自衛隊横須賀基地よりも遥かに良い立地だ。


「佐世保基地も同じで良いのでは?」

「確かに海上自衛隊の施設もまばらだからな。」

「今後合わせて20個護衛隊になるんだろ?プラスで必要じゃ無いのか?」


 横須賀基地に関してはあっさり決まったが、佐世保基地については揉めた。

 佐世保基地の近くには日本版海兵隊である陸上自衛隊水陸機動団が駐屯している相浦駐屯地があったからだ。

 現在も佐世保基地は実質的な揚陸艦である【ぼうそう型】輸送艦3隻の母港となっていた。

 その為、かなりの係留能力が必要だった。


「だが、全てを継承するのは不可能じゃ無いか?減ったとはいえ、まだまだ煩い団体も多いぞ?」

「無視出来る規模だろ?」

「だが、辺野古みたいに基地前で騒がれたら面倒だぞ・・・」 


 何故か日本のそういう団体は成田空港などの時からそうなのだが、施設の出入り口に陣取り、中に入る工事車両を邪魔したりするのだ。

 法律に照らし合わせたら色々と捕まえられそうなのだが、何故か警察は見て見ぬ振りをする。

 面倒な事になるのが目に見えているからなのだろうが・・・


「下地島の時も面倒だった。」

「嘉手納の時もな。」

「世代交代で多少は減ったか?」


 常識的に若い人はそういうのは思っていても口に出さないのだが、安保闘争や学生運動などをしていた活力ある時代の人達が抗議活動などを行う。

 まぁ、どちらが正しいのかはさて置き、安保闘争から70年も経てばその闘争に身を置いていた人は動けなくなるか、あの世に行ってるだろう。

 近年になってそういう運動などが少なくなったのにはそういう理由もある。


 ちなみに下地島空港の軍民共用化の時には住民投票が行われた。

 結果的に賛成多数で航空自衛隊下地島基地が出来たのだが、反対派は諦めが悪く住民投票後も反対運動をして工事の邪魔をしていた。


「とりあえずは全て自衛隊というか防衛省が管理するんだろ?」

「危険物や武器もそのままだしな。」

「近隣の陸自駐屯地から動員するか・・・」


 この隙に在日米軍の武器を奪われて事件でも犯されればたまったものではない。

 現在は各在日米軍基地に隣接する自衛隊基地や駐屯地から銃を持った隊員や警察がとりあえず警備にあたっているが、今のところ心配したような事は起きていない。


「っていうか、今時そういう事って起きんだろ?」

「変な奴も居るから警備するに越した事はないだろ。」


 結局、在日米軍基地の自衛隊への転用に関する会議が在日米軍基地の警備に関する会議となってしまったが、この会議はマスコミ向けに公開される会議の根回しでしか無いので、既に三沢市、岩国市、横須賀市、佐世保市などの各地元自治体の確約を貰った今、する事は殆ど無いのだ。


「結局は地元自治体も補助金や基地給付金が欲しいから殆ど自衛隊が継承するんだろうなぁ。」


 会議参加者の1人が言った事が結論だった。

 身も蓋も無いが、既に地元自治体は基地に頼りきった財政運用をしている為、無くなったら困るのが現状であった。





 新世界歴1年6月20日、イギリス連合王国 首都ロンドン ウェストミンスター地区 国防省


 日本で防衛省や各地元自治体が残された米軍基地をどうするかで悩んでいる頃、イギリス国防省でも同じ在英米軍基地に関する会議が始まったのだが・・・


「レイクンヒース空軍基地とミルデンホース空軍基地だろ?レイクンヒースの南西10マイルにはミルデンホースがあるし、近すぎるから片方は閉鎖したら良いんじゃ無いか?」

「そもそも米軍基地はミルデンホースだけだろ?レイクンヒースは我が軍が貸してるだけだしな。」


 日本の三沢基地(空軍)岩国基地(海兵隊)のように数百キロ離れている訳でも無い両基地はそれなりの規模の基地の為、イギリス空軍が使うには過剰過ぎたのだ。

 そもそもアメリカ空軍の基地であるミルデンホースは良いとしてレイクンヒースはイギリス空軍の基地だが、アメリカ空軍に貸しているというややこしい状態だった。


「ではレイクンヒース基地はそのまま空軍が使うとしてミルデンホース基地は閉鎖するという事で宜しいか?」

「「「異議なし!」」」


 イギリス国防省内での在英米軍基地に関する会議は日本国防衛省近畿中部防衛局での会議の約10分の1の時間で終わった。






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