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29.国際連合

 


 新世界歴1年1月29日、アメリカ合衆国 ニューヨーク 国際連合


 転移から1ヶ月が経ち、ようやく偵察衛星・GPS衛星・通信衛星が打ち上げられ、ようやく本国と連絡の取れるようになった各国の国連大使はここ数日間は激務だった。

 そして国連の安全保障理事会が開かれる今日、それなりにゆっくり出来る大使達は殆どいなかった。


 しかし、そんな国連の一室、セキュリティが確保された部屋には3名の男性がくだ〜と紅茶を飲みながら寛いでいた。

 国連日本大使、国連イギリス大使、国連オーストラリア大使の3名である。

 当然ながらこの3名にも各国から会談要請があったのだが、言ってくる事は皆同じであるので3ヵ国で会談している事にしてのんびりと寛いでいるのである。


 ちなみに国連台湾大使は国連中国大使に国連加盟への根回し、アイルランド及びアイスランドはヨーロッパの国々の大使に捕まり、会談。

 ニュージーランドの国連大使もオセアニア諸国の大使に捕まり会談中である。

 オブザーバーとして招かれたスフィアナの外交官は国連の職員に案内され国際連合などについて説明を受けていた。


「しっかし、うちからアメリカまで1万2000kmかぁ。もう飛行機で来れないなぁ。」


 国連日本大使は紅茶を飲みながら、日米間の広がった距離について呟いていた。


「頑張れば行ける?いや、厳しいな。」

「需要はあるだろうが、遠すぎるな。」


 国連イギリス大使と国連オーストラリア大使が次々に答える。

 一応、1万2000km飛行出来る機体が無い訳では無いが、パイロットや乗客の疲労を考えると現実的では無い。

 恐らく、少し昔みたいに給油地に降り立ち給油しながらという風になると思われている。

 まぁ、前世界ではイギリスのBA航空がイギリス・シンガポール間の1万1000kmの世界最長の無給油定期航路を有していたので案外なんとかなるかもしれない。


「しっかし、それより問題なのが・・・」


 イギリス国連大使が深刻そうな顔で呟く。

 彼の発言に何の事か分かった日・英国連大使も同じ深刻、というか面倒そうな顔になる。


「戦争をしている国が多過ぎますなぁ。」

「あぁ、アメリカに中国にヨーロッパ。すぐに終わる戦争じゃ無いな。中国は核まで使ってるそうだし、うちに被害が来なければ良いが・・・」


 3ヶ国の中で最も中国に近いオーストラリア大使が呟く。

 最も近いと言っても中国からオーストラリアまでの直線距離は約9000km、何かあっても被害が及ぶような距離では無い。


「それより問題はアメリカだ。確か今戦争中の国ってスフィアナの世界の国だろ?1970年代の技術レベルの訳がない。」

「だが、アメリカも戦争している訳だし、そのくらい分かっているのでは?」


 イギリス大使の発言にオーストラリア大使が宥めるように言う。

 同じような事をスフィアナから聞いている日本大使も何処か腑に落ちないようだ。


「スフィアナの大使から聞いた話だと、その国の名前はテルネシア連邦。スフィアナの世界で1番の実力を持つ軍事大国らしい。今回ばかりはアメリカもただでは済まないだろうな。」


 地球で言えば中国と戦争しているような物である。

 アメリカは当初は楽な相手だと思っていたようだが、これはかなりの泥沼になるだろうとこの部屋の誰もが思った。

 国連日本大使も、サッサと在日米軍にはお引き取り願おうかな?と思っていた。


「ところでスフィアナの順位は?」

「・・・5位だそうだ。」


 スフィアナの軍事力は明らかに日本より上である。

 しかし地球の軍事力ランキングでは日本の順位は7位。

 通常戦力だとスフィアナの順位は地球だと、かなりの上の順位に食い込めるだろう。


「それはマズイかもねぇ。」


 オーストラリア大使がそう言うが、マズイというのはスフィアナの世界の特殊な軍事環境もある。

 スフィアナの世界では核保有国は存在しない。

 その為、戦力は通常戦力での評価になるのだが、それが1位というのはかなりの軍事大国と言うのが分かるだろう。

 ちなみに地球世界での1位は皆も知っての通りアメリカである。


「スフィアナの大使はあくまでも推測だと言っていたが、中国が戦争しているアルテミス人民共和国が3位、ヨーロッパが戦争をしているレムリア帝国が4位だそうだ。」

「レムリア・・・あのスペインの都市に無差別攻撃をした国か。近くに居なくて良かった。不幸中の幸いか・・・」


 そう言ったのは元々ヨーロッパの国だったイギリス国連大使である。 

 前世界と同じ地理的状況だったならばイギリスは間違い無く出兵していただろう。


 スペインを潰し、民間人を簡単に虐殺するような国の近くに居たいなんて、何処の国が思うだろうか?

 そう考えての「不幸中の幸い」発言である。


「面倒な会議になりそうだ。」


 国連日本大使のその発言が3名の現在の心境を表していた。





 新世界歴1年1月29日、アメリカ合衆国 グアム アンダーセン空軍基地


 アメリカ空軍アンダーセン空軍基地は3218mの滑走路と並行して3409mの滑走路がある巨大空軍基地である。

 アンダーセン空軍基地は第36航空団が居る事になってるがら第36航空団の所属部隊は無く、基本は他の航空団の航空機がこの広大な基地に居る。


 現在、この基地に居るのは嘉手納基地から後退した第18航空団の『F-15EX』戦闘機と第35戦闘航空団の『F-16C/D-50』戦闘機である。


 普通ならこのアンダーセン空軍基地は日本や韓国、フィリピンの基地の後方支援基地の筈だった。

 しかし、転移によりテルネシア連邦(アメリカはまだ国名を知らない)との戦争で最前線基地となったのである。


 しかし今日はそんなアンダーセン空軍基地にはお客さんが居た。

 遠くサウスダコタ州のエルスワース空軍基地からやって来た『B-1B』戦術爆撃機を有する第28爆撃航空団御一行である。


 今、エプロンに駐機してあった機体が一斉離陸の為、滑走路端に接続する誘導路に向かって移動していた。

 『B-1B』戦術爆撃機1機辺りAGM-158 JASSM巡航ミサイルが6発搭載されていた。

 そんな『B-1B』の15機の群れである。


 唯一無二の圧倒的とも言える特徴的な機体の後方に付いている2発のエンジンから火を吹きながら、離陸態勢を整えていった。


 その時だった。


 まず最初に気付いたのはアンダーセン空軍基地に設置されているレーダーサイトの監視員である。

 突如、レーダーに数十個の小さなグリップが浮かび上がり、そのグリップ全てがこのアンダーセン空軍基地に向かっていたのである。

 基地の防空を担っている『PAC-3』迎撃ミサイル部隊に指示を出そうとした時には遅過ぎた。


 海面ギリギリを飛行していたそのミサイルは一旦真上にポップアップし、レーダーサイトに突っ込んだのである。


 レーダーサイトは瓦礫の山となり、その爆発音で基地の人間には何が起きたのか理解出来た。

 しかし、理解出来た時にはもう、遅過ぎた。


 展開していた『PAC-3』部隊、『B-1B』編隊がズラズラと並んでいる誘導路、『F-15』戦闘機や『F-16』戦闘機が駐機しているエプロン、広大な兵士達の宿舎や燃料タンク、その全てが彼等の目標だった。 


 アンダーセン空軍基地から6.4km離れている街、ジーゴの住民が爆発音に驚き、慌てて外に出て基地の方を見る。


 彼等の目に映ったのは燃え盛るアンダーセン空軍基地だった物だった。


 更にその数分後、島の南西にある軍事関連施設や軍港施設にも彼等(テルネシア)の攻撃目標となった。


 アンダーセン空軍基地の時と同じく、数十発にも及ぶ巡航ミサイルによる攻撃。

 軍事基地は壊滅し、離れた別の島からその様子を眺めていた住民曰く「島が燃えているようだった」そうだ。


 その15分後、無理矢理起こされた大統領が国防長官からグアム島壊滅の知らせを聞いた。

 その時の大統領の反応は余りの驚きに失神したそうだ。


 アメリカは自国レベルの軍事力を持つ国に手を出したのである。

 後に第二次太平洋戦争と呼ばれる戦争でアメリカが多数失った基地の最初が、このアンダーセン空軍基地だったというのは、後になって知る事である。





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― 新着の感想 ―
まぁ2025年の実際のアメリカの国力と工業力ではこんなアホな戦争は仕掛けないでしょうね。事前偵察もせずに第2のトンキン湾事件起こすほどではないかな?かのUSスチールも設備の老朽化。ウクライナ戦争で判明…
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