歪んだ思想
そして俺と琴海が学校に向かっていると後ろから1人の男が近づいてきた。
「よっ、おはよう仁也、琴海ちゃん」
「ああ、おはよう龍二」
「龍二先輩おはようございます」
冴島龍二
俺のクラスのムードメーカー的存在で幼なじみでもある。元は黒髪のままだったが、あのクラス以降、髪を金色に染めている。別にチャラ男という訳では無いが、元気の良さと金髪から他の人にはチャラ男に見えてるらしい。
「琴海ちゃんも昔みたいにりゅう兄って呼んでくれたらいいのに」
「そういう訳にも行かないよ私も高校生だし、学校とかでは上下関係ってやっぱり大事だしね」
「まあそうだけど、本人達しか気にしてなかったらいいんじゃない?そこん所はお兄ちゃん的にどーよ?」
「お兄ちゃん的にも何も、上下関係は大事だろ示しつかないし、調子に乗ってきたらうざいしな。」
「ま、それもそうか」
3人で他愛もない話をしながら歩いていると学校の正門にたどり着いた。
「うへー、いつも通り俺達が来ると道が開くねぇ、慣れたけど気分は良くねぇな」
「そうか?俺はモーセになった気持ちで気分がいい。大体あっちが開けてくれるんだから通るのが筋だろ。琴海お前は離れてろ。巻き込んじまう」
「うん、わかった」
そういうと琴海は俺たちの近くから離れフェードアウトするように消え、周りの光景に馴染んで行った。
「相変わらず琴美ちゃんのキャラすごいね、裏と表の顔が人にはあるとか言うけどあそこまでハッキリしてるのなかなか見ないぞ」
「あいつ適応力半端ないからな、ほら俺達も行くぞ」
「はいはい」
俺達はいつもの視線をくぐり抜けてクラスに着いたのでドアを開けた。
「あそこのケーキどうだった?」
「うーんあんまり、この前のところがいいわぁ。」
「今季の覇権アニメってやっぱりあれじゃね?」
「いや、ウェブ小説サイト出身のアニメあるけどあれもなかなか面白いぞ」
「でもさ、ウェブ小説と単行本って内容変わること多いよ?私はウェブ小説のままにして欲しかったなー」
「わかりみ」
「田中氏、そちらのアニナイトでは特装版はどうでしたかな?」
「それが聞いてくだされ中田氏、こちらではもう完売でござったのだ…泣く泣く諦めるしかなく通常版を買うしかなく…」
「ふっ、そうなこともあろうかとここに特装版があるのでござるよ」
「な、中田氏!?其方は金欠で今月厳しいと申してではないですか!?それなのに2個も買うなど!」
「なーに友と読めるのならこの位の出費痛くもないですぞ。それに田中氏がこれを買ってくれればいいのです。」
「中田氏…もちろんっ!買わせてもらうでござるっ!」
「なっちゃんってこの前のコミックスーパー(通称コミス)にいた?」
「いたよー、レイヤー参加だけどね。」
「あっ、やっぱりかー」
「あ、なに?もしかして見つけた?どうだった?」
「うん見たよー、服装細部までこだわってて良かったけど今回刀に力抜いたでしょー。見てる人から見たらバレるぐらいの手抜きだったよー」
「うぐっ!だって今回の男装コス気合い入りすぎて小物に手が回らなかったんだよぉ…」
「だから剣とか武器とか小物は私に言ってくれればいいのにー」
「えっ!?だって今回は参加するって言ったら頑張ってーしか言わなかったじゃん!?」
「頑張ってとは言ったけど、手伝わないとは言ってないよー。全く早とちりさんめー」
「そ、そんなぁ…」
扉を開ければそこにはクラスの皆が楽しそうに喋っていた。
さて…お気づきの方もいるだろうが俺たちのクラスにはオタクが多い、いやほとんどがそうと言ってもいい、アニオタを始め、ドルオタ、ミリオタ、鉄オタなど様々な人がいる。正直いくらなんでもオタクが集まりすぎだと思うだろう。しかしこれは偶然ではない。その話をしよう…
今や日本の第三次産業を代表するアニメや漫画。
それに影響を受ける人間も少なくなく、果ては海外まで発展していった。そんな時代当然オタクと言われる部類もいたのだが、アニメが賞賛な、彼らが賞賛されることは無い。むしろ忌み嫌われてる存在と言ってもいい。自身の部屋をSNSに上げればキモイと叩かれ、美少女系ストラップを付ければパーソナルスペースが広がるほど離れられ、SNSでは今日もドルオタとアニオタは自分を棚上げ論争を始める。そんなオタクは癌だと捉える人は後を絶たない。ニュースで犯人がオタクだったら後付のように非難され、アニメにすら悪影響を及ぼす者だっている。
そしてその考えを持っている人間がこの学校の一定の教師陣と校長だったのだ。
校長は他愛もないアンケートを取るとそのデータを元にまるで汚いものを1箇所に集めるようにひとつのクラスが増設された…
それが俺たち8組、通称オタククラスだ。
もう一個の方の小説貼っときますので、良かったら…
「副業で宿の店主やってます」
https://ncode.syosetu.com/n7725dx/