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3浪からが本番

「え?局長さんが来てるんですか?」

「ええ、昨日チバ君のロウニン扶養プログラムの申請をしたところ、局長さんがチバ君に会いたいとおっしゃってまして」

「な、なるほど・・・」

「今裏にいるんで会ってくれませんか?ちょっと、その、なんていうか、ちょっと変わった人なんですけども」

今頃ちょっと変わった人が来たところでなんだ、こっちは昨日突然変な世界に連れてこられたんだぞ。そんなことよりも浪人、つまり日本から転移してきた人と会えるんだ。そっちのメリットのほうが数段上だろう。そう思い、

「ぜひお会いしたいです」

と返事をすると

「わかりました!では呼んでくるので少し待っていてください」

と言って受付の裏に入るシヨクサさん。今から転移してきた人に会えるのか、この世界の詳細とか元の世界に帰る方法が見つかっているのかとかいろいろ気になってたことを聞けると考えると少し安心するなと思っていると裏から小柄で美人な日本人女性がこちらに向かって来て

「ハロー!ナイストゥミーチュー、君が千葉秋斗君?私は時緒かよ。このワールドに8年前テレポーテーションしてきた浪人生で、今はモリナリア王国ロウニン扶養プログラム管理局のリーダーをさせてもらっているわ。パーマネントな関係を築けるように仲良くしましょう」

「よ、よろしくお願いします」

な、なんだろう。今日初めて会う女の人はみんななぜか美人でグイグイ話しかけてくる。人見知りな俺への当てつけなのだろうか。

「お疲れ様ね。聞いた話だと昨日テレポートしてきたんだって?サプライズだったわ、まさか一年に二人もプログラムに申し込む人がいるなんて」

「え?二人目なんですか?」

「えぇ、毎年このワールドにテレポーテーションしてくる人は一人いるかいないかなの」

俺以外にも同じ境遇に立たされている人がいるというのか。

「しかももっとサプライズなのは二人とも同じ国にテレポーテーションしてきたことなのよね」

「え?転移する先はこの国とは限らないんですか?」

「えぇ、どのカントリーにテレポーテーションされるかはランダムなの。でも飛ばされた浪人生の多くは持ってる特殊なアビリティを使ってフェイマスな大学に入学、大学を卒業した後はワールドにネームを轟かせる人が多いの」

うーんなんだろう、この人、変なタイミングで横文字言葉が多すぎないか。日本では『意識高い系』という、ちょっと難しい横文字言葉を使っていかにも自分できますアピールをしてくる人を指す言葉があるがこの人の場合はどちらかというと、ひと昔流行った日本語をところどころ英語に変えるタレントみたいになっている。

「そういえば千葉君、あなたは自分の特殊なアビリティは見つけた?浪人生はみんな一つはあるはずなんだけど、でもまだこのワールドにきて一日目なのよね・・・わかってるわけないか・・・」

「そ、それなら俺、魔力に秀でてると結果が水晶に占ってもらったら出てきたんですけど」

「もうわかってるの!?しかも魔力か・・・ものすごくレアね。普通はもっと限定的で分かりにくいアビリティが秀でていることがメジャーなのだけど、魔力みたいにワイドに活用できてしかも簡単にわかるアビリティが秀でているなんて聞いたことないわね」

「そ、そうなんですか?ちなみになんですけど時緒さんのそういう能力って」

「私?私は『タイミング』がものすごくいいんですよ。8年前、このワールドにノーマネーでテレポーテーションしてきたときがちょうど今私が局長を務めている『モリナリア王国ロウニン扶養プログラム』のファーストイヤーだったんですよ。そのあとも本当にタイミングよく物事がいってモリナリア王立総合大学今の立ち位置に来たの」

『タイミング』、確かに非常に限定的な能力だ。生活していてタイミングがいいと気づくことはなかなか難しいだろうしその能力が生かされるのも多いようで意外と少ない。そういえばなんで時緒さんは俺に会いに来たのだろうか、ふと疑問に思ったので

「なんで時緒さんは今日俺に会いに来たんですか?」

「リーズン?それは・・・偶然よ」

そう俺に近づきながら話す時緒さん。しゃべり方はアレなのにすごくドキッとしてしまう。というか・・・服から、む、胸の谷間が見えている。ただでさえ人見知りな俺がさらに挙動不審になってしまうから勘弁してくれなど余計なことを思っていると

「じゃあもう夜になるし私は事務所にバックさせてもらうわ。これ、事務所の位置が書かれているマップだからもし何か用事があったらここにヴィジットしてね」

と言って俺に地図を渡した後受付の裏に入っていく時緒さん。確かにもう外が暗い。すると俺の腹がグゥゥゥゥと鳴り出した。そういえば昨日この世界に来てからほとんど何も口にしていない。ご飯をどうしようと考えてみたところ寮に食堂があったことを思い出した、しかも届いた荷物もあったな。yぴうわけでとりあえず寮に帰ることにした。


マジックスクール予備校の寮、木造三階建ての立派な建物であり一階は共有スペースでありホール、大浴場、食堂があり二階三階部分は一人ずつの6畳一間の居住スペースになっている。まずは自分の部屋に帰ると、木箱に詰められた荷物が二つ届いていた。早速開けてみると日用品や勉強用のノート、ペンなどが入っていた。また身分証明書が入っている。こんな簡単に身分証明書が手に入っちゃうのはさすがファンタジーな世界といったところか。しかしこの世界に来て気付いたのはものすごく衛生的というところだ。昔世界史について書いてある本を読んだとき中世の街はかなり非衛生的なところが多く匂いがきつかったり病気が蔓延しているという記述を見たことがあったがこの世界はそんなことがなく非常に暮らしやすそうだ。おそらく昨日の受付さんが言っていたことからインフラに魔法が使われているのだろう。


部屋に荷物を片付けた後、ご飯を食べに食堂に来ると寮生で非常ににぎわっていた。早速おなかがすいた俺は料理をもらいテーブルの空きの席を見つけてに座って食べ始める。パンとビーフシチューみたいなスープ料理、蒸し野菜という簡単な料理だが思っていたものよりも非常に美味しい。もしかしてこういう野菜栽培などにも魔法が使われていたりするのだろうか。ほかのことにも魔法の技術が使われているかもしれないと考えているとだんだんこの世界が楽しくなってきた。いろいろ不安だらけな予備校生活が明日から始まるがおそらく日本にはなかったいろいろな発見をできるのかもしれない、そう思うとむしろワクワクしてくる。日本にいる親がもしかしたらものすごく心配しているかもしれないが


 ーーーーーー「俺、大学受験に失敗に失敗したので異世界で浪人することにしました。」ーーーーーー

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