7.自称人魚
2016.12.19 【水泳】のレベルを上げ忘れていたので修正。
今日もなんて清々しい目覚めだろう。まるで、昨日PKKした事が夢であったかのようだ。
しかし、天気は生憎の曇り空だった。
取り敢えず朝食を取り、今日も市場に屋台を出す。
昨日は魚だったので、今日は肉にしよう。
NPCの店で菜種油・料理酒・塩コショウを買い、早速調理。サイコロステーキにする。
先ずは肉をサイコロ状にカット。刺身の時と同じようにガイドラインに沿って切る。
次にコンロに点火。これも油を引くタイミングや火の強さ等を指示されるので従う。
カットした肉を焼き、焼き色が付いたら裏返しにして酒を入れる。
塩コショウで味付け。
勿論、全て指示される。
イルカが言うには、これらのガイドをオフにする事も可能らしいが、その場合も非表示のガイドから外れるほど評価が下がるそうだ。
リアルでは問題が無く美味しい出来になっても、ゲームでは不味くなるという事だ。料理が出来る人には不満かもしれないな。
私は得意ではないし、VRとは言えゲームにそれほどリアルを期待していないので、現状特に不満は無い。
「取ったスキルを失敗だと思っても、どうにも出来ないんだよな?」
イルカに尋ねる。
『神殿でSPに換える事が出来るよ。覚えた時の半分だけど。後、ガルトも必要だよ。蘇生よりぐっと安いけどね』
「そうなのか。10万ぐらい?」
『うん』
午後になって販売を止め、今日も街の外へ。
一時間ほど東に行くと海がある。今日は其処で釣りをする。
モンスターを倒しながら到着。
釣りを始めて暫く経った頃だった。
女が海から顔を出し、此方を見ていた。
「磯女?!」
『失礼ね! 私は人魚!』
驚いて、つい失礼な事を言ってしまった。
しかし、女性は自分を人魚とは言うが、下半身を見せてはくれなかった。
本当に人魚なのだろうか?
『一緒に泳ぎましょうよ』
女は美しいし、巨乳だ。誘われて喜んで一緒に泳ぐ人も居るだろう。でも……。
私は、【採集士】のアーツ『鑑定』を使った。これは、採集物等を鑑定する事が出来る。
因みに、『鑑定』は、【魔法士】・【調理士】にもあった。魔導具等の鑑定・食材等の鑑定である。
『ねえ、どうかした?』
「お前は、擬餌だろう?」
私は、卸出刃包丁を取り出した。
『何の事かしら?』
『鑑定』は女をモンスターだと告げていた。女の下半身を巨大な魚のシルエットで表示して。人魚とは違う。魚の頭に女の上半身が生えているのだ。
「違うと言うなら、下半身を見せてみろ!」
次の瞬間、女はホラーの様におぞましい姿となり、水の魔法で攻撃して来た。
私はそれを回避し、雷の魔法で攻撃する。
「ドンナーシュラーク!」
ダメージを受けたモンスターは、水の捕獲魔法で私を海に引きずり込んだ。
大きな口を開け、牙で私を噛み砕こうとするモンスター。
私は、【猛獣化】して包丁で斬り裂いた。
<アンコウの身を手に入れた>
<アンコウの皮を手に入れた>
<アンコウの肝を手に入れた>
~(以下略)~
「死ぬかと思った!」
陸に上がった私はそう独りごち、大の字になって休んだ。
今日は誰にも襲われずに眠りから覚めた。そうそうPKに遭遇する事は無いか。
気を取り直して、漸く釣りをする。
夕方まで釣りをして街に戻った。
「よう。琥珀」
「あ、大牙」
冒険者ギルドで大牙とバッタリ出会った。
「リンクス山脈で魚獲って来たぜ」
「私もこの近くの海で釣って来たよ」
宿に向かいながら、例のモンスターについて話した。
「へ~。見てみたかったな」
「一頭しかいない訳じゃないだろうし、見れるんじゃないか?」
「だよな。明日行ってみるか」
寝る時間となりベッドに入る。
昼のホラーな擬餌女を夢に見るんじゃないかと不安になったが、【良質な眠り】があるから多分大丈夫だろう。
猫獣人:Lv14→15
力:90(+2)
生命力:120(+2)
知力:286(+19)
精神力:258(+17)
素早さ:78(+2)
器用さ:132(+8)
幸運:68
先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv1→3
後天スキル:【採集士】Lv16→17 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv4→5 【調理士】Lv6→10
SP:0
職業:冒険者・商人