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2.リンクス山脈

 先程のメッセージは何だったのだろうか?

 辺りのプレイヤー達の間では、その話題で持ちきりだ。

『冒険者ギルドに登録するのがお勧めだよ』

 イルカはまだ側に居た。

「ログアウト方法は?」

『【メニュー】の【システム】タブの一番下にログアウトボタンがあるよ』

 イルカの説明の直後、メニューが開かれた。

 『システム』タブをクリックして、ログアウトボタンを探す。

 ボタンは在ったが、鎖と南京錠でロックされていた。

「ロックはどうやって外すんだ?」

『何のロック?』

「ログアウトボタンのロック」

『【メニュー】の【システム】タブの一番下にログアウトボタンがあるよ』

「……運営に連絡を取る方法は?」

『【メニュー】の【システム】タブに、『不具合報告』と『違反者を通報』があるよ』

 確認すると、確かに在った。

 不具合報告からログアウト出来ないとメールを送る。

『メールが届いたよ』

 早!? 送ったばかりだぞ?!

 『メールボックス』タブを確認してみれば、このようなメールが届いていた。

『貴方が送ったメールは、相手に届けられませんでした』

 後は、脱水症状等で死ぬ前に犯人が捕まる事に期待するしかない。



「イルカ。此処は何と言う街なんだ?」

『此処は、リンクスタウンだよ。南にリンクス山脈があるよ』

「そうなのか。じゃあ、冒険者ギルドに行くか」

 冒険者ギルドは、今私がいる噴水の在る広場に面していた。



 開いている扉から中に入ると、受付カウンターが右手に見えた。

「済みません。冒険者登録したいのですが」

『はい。登録料は1,000ゴルト・年会費が2,000ゴルトです』

「イルカ。所持金は何処を見るんだ?」

『【メニュー】の【アイテム】タブの一番下に、所持金が表示されているよ』

 確認すると、所持金は3,000ゴルトきっかりだった。

「ゴルトはどうやって出すんだ?」

『ゴルトもアイテムもウエストバッグから出せるよ。ポケットによって出せる物が違うからね』

 腰を見下ろせば、複数のポケットが並んだウエストバッグが左に、レッグバッグが右脚に付いていた。其々のポケットに、『ゴルト』・『武器』・『肉』等のタグが付いている。

 私は、『ゴルト』用のポケットから3,000ゴルト――銀貨三枚――取り出し、カウンターに置いた。

『ありがとうございます。登録が完了しました』

『【メニュー】の【クエスト】から、ギルドの依頼が受けられるようになったよ』

 登録は金を払っただけで終わり、イルカが依頼の受け方を教えてくれた。

 ギルドの掲示板の貼り紙から選ぶとか、もっとリアルにするべきではないだろうか? 今の技術力では無理なのだろうか? それとも、現実と混同しないようにとの配慮なのだろうか?



『素材を採集するなら、リンクス山脈がお勧めだよ』

 イルカがそう言うので、薬草採取等の依頼を受けてから南門へ向かった。

『出門は無料だが、入門は300ゴルトを払って貰う事になっている。但し、この街の冒険者ギルドに登録しているなら無料だ』

 南門を出ようとしたら、門番がそう説明してくれた。

「解りました。ありがとうございます」



 街の外に出ると、鶏型のモンスターが目に入った。

 『アイテム』タブで確認済みのガラスキをレッグバッグから取り出し、此方に向かって突進して来た鶏に振るう。


<クリティカル!>


 表示されたガイドラインに沿って首を斬り付けたら、クリティカルが発生して首が飛んだ。

 しかし、血は飛び散らなかった。


<鶏の羽を手に入れた>

<鶏肉を手に入れた>

<鶏ガラを手に入れた>

<鶏の卵を手に入れた>

~(以下略)~


 良いな、【採集士】。お得だ。

 次は、魔法で倒してみよう。

「ファイヤーカッター」

「ウォーターカッター」

「ウインドカッター」

 クリティカルが発生しなかったので、倒すまで三回の攻撃が必要だった。


<鶏肉を手に入れた>


 え? 一つだけ?

 その後も魔法で倒してみたが、どうやら、【採集士】以外では、0~3個がドロップするようだった。



『採集を望む者よ。柏手を打ち頭を下げよ。下山時には感謝する事を忘れるな』

 山道の手前に着くと、そんな看板が立っていた。

 どういう事だろうと思ったが、柏手を打って頭を下げた。

「採集させてください」

 山道に足を踏み入れると柔らかな木漏れ日が差し込んでいて、美しい光景だと思った。

「何だ、あれ?」

 視線の先には、一匹のスライム。丸い背中に草が生えている。

 私は、レッグバッグから草刈り鎌を取り出した。

 此方に気付いたスライムが跳ねて向かって来る。

 ガイドラインに従って鎌を振ったが、今回はずれたらしく、クリティカルは発生しなかった。

 それでも、たった三回斬っただけで倒せたので、このスライムは弱いモンスターなのだろう。


<薬草を手に入れた>

<薬草を手に入れた>

<薬草を手に入れた>

<薬草を手に入れた>

~(以下略)~



 この山には薬草スライムの他に、毒草スライム・花スライム・樹木スライム・蔓スライム・苔スライム等が出現した。

「そう言えば、アイテムの所持上限って、どうなっているんだ?」

『採集系スキルや生産系スキルを持っている人は、上限無しだよ』

 上限無しとは、嬉しいシステムだ。



 日が暮れ始めたので、看板の所まで下りて来た。

「ありがとうございました」

 山に振り向いて頭を下げる。

 そう言えば、看板に従わないとどうなるのだろう?

 何もせずに山道に足を踏み入れてみた。



 其処にはドラ……。



「ごめんなさ~い!」

 ドラゴンが居ると認識した瞬間、私は猫獣人の素早さを発揮し、全力で逃走した。

 看板に従わないと、ドラゴンが出るなんて!

 400m程で振り向き確認したが、ドラゴンが追って来る気配は無かったので足を止める。

 吃驚した為、尻尾が膨らんでいた。

「な、何だったんだ、あれ? 山の主?」

 イルカから返答は無い。独り言だと判断されたようだ。



 依頼の完了も『メニュー』から出来たので、街に戻った私は、直ぐに宿を探す事にした。

『お勧めは、冒険者の宿だよ。一泊300ガルトで、一階が酒場になっているよ』

「それは五月蠅そうだな」

『普通の宿は、大体500ガルト前後だよ。大部屋でも良ければ、100ガルトの所があるけれど』

「風呂は付いているのか?」

 ゲームだから汗も泥も付いていないけれど、風呂に入りたい気分だ。

『風呂付の宿は、安い所で1,000ガルトだよ』

 納品依頼を幾つか完了したので、所持金は2,000ガルトを超えている。

 武器の耐久値は、【採集士】のアーツ『道具の手入れ』で回復出来たから、修理費を取っておく必要も無いし。

 防具の新調も、当分必要無いだろう。

「風呂付の安い宿は、個室に風呂が付いているか?」

『個室に風呂が付いている宿は、安い所で3,000ガルトだよ』

 要らない素材を売ったら、用意出来そうだ。

「じゃあ、其処にしよう。その前に素材を売りに行くけど」


 素材を売るのは冒険者ギルドでと決められているそうで、幾つか売って必要な金額に達した。

「あ! 食費も必要じゃないか!」

 空腹感を感じて、ゲーム内での食事の必要性に気付いた。

『1,000ガルト以上の宿は、夕食付きだよ』

 イルカがそう教えてくれたので、明日の朝食代と昼食代分、素材を売った。



 宿にチェックインし、宿の食堂で夕食を取る。

 夕食は、チキンステーキと野菜スープと大麦パンだった。

 パンが硬かったので、スープに浸して柔らかくして食べる。

「イルカも食べる?」

『僕は食事しないよ』


 食事後は、風呂に入ってベッドで就寝。

 私がゲームに囚われている事、何時頃発見して貰えるのだろうか?

 出来れば、今日中に発見して貰いたいところだが。

猫獣人:Lv1→10

 力:80(+18)

 生命力:110(+18)

 知力:191(+171)

 精神力:173(+153)

 素早さ:68(+18)

 器用さ:92(+72)

 幸運:68


先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv1


後天スキル:【採集士】Lv1→9 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv1→3


SP:5


職業:冒険者

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