17.別れ
大変お待たせ致しまして、申し訳ありません。
2018.01.17 琥珀のステータスを忘れていたので、追記。
数日が経った。
その間、私達は、ショルターの南で馬型モンスターを倒してレベル上げをしていた。
街の西門の外でもレベル上げをしたかったのだが、門番から『この先に進むにはレベルが足りない』と言われて通して貰えなかったのだ。
そして、漸くLv30になったので先に進む事を許された。
今回のボス戦は、これまでと違って瞬殺出来なかった。
地面に潜ったり、増殖したりするのだ。
「ああ、もう! うざってえ! 【ブラッディー・クロウ】!」
不機嫌全開で吠えるジャガーの剣が、増殖したボスを薙ぎ払う。
「これで終わりにしてくれや。【ブラック・ファング】」
大牙の闇属性の魔法が、数を減らしたボスを引き裂いて行く。
しかし、地面からまた生えて来た。
「勘弁してくれよ……」
大牙がうんざりといった様子で呟いた。
私とマオと彪は、既に一言喋る事も出来ない位、疲労困憊している。
「焼き払ってくれる。【ヘルファイア】」
レオンの炎魔法が、辺り一面を焼いた。
「終わった~」
幸いにも、レオンの攻撃で倒し終える事が出来た。
私達は、体を休める為に地面に寝転がる。
「星が綺麗だな……」
レオンの呟きが聞こえた。
その言葉の通り、天上には無数の星が瞬いている。
「それにしても、これまでのボスと比較して、いきなり強くなったよな」
大牙がボス戦の感想を漏らす。
「そうだな。強いと言うか、多いと言うか……」
「しつこいと言うか」
「我々は猫獣人だから良かったが、他の種族なら倒せないんじゃないか?」
彪とジャガーの後に私がそう言うと、イルカが口を挟んで来た。
『さっきのボスの強さは、ステータスや種族によって変わるよ』
「え? それって……」
「我々の素早さが高いから、増殖が速かったのか?」
『そうだよ』
レオンの確認の言葉を、イルカは肯定した。
「マジかよ。ざけんな」
大牙が力無く文句を言った。
「まあ、倒せたのだから良いではないか。忘れよう」
「ストレスで、病気悪化していねーだろうな?」
ジャガーの言葉に、心配になる。
皆もそうなのか、沈黙が流れた。
翌朝。私達は、ウサギ型の魔物を倒しながら王都ヘルツに到着した。
これまでの街より大きく、活気がある。
「ギルドホーム買えるかな?」
「取り敢えず、設立を申請してみよう」
我々は冒険者ギルドでギルドを設立し、土地の値段を尋ねた。
思っていたより安かったので、皆でガルトを出し合って購入した。
「此処が俺達のギルドホームか」
職員に案内された住宅を見上げる。
それほど大きな建物では無かったが、中に入ると、ちゃんと六人分の小部屋があった。
「折角だから、記念撮影するか」
リビングの床にレオンを中心に座る。
背中合わせに、ジャガーと大牙。私と彪が両腕に寄りかかり、マオはレオンに抱えられるように座った。
そして、各々好きなタイミングでSSを撮った。
割り当てられた部屋に戻った私は、SPを確認した。
Lv30になった事とボスを倒した事で、25に増えていた。
さて、どうしようか? 【服飾職人】を覚えるか、それとも、別のスキルを覚えるか?
スキルリストを眺めていると、【テイマー】が目に留まった。
これも、良いかもしれない。あ、でも、40必要なのか。
じゃあ、貯めておこう。
一週間ほどが経った。
「琥珀ちゃん!」
屋台で『ウサギ肉の煮込み』を売っていると、竜子と蛟がやって来た。
「温泉行かない?」
「温泉?」
「うん! 一緒に入ろう?」
大胆だな。
「へ~。混浴があるんだ?」
「え? 無いよ?」
「え?」
「え?」
二人で困惑していると、蛟がジト目で竜子を見て口を開いた。
「竜子。お前、琥珀を女だと思ってたのか?」
「え?! 違うの?!」
「違うよ!」
私は驚き、大声で否定した。
しかし、この外見は紛らわしいかもしれないと納得する。
「うそ~! 女の子だと思ってた~! ゴメン!」
「良いよ。はっきり男だと判るキャラデザにしてなかったのが悪いんだしね」
もしかして、他の人にも勘違いされているのだろうか? みくもとか。……有り得そうだな。
「蛟さんは、良く判りましたね~」
「寧ろ、判らねえ方が不思議なんだが」
「は~。良い湯だな~」
一緒には入れないが、私は【猫団子】のメンバーと共に竜子お勧めの温泉へと一緒にやって来た。
「そうだな。日頃の疲れが湯に溶け出る様だ」
気持ち良さそうに温泉に浸かる大牙の言葉に、レオンが同意した。
彪は、竜子と仲良くやっているだろうか?
「誰が一番長く入っていられるか、サウナで対決しようぜ」
ジャガーがそう我々を誘う。
因みに、蛟は温泉に来ていない。
「サウナは、競うものでは無いぞ」
「良いじゃねえか、別に」
レオンが窘めるが、大牙はジャガーの提案に賛成らしい。
「私はやらないぞ」
「私も」
マオが拒否を表明したので、私もそうする。
「よし! じゃあ、一騎打ちだな!」
「おうよ! 俺が勝つよ」
「勝つのは俺だ!」
私達は、二人仲良くサウナに向かうのを見送った。
「久し振りに飲んだが、コーヒー牛乳美味いな」
「そうだな」
結局、二人共倒れるまで意地を張る気は無かったようで、十分ほどしたら一緒に出て来た。出る時に譲り合っていたが……。
「お待たせ~」
竜子と彪も風呂から上がって来た。
「あ、美味しそう! 私も飲もうっと!」
大牙とジャガーが飲むコーヒー牛乳を見て、竜子も購入して飲み始めた。
「ふう」
ソファに座る私の隣に、彪が疲れた様子で腰かけた。
「竜子はどうだった?」
「お前達の中に好きな人はいるのかと聞かれたり、蛟がどんな風に素敵かなどを聞かされたりした」
「……お疲れ様でした。何か、済みません」
「いや。まあ、巧く話を逸らせなかったのが悪いのだ。気にするな」
何となく申し訳無くて謝ったら、逆に気を遣われてしまった。
「しかし、竜子はログアウト出来たら、蛟との関係はどうするのだろうな?」
「確かに、気になるな。竜子の性格からして、オフで会う事を望みそうだが」
蛟はどうなのだろう?
「幾ら竜子が会いたくても、蛟の方にその気が無ければ、どうしようもないだろうな」
「ああ。それもそうだな」
それから数日後、竜子の姿が消えた。
治ったのか・死んだのか、知る由も無い。
猫獣人:Lv20→30
力:100→120(+20)
生命力:130→150(+20)
知力:381→571(+190)
精神力:343→513(+170)
素早さ:88→108(+20)
器用さ:172→252(+80)
幸運:68
先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv3
後天スキル:【採集士】Lv22→30 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv9→20 【調理士】Lv18→23 【調薬士】Lv3→13
SP:25
職業:冒険者・商人