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15.モフり魔2

お久しぶりです。

お待たせいたしました。

 今日は、雲一つ無い良い天気。

「絶好のボス戦日和だな!」

 街の外に向かう途中、レオンが嬉しそうにそう言った。

「そうだな。目指せ、一刀両断!」

「おう!」

 大牙とジャガーは、今回も一刀両断するのだと意気込む。

「おい。あの女がいるぞ」

 マオの言葉に前方に目を向けると、栗鼠獣人の尻尾を引っ張って取ってしまった女がいた。


「おはよう! ねえねえ! 撫でさせて! 良いでしょう?」

 女は期待に満ちた顔で要求して来たが、私は、彼女が二度と尻尾を引っ張る事は無いと信頼出来ない。

 それは、他の五人も同じだろう。

「良いぜ」

 驚いた事に、ジャガーが承諾した。

「ホント!?」

「ああ。但し、引っ張ったりとかしたらぶった切るし、撫でた時間分お前の髪をワシャクシャさせて貰う」

 ジャガーは、「一度で良いから、女の髪を掻き回してみたかったんだよな」と、楽しみにしている。

「え~……。じゃあ、他の子で……」

「何言ってんだよ? 俺以外を撫でた場合も同じだぜ?」

「え?」

「俺の時だけだなんて、言ってねえだろ?」

 確かに、言っていない。

「え~……。まあ、それぐらいでモフれるなら……」

 女は不満げにしていたが、渋々と言った感じで条件を受け入れた。

「じゃあ、お前等、先行ってて良いぞ」

「え?! 何で?!」

 女が驚くが、マオと彪は素早く去って行く。

 なので、私も後を追った。

「あれ? レオンはマオと一緒に行かなくて良いのか?」

 大牙が不思議そうに尋ねるのが聞こえる。

「ん? ああ。何時も一緒に居たのは、みくも対策だったからな」

 そうだったのか。



   ◇◆◇



「あっちの小さい子達が良かったな」

「え? そういう趣味?」

 女の言葉に、大牙達三人はどん引きした。

 ロリコン・ショタコン・ペドフィリアと言う言葉が、脳裏に浮かんでいる。

「違う! 失礼ね! 小さい子の方が、遠慮無くモフれるからよ!」

「「「遠慮しろよ!!!」」」

 大牙達は、口を揃えて怒鳴った。

「な、何よ。怒鳴らなくても良いじゃない」

 昨日の行いが悪かった。

 あれがなければ、『常識の範囲内で』遠慮無くだと思って貰えただろうが、今はもうすっかり、自分本位に好き勝手すると思われていた。

 では、実際は好き勝手しないのかと言えば、そんな事は無い。

 猫耳や尻尾の先端を咥えるつもりだった。ギュウッと抱き締めて猫耳や尻尾を撫でるつもりだった。

 彪達の中身がいい年した大人だと言う事も解っているようで解っていないし、外見通りの12~4歳よりも下に見えている。それどころか、同じ人間であると言う事を解っているのかすら怪しい。


 そんな彼女であったが、ジャガー達は別だった。

 何故なら、彼等は異性と意識してしまう外見だから。

 異性の体の一部を咥えるのは、流石に躊躇われた。

「まあ、良いや。ボス倒しに行きたいから、さっさとやれよ」



「ちょっと、あんた! 好い加減にしなさいよね! 何、レオン君の優しさに付け込んで迷惑かけてんのよ!」

 三十分が経とうかという頃、物陰から三人の女性達が飛び出して来た。

 その内の一人が、猫耳を撫でられているレオンから離す様に、ひっぱたく。

 彼女達は、レオンのファンであった。

「な、何よ。合意の上なんだから、関係無い人達は引っ込んでてよ!」

「『何十分でも撫でて良い』って言われた訳?!」

「言ってない」

 女への質問に、レオンが答えた。

「やっぱり! レオン君の優しさに付け込んだんだ!」

「最っ低!」

「許せない!」

 三人の怒りがヒートアップする中、ジャガーはマイペースに女の髪をグシャグシャにしていた。

「おい。ジャガー。後は、こいつ等に譲って、行こうぜ」

「そうだな。マオ達を待たせているのだから」

 大牙の言葉にレオンが同意し、ジャガーもそうするかと女から離れた。

「え?! ちょっ! 助けてくれないの?!」

「大丈夫大丈夫。ゲームだから、怪我してもアイテムや魔法で治る」

「死んでも生き返るしな」

「お前なら勝てると信じているぞ」

 立ち去りながら、大牙とジャガーは、ゲームだから助けなくても問題無いだろうと嫌味を言った。

 そして、レオンは、スキル構成やレベル差によっては三対一でも勝てるので、励ました。

 それ以前にこの三人、「対人戦の経験が積めるぞ。良かったな」と割と本気で思っているので、昨日の件が無くても助ける訳が無かった。



 見捨てられてボコボコにされた女は、その後、レオン達に関わろうとはしなかった。



   ◇◆◇



 ジャガー達を待つ間、シートを敷いてマオ達と寝ていた私は、彼等の話し声に気付いて目を開けた。

 ああ。勿論、くっついて寝ていた訳ではない。

「済まない。待たせたな」

「全くだ。一撫でしたら、払い除けて止めさせれば良かったのだ」

 謝るレオンに、マオは不機嫌さを隠さずにそう言った。

「そんなに撫でられたかったのか?」

「そう言う訳では無いのだが……。撫でさせてやれば満足して、もう寄って来ないのではないかと」

「甘い。飽きる訳ではないのだから、また寄って来るに決まっているだろう」

「まあまあ。あいつの事は忘れて、とっとと狩りに行こうぜ」

 大牙がマオを宥めて、我々はボス狩りに向かった。



 ボスを倒してSPを確認すると、10増えていた。

 早速、【調薬士】を覚える。

 そして、馬型モンスターを倒して進み、三つ目の街ショルターへと到着した。

 明日は、リンクス山脈で調薬用素材を採集しよう。

猫獣人:Lv20

 力:100

 生命力:130

 知力:381

 精神力:343

 素早さ:88

 器用さ:172

 幸運:68


先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv3


後天スキル:【採集士】Lv21→22 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv9 【調理士】Lv18 【調薬士】Lv1


SP:5


職業:冒険者・商人

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