12.雷雨の日
2016.12.19 【水泳】のレベルを上げ忘れていたので修正。
朝起きると、雨は止んでいた。
しかし、晴天では無いので、これから降る可能性はある。
そう言えば、最初に着ていた服以外に、バッグに着替えの服もあるのだが、もしかして清潔度もあるのだろうか?
因みに、全てのプレイヤーがウエストバッグとレッグバッグと言う訳ではない。例えば、竜子・蛟・みくもはバックパックだ。
「イルカ。清潔度って在る?」
『在るよ。清潔度が減って行くと臭うようになるよ』
「やっぱり……」
時々臭いプレイヤーが居るのは、そう言う事か。モンスターの特殊攻撃とかでは無かったんだな。
あ、でも、私も臭うのではないだろうか? ゲームだからと服を洗濯していないから。自分では臭わないが。
「服の洗濯もした方が良いよな?」
『服は洗濯しなくても清潔度は下がらないよ。でも、泥等の汚れが付いたら下がるから、汚れを水で流してね』
水で流すだけで良いのか。ゲームだな。
何時も通りのパンと野菜スープの朝食を取り、商業ギルドで屋台を借りて市場通りへ。
今日は揚げ物。肉も魚も野菜も揚げたから、今日の売り物は多い。
「多過ぎて迷うな……」
常連の蛟が悩み始めて早三十分。
「今日は竜子は?」
「あいつは、【調理士】のレベルを上げるってリンクス山脈に行ったよ」
昨日手に入れた食材、使い切ったのかな?
「良いんですか? 竜子の料理食べなくて」
「束縛されるのは御免だ」
蛟は、ささみ揚げと野菜のかき揚げとアジフライを買ってくれた。
午後、レオン達と六人で狩りをしつつ、牛型モンスターに乗って遊んだりしていると、蛟と竜子がやって来た。
「琥珀ちゃん、こんにちはー!」
「こんにちは」
「フレンドか?」
レオンに聞かれ、私は肯定した。
「うん」
そして、蛟と竜子にレオン達を紹介する。
「此方、私のフレンド。一番背が高いのがジャガー。次がレオン。で、大牙。それから、マオ。最後が彪」
今度はレオン達に、二人を紹介する。
「彼方、私のフレンド。男性の方が蛟。女性の方は竜子」
紹介が終わると、宜しく等の言葉が飛び交う。
「全員猫獣人なんだね」
竜子が目を輝かせて私に話しかけて来た。
「うん。猫獣人限定ギルド作る予定」
「そうなんだ。どんな名前にするの?」
「猫団子だよ」
「猫団子か~。可愛いよね~」
竜子は猫が団子になっている所を想像している様子だ。
「食べちゃいたいな~」
食べる方の団子を想像したのだろうか?
「お前が言ったら、洒落にならねえよ」
蛟が竜子にそんな事を言う。
「【竜化】したら、食えるぐらい大きくなるんだろ?」
竜人には、【竜人化】以外にも【竜化】があるらしい。
後でイルカから聞いた事だが、【竜化】のクールタイムは一週間だそうだ。
「もう! 食べる訳無いじゃないですか~。口に入れる位はしたいですけど~」
「え?」
「え? だって、飼い猫とか可愛いよね?! 猫の顔を口に入れちゃったりするよね?!」
「尻尾は入れた事あるけど、顔は無いな」
そもそも、飼っていた当時は小学生だったので、猫の顔が入る程口は大きく無かった。
では、今なら口に入れるのかと言えば、そんな事はしない。
「あまり、猫が嫌がる事はするなよ」
「は~い」
レオンが窘めると、竜子は素直に返事した。
「げ! 降って来た!」
竜子達と別れて暫く狩りをしていたら、雨が降って来た。
大牙が嫌そうに声を上げ、我々はバッグから雨合羽を出して装備した。
猫耳の所為か、フードが邪魔でしょうがない。
走って街へ向かっていると何時の間にか牛は居なくなり、蛙や蝸牛型モンスターが現れた。
<蛙の腿肉を手に入れた>
<蟾酥を手に入れた>
~(以下略)~
<エスカルゴを手に入れた>
<ホワイトキャビアを手に入れた>
~(以下略)~
尚、リアルで野生の蛙や蝸牛を食べるのは、寄生虫がいるので大変危険である。
宿に入ると、閃光が窓から室内を照らし、雷鳴が轟いた。
私は雷は大変苦手なので耳と目を塞いだが、目を開けると彪とレオンとマオが大牙に抱き着いていた。私とジャガーは少し離れた所に居るので抱き着けなかったのだろう。
「お前等、雷怖いのか?」
ジャガーが呆れたように尋ねる。
「怖くなど無い。驚いただけだ」
そう強がるのは、大牙の背中にしがみ付いていたマオ。尻尾が足の間に挟まっている。
「雷が怖いのは普通だ」
右腕に縋り付いていた彪は、そう主張する。
「情けながら、昔から苦手なのだ」
左腕に抱き着いていたレオンは、恥ずかし気に視線を逸らして言った。
「光の強さも怖いし、音も怖いし、落ちたら死ぬのも怖い。何故平気なんだ?」
私はジャガーに尋ねた。
「何故と言われても……。自分に落ちたらとか考えないから?」
自分でも判らないのか、疑問形だ。
そこで、また光る。
「ちょっ、待て! お前等! 折れる折れる!」
レオン達が力を入れ過ぎたのか、大牙が悲鳴を上げた。
「琥珀も混ざって来いよ」
「俺の負担を増やすな!」
ジャガーの冗談に、大牙が怒鳴った。
先程までと違う轟音が大気を揺らす。
「……おい、大牙。生きてるか? 返事が無い。ただの屍の様だ」
「生きてるわ!」
大牙はレオン達を振り解いて回復アイテムを使うと、仕返しにレオン達の脳天を一発ずつ殴った。
「危うくPKされる所だったわ。幾ら怖くても、して良い事と悪い事があるからな」
「済まない。驚いてしまって」
「くっ。不覚」
「猫獣人の所為。他の種族ならこんな事は……」
彪が謝り、レオンは己を恥じ、マオは種族の所為にした。
まあ、種族の所為は仕方ないかもしれない。【聴覚察知】があるぐらいだから耳が良いのだろうし。
「確かに、リアルでより怖い気がする」
そうレオンが呟く。
「そうか? 俺は別に気にならねえけどな」
「俺も」
ジャガーと大牙が平気なのは、何が違うのだろう? やはり、元々の個性だろうか?
「凄かったね~」
女性プレイヤーが二人、宿に入って来た。
「ゲームだから落雷しないと思ったんでしょうね」
「だよね。でも、街中で剣振り翳すとか、危ないよね。別の意味で」
どうやら、先程の落雷は、街中で剣を振り翳したプレイヤーに落ちたらしい。
「そう言えば、皆は清潔度は知っているか?」
「知っている。だから、風呂の在る宿に泊っている」
夕食中に清潔度を話題に出すと、彪がそう答えた。
しかし、男性陣は知らなかったと口々に言った。
「やべえな。俺、服着たきりだったわ」
「済まない、彪。臭うだろうか?」
「大丈夫だ。服は泥等でないと汚れないそうだから」
「ゲームだもんな。あ~、良かった」
大牙が胸を撫で下ろし、レオン達も安堵の表情を浮かべた。
「もしかして、清潔度が下がると臭うだけでは無く、病気になったりもするのだろうか?」
『なるよ』
レオンの疑問にイルカが答える。
「へー。じゃあ、宿代を切らさないように気を付けますか」
「そうだな」
風呂に入る時、私は脱いだ服に泥が付いていないか確かめた。
幸い付いて居なかったが、念の為に洗おうとした。
しかし、服は濡れない。
『泥が付いていないから、洗えないよ』
イルカが教えてくれた。
もしかして、洗うのもミニゲームか?
風呂から上がってベッドに入る。
今日は、雷で精神的に疲れたようで眠い。
お休みなさい。
猫獣人:Lv17→18
力:96(+2)
生命力:126(+2)
知力:343(+19)
精神力:309(+17)
素早さ:84(+2)
器用さ:156(+8)
幸運:68
先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv3
後天スキル:【採集士】Lv19→20 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv5 【調理士】Lv14→16
SP:0
職業:冒険者・商人