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11.みくもの終わり

2016.12.19 【水泳】のレベルを上げ忘れていたので修正。

 今日もすっきりとして目覚めてカーテンを開けると、また曇っていた。

 まあ、雨が降っていないのならば問題無い。

 Lv20になったら、皆でパーティーを組んでボスを倒して次の街へ行く予定だ。



 市場で屋台を出し、商品を用意する。

 今日は、フライパンを鍋代わりにしてスープを作ろうと思う。

 水を入れ、牛肉と骨・鶏肉と骨・玉葱と人参・セロリにネギにブーケガロニを入れて煮込む。

 因みに、リアルならば数時間煮込む必要がある料理でも、このゲームならば数十分で完成するし、【調理士】のアーツ『煮込み時間短縮』等で更に所要時間が短くなる。

 あく抜きのミニゲームを行い、ピカッと光って完成。

「そう言えば、失敗するとどうなるんだ?」

『ボフンと煙に包まれて消えるよ』

「へ~。今作ったスープなら、あく抜きをしなかったら失敗するのか?」

『その場合は、評価が1になるよ。失敗例としては、饅頭を入れるとか』

 ポトフに饅頭……。誰が入れるんだ?



「琥珀ちゃん、おはよう!」

「おはよう、竜子」

 暫くすると、竜子と蛟がやって来た。

「昨日、【調理士】で料理してみたんだけど、想像と違ってて驚いちゃった」

「そう?」

「基本リアルと同じで、煮込み時間とかは短縮されるとかだと思ってたのに、ミニゲームだなんて」

 どうやら、竜子はがっかりしたようだ。

「要らないスキルは、神殿で忘れる事が出来るそうだよ」

「ん~。でも、手料理を振る舞う為には仕方ないよね」

 竜子は、このまま【調理士】を使い続ける事にしたらしい。

「ところで、琥珀ちゃん。今日は何を売っているの?」

「ポトフだよ」

「え? フライパンで?」

「うん」

「このゲーム、そう言うの、有りなんだ~」



   ◇◆◇



 みくもは、ストーカー認定をされた事を何かの間違いだと思っていた。

 だから、マオが認定取り消しをしてくれると思っていた。

 しかし、200mほど先にマオを見付けて駆け寄ろうとして足が動かない事で、マオが取り消してくれていない事に気付いた。

 マオは私を好きだった筈なのに裏切られたとみくもは激怒した。

 しかし、マオに近付けない以上、彼に危害を加える事は出来ない。

 だから、何時もマオと一緒にいて私に意地悪な事ばかり言うレオンの入れ知恵に違いないと、矛先をレオンに変えた。

 が、何時もマオと一緒に居ると言う事は、レオンにも近付けないと言う事だ。

 なので、彼女の怒りは大牙と琥珀に向いた。

 そして、彼女は、大牙より弱いに違いないであろう琥珀をターゲットに決めた。

 琥珀がリンクスタウンに現れたのを偶然目撃したみくもは、運が自分に味方していると喜び、監視のNPCを適当に丸め込んで後を追った。



   ◇◆◇



 午後、私は蛟と竜子と共にリンクス山脈へ来ていた。

 パーティーを組んだのは竜子の提案なのだが、当初、蛟は私とパーティーを組む事を渋っていた。

 しかし、私が、竜子と二人きりが良いんですねと言ったらパーティーを組んでくれた。

「じゃあ、ドロップ分配は平等で」

「ありがとう、琥珀ちゃん」

 ダンジョンに入ろうとした所に、蜘蛛の糸が襲いかかって来た。

 しかし、それは我々を拘束する事は出来なかった。

 蛟の【盗賊技能】で誰かが近付いているのは気付いていたし、私の【聴覚察知】でそれがみくもだと判っていて注意を促していたので、避ける事が出来たのだ。

「ちょこまかと!」

 みくもが【蜘蛛化】して放った糸は避けられず、私は糸に囚われた。

「お前は疫病神だ! 殺してやる!」

「琥珀ちゃんを放せ!」

 【竜人化】した竜子が、爪でみくもを切り裂いた。

 因みに、普段は頭に角しか無い竜人だが、【竜人化】すると翼と尻尾が生え、爪が鋭くなり、肌の一部が鱗になる。

 死亡したみくもが消えると、NPCが頭を下げて来た。

『申し訳ありません。ご迷惑をおかけしました』

「別に良いですけど」

『みくもさんを指名手配しました。捕まえ次第、監獄行きにします』

「お願いします」

 後でイルカに聞いたが、監獄では更生プログラムを実施するらしい。

 その後、シミュレーションを行い――みくもの場合は、マオや私等に変身したNPCを本人だと思わせて会話させる――、その結果で、釈放するかどうかが決定するそうだ。



「野菜を取らせてください」

 我々はNPCが去った後、そうお願いしてリンクス山脈に入る。

 正面の道を進むと、野菜が生えたスライムが現れた。

「可愛い~」

「何だ、あれ……?」

 私は感想を漏らす二人を尻目に、玉葱が植わっているスライムから玉葱を引っこ抜いて倒した。



「蛟さん! ダンジョン面白かったですね!」

「そうか?」

 夕方、エルボーゲンの街に戻ってパーティーを解散すると、二人はそんな会話をしながら去って行った。


「何、あれ。かっわい~!」

 宿に向かって歩いていると、女性の黄色い声が聞こえた。

 其方を見ると、マオとレオンがベンチに座っているのが見えた。

 猫獣人を初めて見たのだろうか?

「ハートだ~! 可愛い~!」

 ハート?

 二人を良く見ると、尻尾と尻尾がハートを描いていた。

 ハートで可愛いと言われた二人は、ハート型の何かがくっついているのかと探しているのか、自分達の身体を見渡している。

 他人のSSを勝手に撮るのは規約違反なのだが、二人を見たプレイヤーの殆どがSSを撮っていた。

「イルカ。勝手に他人を撮影した場合のペナルティーは?」

『該当SSの消去と、所持金から罰金五万ガルトが引かれるよ』

「そうか」

 そこで、レオンとマオが私に気付いたようだった。

「琥珀。何だか騒がれているのだが、どういう事か解るなら教えてくれ」

 二人は此方に近付いて来た。

「さっき、二人の尻尾の先がくっついて、ハート型になっていたよ」

「そんな事が……」

 偶然とは言え、尻尾でハート型を作ったのが恥ずかしいのか、二人の顔が少し赤くなった。

「さっさと宿へ行くぞ!」

「そうだな!」

 私は、急いで宿に避難する二人を追った。



「と言う訳で、みくもは監獄行きだから、これで一安心だな」

 夕食の席で、昼間の事を語って聞かせる。

「そうか」

 話を聞いたマオは、安堵の溜め息を吐いた。

「私の見る目が無かったばかりに、皆に迷惑をかけてしまったな」

 最初にみくもをパーティーに誘ったレオンが、申し訳なさそうに謝罪した。

「普通判んねえだろ。気にすんなよ。なあ、マオ?」

「ああ。レオンは悪くない」

「私も、迷惑なのはみくもだけだと思うよ」

「そうか? そう言って貰えると……」

 レオンは誰も恨んで無いと知ると、表情を緩めた。



 風呂から上がると雨音が聞こえた。

「明日までに止むと良いんだが」

 私はそう独り言ちてベッドに入った。

猫獣人:Lv17

 力:94(+0)

 生命力:124(+0)

 知力:324(+0)

 精神力:292(+0)

 素早さ:82(+0)

 器用さ:148(+0)

 幸運:68


先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv3


後天スキル:【採集士】Lv18→19 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv5 【調理士】Lv13→14


SP:0


職業:冒険者・商人

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