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10.フレンド3

2016.12.19 【水泳】のレベルを上げ忘れていたので修正。

 今朝は、清々しい目覚めにピッタリな晴天であった。

 朝食後、大牙は、今日こそ自称人魚を見るのだと出掛け、レオンとマオと彪も興味があるとついて行った。彪は兎も角、レオンとマオが興味があるのは水中戦闘の方だろう。

 ジャガーは独りで鹿狩りに行った。

 私は何時ものように市場へ向かう。



 本日の商品は、鹿肉のステーキである。

「今日は肉か」

 蛟がやって来た。

「魚をお求めでしたら、ございますよ」

「肉で良い。……鹿肉か。昨日食ったのは、硬くて臭かったな」

「素材の評価が低かったのでしょう。うちは4です」

 イルカが言うには、通常のドロップだと基本1か2で、器用さと幸運によってはそれ以上の評価の素材がドロップするそうだ。私は【採集士】があるので、更に評価が上昇する。しかし、現在はLv20未満だからか、3か4となっている。

「4って高いのか?」

「大抵の通常ドロップよりは高いですよ」

「ふ~ん」

 蛟は値段を確認した。

「おい。高くないか?」

「そうですか? 相場と表示された値段そのままなのですが」

「……素材の評価が高い所為か」

 昨日誰かから買ったらしい鹿肉との値段の違いに納得してくれたようだ。

「じゃあ、一つ」

「ありがとうございます」

「蛟さ~ん!」

 そこへ、竜子が駆けて来た。

「おはようございます! 私、【調理士】覚えたんですよ! 今度手料理ご馳走しますね」

「そうか。食える物作れよ」

「もう! 酷いです~。私、料理得意なんですよ!」

 竜子は、そこで私に目を止めた。

「済みません、店主さん。良い素材って何処で買えますか?」

「そうですね。NPCが売っている物は評価3ですよ。それ以上の物が欲しかったら、冒険者ギルドに登録していないプレイヤーから買うか、自分でスキルを覚えて採集するかですね」

「そうですか~。店主さんは?」

「私は自分で採集していますが、冒険者ギルドに登録しているので、素材は売れません」

「そっか~。残念。あ、私、竜子と言います。店主さんは?」

「琥珀です」

「良かったら、フレンドになりませんか?」

 竜子はうずうずとした表情で頼んで来た。もしかして、猫耳・尻尾目当てだろうか?

「構いませんが、呼び捨てにしますけれど、良いですか?」

「うん! 私は琥珀ちゃんと呼んで良いかな?!」

 ちゃん付けか……。小学校低学年の時以来だな。

「まあ、良いけど」

「おい。呼び捨ての方が良いんじゃないか?」

 蛟が竜子に提案する。

「琥珀ちゃんは、琥珀ちゃんって感じですから」

 見た目が小学生ぐらいだからだろうか?

「いや、でも、中身大人……」

「其処を気にするのは野暮ですよ」

 竜子の言葉に、蛟は溜息を吐いた。

「そうかい。……お前、嫌ならちゃんと言えよ」

「ちゃん付け程度なら許容範囲です。あ、蛟さんもフレンドになりますか?」

「俺は良い」

 すげなく断られた。

 ところで、竜子とはフレンド登録しているのだろうか?

「竜子とはフレンドなんですよね?」

「何でそう思う?」

 蛟は顔を顰めて理由を確認する。

「仲が宜しいようなので」

「こいつが付き纏っているだけだ」

「でも、なんだかんだ言いつつ、相手してくれるんですよね。大好きです!」

 蛟はやはり本気と取れないらしく、苦い表情をしていた。

 騙された事でもあるのだろうか?

「良いか、琥珀」

「はい?」

「俺はロリコンじゃないからな!」

「あ、はい」

 どうやら、竜子が大好きと言う度に顔を顰めていたのは、ロリコンと思われるのが嫌だからの様だ。



   ◇◆◇



 みくもは、高レベルのNPCに囲まれていた。と言っても、リンチされそうになっている訳ではない。

 彼等は、みくもの借金返済の為に監視しているのだ。

 一昨日の雨の中でも狩りをさせられたし、今日も勝手にクエストを受諾されて、エルボーゲンの街周辺に狩りをしにやって来た。

 みくもは、エルボーゲンの街周辺と言う事でマオに会えるのではないかと期待して、ソワソワと周囲に目を走らせていた。

 そして、願い叶って、海の側に居るマオを見付けた。

 彼は今日も麗しく、何時ものようにレオンと一緒だった。みくもは、二人が一緒に居ない所を見た事が無い。

「マオ! 会いたかった!」

 マオに駆け寄って抱き着こうとしたみくもを、監視のNPCが阻む。

『余計な事をするな。さっさとクエストをこなせ』

「邪魔しないで! NPCのクセに!」

 そこへ、素潜り漁をしていた大牙が海から上がって来た。

「あ! 貴方! 貴方の所為でドラゴンに殺されたのよ! 借金代わりに払いなさいよ!」

「は? 注意書きに従わなったのはお前だろう? 他人の所為にするんじゃありません」

「注意書きなんて知らない! 貴方があんな所に行くから!」

「何処行こうが俺の勝手だし。束縛する女は嫌われるよ」

 マオはそんな中、今にも飛びかかってPKしようとしていてレオンに止められていた。

「マオは私の事大好きだもん! 嫌わないわよ! 残念でした~!」

 その言葉に庇う気が失せたレオンがマオを放したので、今度は大牙が止めた。

「はいはい。あんなのPKしたらバッチイぞ~」

「そう言えば、あの女は一緒じゃないのね。そうよね! 私をPKした女なんて、マオが一緒に居続ける訳無いわ!」

 大牙の言葉は小声だった為に聞こえなかったみくもは、琥珀が居ない事を確認して笑みを浮かべた。

「誰の事を言っているのか知らないが、宿でお前をPKしたのはマオだぞ」

「マオが私をPKする訳が無いじゃない! 馬鹿な事言わないでよね!」

「マオが殺したのでないならば、お前に非が無いPKなのだから蘇生費用はお前から引かれなかった筈だが、どうなのだ?」

「え?」

 レオンの言葉に、みくもは呆然とした。

 そう言えば、その翌日に男にPKされた時は、借金は増えなかったと思い出す。

 それならば、あの女にPKされても借金にならなかったのではないか? マオにPKされたから? まさか、私は、マオに迷惑などかけていない。

 そんな事を思っていると、不意に強制転移させられた。


<みくもさんをマオさんのストーカーと認定しました。200m以内に接近不可。加えて、音声認識を互いに不可とします>


 つまり、みくもの声はマオには聞こえなくなり、逆もまた然り。


<この措置は、マオさんがみくもさんのストーカー認定取り消し申請するまで解除される事は有りません>


「現実にもこの機能があれば良いのにな」

「そうだな。実装は不可能だと思うが」

「おい。何時まで抱き締めている?」

 マオに声をかけられ、大牙が腕を緩めようとした時、海面に女性が顔を出した。

『ねえ、貴方達! 一緒に泳がない?』



   ◇◆◇



「それで、どうしたんだ?」

 六人で夕食を取りながら話を聞いた私は、レオン達に尋ねた。

「マオが【猛獣化】で倒して、ストレス解消したよ」

 大牙が答える。

 それを聞いたからか、無表情でスプーンを口に運ぶマオが心なしか機嫌が良さそうに見えた。

「そうだ! 昨日気付いたのだが、皆は知っていたか?」

 レオンが話題を変える。

「何を?」

「このゲーム、『健康度』があるのだ」

「何だ、それは?」

「知らなかったな」

「健康度?」

 私はイルカを見て尋ねる。

『健康度は、不健康な事をすると減って行くよ。0になると病気になるんだ。例えば、長時間雨に打たれると風邪を引くよ』

「知っていたら、フードが邪魔だと外さなかったのだが」

「お前等は、知っていても外しそうだけどな」

「フン。ゲームだから、健康を損ねず幾らでも酒が飲めると思ったんだけどな」

 ジャガーがエールを飲みながら言う。

 見た目未成年のキャラメイクをした我々は、ゲーム内で未成年なのか・童顔の成人なのか、どちらなのだろう? 酒を売ってくれると言う事は、童顔の成人なのか?

『酩酊度もあるよ』

「マジかよ」

 イルカの言葉に驚く我々。

「何、このゲーム? 意外と窮屈なんですけど!」

 大牙が不満を口にする。

 満腹度と脱水度に加え、健康度に酩酊度か。酩酊度は酒を飲まない人には関係無いが。

 よりリアルにする為なのだろうか? そう言うリアルは求められていないと思うのだが。



 食後は其々部屋に入った。因みに、大牙達は一人部屋に戻っている。

「そう言えば、所持金がマイナスになって借金状態になった人は、飲食はどうなるんだ?」

 ふと、みくもの様になった場合の事が気になり、イルカに聞いてみる。

『水は、川の水があるよ。食事は、ドロップアイテムの食材を食べれば良いよ』

「生で?」

『料理スキルが無くても、【野営セット】で焼くだけなら出来るよ』

 焚き火でか?

 取り敢えず、知りたい事は知れたので寝る事にする。

 明日は市場で何を売ろうかな?

猫獣人:Lv17

 力:94(+0)

 生命力:124(+0)

 知力:324(+0)

 精神力:292(+0)

 素早さ:82(+0)

 器用さ:148(+0)

 幸運:68


先天スキル:【猛獣化】 【跳躍】 【暗視】 【上下知覚】 【聴覚察知】 【隠蔽】 【忍び足】 【水泳】Lv1→3


後天スキル:【採集士】Lv18 【良質な眠り】 【魔力操作効率・中】 【魔法士】Lv5 【調理士】Lv12→13


SP:0


職業:冒険者・商人

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