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彼女について

作者: 西川なつ


先輩はバカだ。

勉強はお世辞にも出来るほうじゃないし世の中を渡るのも下手で、だからそうやってあとで痛い目に遭うんだ。

しかも変に意地っ張りで弱みを見せるのが大嫌いとくる。

私は気にしてません傷ついてませんって顔して今日も笑う彼女、本当にバカだね。


「先輩」


絶対に俯かない、目を逸らさない、そんな人を僕は彼女以外見たことがない。


「いつまでそうしてるつもり?」


いつまで一人きりでいるつもりなんだ。


「先輩がそんなだったら僕がいる意味ないよ」


ねえ、先輩。

僕はあなたのなんですか?

落ち込んでる横顔を見たら心配だし、悲しんでる背中を見たら慰めてあげたくもなる。泣きそうな顔してたら側にだっていたい。それが彼氏ってもんでしょ。

僕がそう思ってるのに肝心の先輩がそんなんでどうするの。何もかも一人でやれますって背伸びするのもいいけど僕の立場がないでしょ。そんなのそこらの通行人と何が違うって言うんだ。

この期に及んでまだ笑うなら許さないから。

白々しい嘘でごまかすなら今後一切先輩とのかかわりを断ち切ってやる。

でも先輩は僕の本気を知っていて、さらにそこまでの根性がないから、たった一言で充分なんだよね。

ほらもう目が潤んで唇を引き結んだ。

腕を伸ばして突進してくる。

そうやって来られると先輩の頭が僕の顎にぶつかって痛いからやめてって言っても聞かないんだ。

それがほんとうに嬉しいと思ってるんだって、ねえ、早く気づいてよ。


「先輩バカでしょ、バカ」


制服に鼻水つけたら駅前の牛丼大盛り奢ってもらうからね。



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