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04. 開拓団

 はふっはふっ。


 暖かな息が顔にかかる。少し懐かしさを感じるケモノの匂いがするそれは、テントの周囲から複数聞こえてきた。


 はて、テントは今どうなっているのか。そもそも、どうなってたんだっけ。

 うっすらと意識が戻ろうとしたその時、テントの腹部に突然なにかが乗ってきた。


「んぐぅっ」


 口から声が漏れた。強制的に起こされ、慌てて目を開ける。

 薄暗く狭い小屋のような場所。端の白いベッドに、テントは横になっていたようだ。

 お腹の上には、黒く大きな犬が、前足を乗せ体重をかけている。笑っているように見えるそのもふもふと、ばっちり目が合う。


「あ、ちょっと! だめだよサンちゃん。……ってあれぇ、お姉さん起きてる! ちょっとおじさん達呼んでくるね!」


 声がした。おそらく6歳くらいの、活発そうな女の子。テントと目が合うと、にこりと笑って、すぐに走って外に出て行ってしまった。地球のどこにでもある、普通の光景に思えて仕方ない。

 一体これは、どういうことだろうか。

 隣にホタルがいないし、この場所に見覚えもない。不時着のあと、人間を見つけてすぐに倒れてしまった気がする。なんとか団を名乗る、あの人たちに、助けてもらったのか。


 それ以上深く考える間もなく、テントは部屋にいた3匹の犬にもみくちゃにされてしまった。


「わふっばふっばうっ」

「お、落ち着いて。ええと、ワンちゃんたち、ステイ、ステイ!」


 きちんと躾けられてはいるようで、大きさの割には力がかかっていないし、噛んだりもしない。柔らかく暖かな毛玉が、テントの周囲をばふんばふんと動き回って、まるで歓迎されているようだ。


「……よおしよし、かわいいねえ」


 よくわからないけど、撫でておこう。動物は大好きである。

 しばらく犬たちと戯れていると、人が走ってくる音が聞こえた。テントは緊張の面持ちで背筋を伸ばす。


「連れてきたよー」

「ありがとう。あとは私たちが話を聞くから、犬たちを連れてお爺さんのところまで行けるかな?」


 さっきいた男性だ。少女に視線を合わせるように少しかがんでいる。その後ろには、これまたさっき見た赤髪の子もいる。


「うん、わかった! サンタ、ケルベロス、太郎丸、行くよ!」

「ばふっ」


 なんだかすごい名前だし、普通にそれぞれの単語に馴染みがある。ここは地球なのではないかと、また現実逃避をしてしまいそうだ。


 入口から少女に呼ばれると、犬たちがすぐに駆けていった。

 少女の足元で一度止まり褒められ、嬉しそうに見つめる。そのまま楽しそうにぱたぱたと走り去っていく音が聞こえた。


 取り残されたのはテントたち3人、小屋には少し気まずい空気が流れる。


 この2人に、助けられたのだろうか。少なくとも、敵意があるならあのまま命を失っていたはずだ。まずは感謝を伝えねば。あと、すごく喉が渇いている。

 テントが言葉を選んでいると、先に口を開いたのは、困り果てた顔をしている長身の男性の方だった。


「ええっと、目を覚ましたようでなによりです。特に怪我などもないそうで……その、お話は、できそうですか?」

「はい、助けていただいて、ありがとうございました。でもあのその前に……お水をいただけたり、しませんか」

「あ、もちろんです。柴、お水を」

「はい」


 柴と呼ばれた女の子は、ポシェットからペットボトルに入った水を取り出す。そのままこちらへ近づき、固い表情のまま渡してきた。


「……どうぞ」

「あ、ありがとうございます」


 近くで赤い瞳に見つめられ、少なからず緊張してしまうが、悟られぬように一気に水を流し込んだ。


 テントが水を飲むのを見届け、改めて男性が話し始める。

 怖がらせないようにという気遣いをひしひしと感じる柔らかな口調だ。


「まずは、俺たちの自己紹介からしましょうか。俺は、開拓団の戦闘部、第二部隊の副隊ちょ……いえ隊長をやっています。カザミと申します」


 開拓団。戦闘部。まったく聞きなじみのない言葉に、なんと答えていいか、何から聞けばいいか分からなくて困ってしまう。

 というか、こんな身元も分からないテントに、なんと丁寧に接してくれるのだろう。感謝の意を込めて、軽く会釈してみた。


 男の涼し気な目元は、よく見ると瞳が少し赤みがかっている。この世界では、瞳と髪が赤い人が多いのだろうか。とてもお洒落のためにカラコンを入れるようには見えない。


 テントの黒目黒髪を見てもまったく驚かないということは、こちらもメジャーなのだろう。……そもそも顔立ちに違和感なく、日本語を喋ってる時点で、日本との繋がりはありそうだ。

 今はなにもかも、まったくもって謎ばかり。聞きたいことが山ほどある。テントは静かに続きを促した。


「……えと、戦闘部第二部隊の、シバツキです。……柴犬に、月です。柴って呼ばれてます」


 なんとなく壁を感じるが、この子は人見知りなのかもしれない。テントは軽く頷いた。


 順番的に次はテントだ。無限に聞きたいことが湧いているが、最初に伝えるべきはおそらくこれだろう。


天野(てんの)テントです。私は……地球から、船に乗って来ました。私と、もう1人、ピンクの脱出ポッドが……同い年の女子が、この星に落ちているはずです。なにかご存じではないでしょうか」


 沈黙が流れる。

 目の前で2人が絶句している。当然の反応だと思う。頭がおかしいと思われているだろう。


「あの! 本当に、なにも知らないんです。この星に不時着して、すぐにお二人に助けていただきました。開拓団、という名前も、聞いたことがありません……なんでもお話しします。助けてください。私はどうしたら良いのでしょうか」


 自分で言っていて、テントは泣きそうになる。

 ここにホタルがいてくれたら……やめよう、ホタルの顔を思い出すとここでわんわんと泣き出してしまいそうだ。

 ゆっくり深く呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けた。


 あまりにもテントが悲壮的に話すからか、カザミは同情のような眼差しから元の困ったような顔に戻っていた。


「……この星の人類は、もともとは地球に住んでて、宇宙で遭難して、不時着したところから始まっていると習いました。数万年前の話です。その、地球ですか。地球って、まだあったんですか」


 眉間に深く皺が寄っている。必死に理解しようとしてくれているのかもしれない。


 なんだか、テントは少し腑に落ちた。

 なぜテントとそう変わらない見た目の人間がいるのか。なぜ日本語がそのまま通じるのか。この星で生命が誕生して進化したのなら、ありえない話だ。

 テントたちの前にも、もっと巨大船とか、なんなら宇宙拠点ぐらいの規模がマルファに吹っ飛ばされて、たまたまここに落ちて、生き残ったのだとしたら。その中に、多くの日本人が乗っていたら。

 数万年というのはカザミの記憶違いだろうが、他はそうであるなら辻褄があう。長い時を経て言語の違いも出ていないのが疑問ではあるが、現に会話もできている。


「隊長、この方、天野(てんの)さんが、しり研の研究員には見えません。普通に会話もできますし……万が一記憶喪失とか、頭を打っているとか、そういう可能性もありますし、このまま護衛して大命泡(バブル)に連れていくのが最善かと思います」

「そうだね。俺たちで責任もって送り届けますので、どうか安心してください」


 柴が相変わらずの無表情でカザミと話し、そのままカザミがこちらに柔らかな笑顔を向ける。


「……えっとその、しり研、と大命泡(バブル)、はどういったものでしょうか」


 テントは控え目に聞いてみる。驚きの表情をする2人。その時、カザミの方からなにやら電子音が流れてきた。

 カザミは胸ポケットから小さな端末のようなものを取り出し、一瞥する。そして、ふたたびテントに向き合った。


「本当に……いや、当然知らないですよね、すみません驚いてしまって。しり研は、『真理学術研究所』という有名な……少し変わった人たちのいる研究所の通称です。大命泡(バブル)は――説明すると長くなりそうですね。柴、お願いできるか」

「ええと」

「俺は少し抜けて、本部に一連のことを連絡してきます。もともと落下物の調査で来ていたので。お互いたくさん聞きたいことがありそうですから、柴と2人でしばらく話してみてください。女性同士、年も近そうですし、大命泡(バブル)まではとても長いですから。じゃあ柴、頼んだよ」

「わかりました」


 柴は無表情だが、かなり困っているのはなんとなくテントにも伝わってきた。

 カザミは「しばらく休んでくださいね」とテントに声をかけ、出入口に向かった。

 途中で止まり、振り向き、早歩きでまた近づいてきた。


「すみません! さっきのお話、もう1つ落下物があるとのことでしたが……俺たち開拓団が把握しているのは天野(てんの)さんのものだけです。もしかしたら、ほかの国の領域にあるかもしれません……それでは今度こそ、失礼します」


 カザミは軽くお辞儀をして、今度こそ部屋から出て行った。律儀な人である。


 でもそっか……ホタルと会えるのはまだ先になりそう。

 テントが生き残れた。ならば、ホタルもどこかで生きているはず。

 頭を振って暗い考えを消し、自分に言い聞かせる。

 ひとまずはカザミさんたちについていき、この世界で生き延びる。そのあと、なんとかしてホタルを探そう。


 カザミが外に出て行った。

 残されたのは、柴とテントだけ。

 さて、なにから話していこうか。悩んでいると、柴が勢いよく顔をあげる。


「あの!」

「は、はい!」

「えっと、地球から来たっていうのは、正直まだ信じられないんですけど。わたしで力になれるなら、なんでも聞いてください」


 柴は相変わらずの無表情のまま、手で小さくガッツポーズをしてくれる。


「まずは大命泡(バブル)の説明、ですよね。……その前に、人類学の基礎知識からかな……ええ、こほん、亜球(あきゅう)は、もともと人間の住める環境ではなかったんです」

「あきゅう、ですか?」

「あ、すみません。この星の名前です。地球に連なるもうひとつの星って意味だったと思います……わたしはあんまり喋りが上手くないので、分からないことがあったら都度聞いてください」


 話の腰を折ってしまったのに、なんとも優しい。

 赤い瞳が、こちらをしっかりと捉えている。


「ありがとうございます。助かります」

「あとあの……見ての通り戦闘員で、敬語だと緊張してしまって……よかったら、もっとラフに話してもいいですか? テンノさんは、おいくつですか?」


 こちらを窺うような顔で若干見上げてくる。とても、可愛い。


「歳は18です。もちろん、柴さんが喋りやすいようにで大丈夫です! 私のことも、下の名前で、テントとお呼びください。えっと、柴さんは、何歳ですか?」

「ありがとうござ……ありがとう。わたしは19の歳。やっぱり、同じくらいだと思った。テント……ちゃん、も、わたしのこと柴って呼んで」

「はい……うん。柴……ちゃん?」


 なんともむずがゆい時間が流れる。柴が、少しだけにこりと笑った。

 瞳に吸い込まれそうになるほどの美人だ。ホタルとはまた傾向の違う、学校なら高嶺の花になるタイプ。

 柴が少し姿勢を崩したので、テントが隣に座ることを提案すると、嬉しそうに頷いた。2人で、ベッドに腰掛けながら、話を始める。


「この世界のこと、ざっくり説明するね。まず、この星には酸素があんまりなかった。代わりにム()っていう、今だにほとんど解明されてないんだけど、本当に謎の物質で満ちていたの」

「ム素」

「そう。これは普通の人間にはほとんど見えなくて、観測もできないし毒にもエネルギーにもならない。けど、この星の生物たちはみんなこのム素を燃料に生きていることが多いみたい……人間の(ことわり)とは違うから、基本的に原生生物はみんなちょっと透明に見える」


 なるほど。たしかにさっき見た時、草花とか透明できらきらしてた。

 酸素とか二酸化炭素とかではなく、ム素っていう物質で身体が構成されているから、ム素が見えない人類にはその姿も見えにくいってことだろうか。


「原生生物って、あの空飛ぶ魚みたいなやつも?」

「空飛ぶ……そう、それは空鯨(くうげい)族かな。空のかなり高い場所にしかいないから無害。すごく綺麗で人気」


 そうか、あの幻想的な光景は、この世界では当たり前なのか。もしかしたら幻覚が見えているのかと思った、良かった。

 テントは話の続きを促した。


「人類にとって奇跡だったのが、この星には身を守るための毒として、酸素を吐き出す四つ足の生物がいた。それがさっきのあの子たち、酸素犬(さんそいぬ)

酸素犬(さんそいぬ)


 さっき踏まれた、奇抜な名前の犬たちを思い出す。仕草などで普通の犬と認識したけど、たしかに犬種はなにかと聞かれると返答に困る、見たことない見た目だった。

 元から犬に似ていたのか、研究の末に犬と交配でも成功させたか、そもそも性質的に犬とは全く違う生物なのか。だとしたら、地球と同じ「犬」は存在するのか。気になることはいくらでも出てくるけど、また今度、暇になったら聞こう。


「うん。もともとは狂暴だった野生種を、何世代もかけて友好的にしたみたい。一緒にいるだけで酸素を供給しつづけてくれるから。だから世界中に犬牧場があって、大切に育てられている。人間の生息域を増やすには犬牧場を増やせって言われるくらい。今いるここも、最果ての犬牧場」

「牧場かあ……牛とか豚とかもいるの?」

「いるところもある。ただここらへんは大命泡(バブル)から離れすぎてて、地球産の生き物はあんまり適してない……そう、大命泡(バブル)の説明」


 柴が少しだけ黙り込む。話す内容を考えているのだろう。テントも静かに待つ。


「この星に大宇宙拠点が墜落した場所を中心に、巨大な泡みたいなものが覆っていて、泡の中ではム素がほとんどなくなった。遺物っていう、また特別なもので作られてるんだけど……それはまた追々教えます。だからまあ、安全地帯、みたいな。その中で人間の社会が築かれていったの」


 柴は胸から小さな端末を取り出し、その画面を見せてくれた。


 そこには、真ん中に巨大な都市があって、その周りをさらに大きな泡が覆っている様子が書いてあった。

 その泡の外には、町くらいの規模でまばらに居住地があり、牧場や農業が盛んな地域や工業地帯、森など、さまざまな地域が描かれている。


 さらに泡はもう一段階大きなものもあった。中央から見ると2つ目の泡、そこから先まで行くと、もう村くらいの規模になっている。大きなものは牧場くらいしかない。周りには、原生生物だろうか、見たことのない生き物の絵がたくさん描かれている。


「この真ん中の大きい方の泡が、大命泡(バブル)。こっちの小さい方は限界泡(リミット)。ここまでくるとム素が豊富になって、原生生物が多く、強くなる」

「なるほど……人間が住めないこともないんだ?」

「うん、今いるここも限界泡(リミット)の外だから……たぶん、このへん」


 柴が端末の左下の方を指さす。

 2番目の泡、限界泡(リミット)のさらに外。人間のいる場所で、最も中央から遠い場所。なるほど、たしかに最果ての地である。

 そして、ここから大命泡(バブル)まではとんでもない距離があるように見えた。


「ム素は人間にとって毒ではないって言ったけど、超長期的に浴び続けたり、体質によっては中毒症状が出てしまうこともあるの。ちょっとだけなら、目とか髪が赤くなったりするだけ。あとでまた説明するけど、わたしたち開拓団の使う血の力はここから来てるの」


 柴は見てて、と言い、テントの方を向いて右手を宙に浮かせる。

 すると、ポッという音とともに、手のひらからとても小さな火の玉が現れた。


「え、ま、魔法!?」

「ふふ……本当に知らないのね。こんな新鮮なリアクション、はじめて」


 柴が目を細め、ふわりとほほ笑んだ。

 すぐにふっと光は消え、何事もなかったように柴はふたたびベッドに腰かける。


血術(ちじゅつ)……血の力は、ム素に適合した人間だけが使えるの。テントも、たぶんすごい使い手になるよ」


 血術。

 はじめての世界に、たくさんの知識。驚くことは多かったけれど、いま目の当たりにしたまるで魔法の力が、テントの心を鷲掴みにした。

 なんだかゲームの中のものが現実に出てきたみたいだ。綺麗な景色に、知らない生き物。もっと世界のいろんなことを知りたい。血の力とやらが何かはわからないが、魔法みたいな力があるなら、テントだってぜひとも使いたい。


「その、ム素に適合するかどうかって、どうやって分かるの?」

泡中(あわなか)だったら検査で、泡外(あわそと)だったら生きてたら自然と分かる。だって、ダメな人は苦しくなっちゃうし、大丈夫な人は目と髪が赤く染まるから。テントみたいにね」


 ……え?


 テントは急いで髪の毛を掴んで目の前に持ってくる。黒だ。

 困惑していると、柴があわてて付け足す。


「あ、髪は、染まるまで時間かかるよ! だって、根本から染まって、それが伸びていくから。テントのは、目だよ、目」


 持っていた端末をカメラモードにして、見せてくれた。


 そこに映っていたのは、見慣れた黒髪に、真っ赤に燃える瞳。

 黒かったはずのテントの目は、とても鮮やかな赤に光っていた。


「目が……赤い」

「うん、わたしとか隊長よりずっと赤が強い。あ、もちろん色の強さだけでは決まらないけど、基本的には赤が濃いほど強いかな。ここまでのはなかなか見ないし、正直羨ましいな」


 少し興奮気味に、柴が続ける。


「だからね、テントがよっぽど悪者じゃない限り、大命泡(バブル)に行っても優しくしてもらえると思う。言い方はあれだけど、使える力があるから。なんなら、わたしたち開拓団に入って活躍するのもありだと思う。可能性の、1つとしてね。考えておいてね」


 なるほど。テントにはこの世界で戦っていけるだけの力があるらしい。とても良いことだ。


「そんな適合してるなんて、なんでだろ。不思議な感じ」

「そうだよ、逆にム素のない世界じゃ、苦しかったんじゃない? 呼吸とか」


 テントは衝撃を受ける。めちゃくちゃ思い当たる節がある。宇宙拠点を心肺機能不適格ではじかれ、何年も恨んだ自分の身体。病気じゃないのに、なぜか人より弱い。まさか、ム素とやらが必要だったなんて。テントは昔を思い出し、複雑な気持ちで天を仰いだ。

 隣では柴が軽やかにジャンプして、ベッドの前に立つ。


「このあとは、近くの村を経由して、大命泡(バブル)に向かいます。そしたらたぶん、何日かは中央で検査されると思う。地球から来たっていうのが本当なら、学者さんとか話したいことたくさんあるだろうし、亜球にないやばい病原菌とか持ってたら大変だからね。っていっても、監禁とかじゃなくてたぶん賓客扱いで、超豪華なホテルに泊まれてラッキーぐらいに思っておけばいいかな。あと、隊長とわたしも一応一緒に検査されるだろうから、移動含めてここから……1か月くらいずっと一緒。よろしくね」


 テントは少し時間をかけて情報を飲み込んでから、あわてて立ち上がり返事を返した。


「わかった……柴、本当にありがとう。これから、よろしくお願いします」


 2人は固い握手を交わし、今度は年相応な、他愛もない話に花を咲かせるのであった。

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