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第8話 これが異世界転生

 

 「──うん?」

 

 熟睡していた星鴉は、何故か突然起きて胸騒ぎを感じていた。こういう時に何かが来るのが異世界転生というものである。

 星鴉は転生してからの出来事的に、今までの人生経験よりラノベの知識を使ったほうが良いと考え始めていたため、着替えて身構えることにした。


 (杞憂であってほしいけど…)


 カーテンの隙間から外を覗く。すると、いつも視界の端にある筈の建物が無い。


 (ヤバい。え?何が起きてる?)


 急いで外に出てみると、周りの建物4棟ほどが無い。そう、無くなっている。よく地面を見ると水道系の管、小さめの瓦礫が散らばっている。

 そこまで認識したときだった。目の前から真っ赤な槍が飛んできた。言葉すら出ない。認識した瞬間にはもう、槍の先端が眉間を貫かんとしていた。諦めて目を閉じようとしたとき


 「危なかったな。」


 その言葉とともに、凄まじい風圧を感じた。


 「では一時避難だ。」


 いつの間にか脇に抱えられ、瞬時に跳躍した。と思ったら、いつの間にか地面に着地していた。しかも、あの部屋から遠めの避難所である。

 着いた瞬間に降ろされ、訳もわからず受け身をとる。振り返るとイロアスさんの姿が一瞬見えた。が、既に姿を消した。


 「な……なにが起き………た?」


 そう言いながら周りを見渡す。避難所の名前、場所は理解できたが、今の状況が整理できていない。まだ槍の残像が視界に残っている。


 「どうやら、助けられたようです。」

 

 一緒に抱えられて来た人がいたようだ。なんと、戈星さん。こういう状況で話せる人が居るのは安心する。


 「ほ、戈星さん……もしかして、これは」

 

 「ひとまず避難所に入りましょう。」


 戈星さんに従い、避難所に入る。中は敷物と保存食が多く置いてあり、隅に武器が置いてある。

 落ち着いたところで戈星さんが話しだした。


 「星鴉さん、襲撃が始まりました。もう、どうなるか分かりません。武器を持って備えておきましょう。」


 とりあえず扱えそうな武器をとり、部屋の端に腰かける。武器は片刃の直刀で、先端だけ両刃になっている。扱えそうなものとして選んだが、正直扱いこなせないだろう。銃系統もあったが、火薬がまだ良くないので命中率、射程ともに使えるものではない。一応武器の試験を見たりした経験があるので、少しは合ったものを選べるつもりだ。

 避難者が続々と入ってきた。次の避難者が入ってくるまでに時間が空くことは謎だが、その都度行きやすい所を選んでいるのだろう。そうしていると、現地の人も入ってきてこの場所が狭くなってきた。


 「後から来た人に状況を訊いてみましょうか。」


 近くにいた転生者らしき人に戈星さんが話しかける。

 

 「すみません、『田長』さん。外はどうなってますか?」


 「あぁ、戈星さんですか。外は王の槍の方々が、足止めと救出をしていて、建物は殆ど無くなっていました。ここにいる人達はイロアスさんに助けられたか、自ら避難した人達のようです。」

 

 『田長 拓弥《タオサ タクミ》』さん、この人も兵器の製造に関わった人で、堅実な思考を持っている。が突飛なアイデアも受け入れることができ、頭でっかちではない。知識の幅も広く、万能的な人である。


 「外の状況は分かりませんが、想像より酷くないように思えます。イロアスさん達がどうにかしてくれるかも。」


 (その言葉、フラグっぽい……大丈夫かな)


 ネガティブな星鴉は、この状況のポジティブな言葉が全てフラグに聞こえる。

 耳を澄ませても、外からの音は聞こえてこない。決して避難所がうるさい訳ではない。入り口はカモフラージュされているが、見つかりたくないため小さい声で話している。


 「建物どこに消えたんだろう?この世界だと、そういうのもできるのか?まさか魔法?」


 異世界転生したものの、元の世界に近かったために特に常識を変えずにいたが、ここにきて変えざるを得ないようだ。

 周りの人々が何を話しているか分からないが、不安な気持ちは一緒だろう。ここに来て日が浅いけれど、好戦的な人達ではないことは分かっている。


 「戈星さん、ここに来てからどのくらいですかね?」


 「そうですね……ざっと2時間というとこでしょうか。ここの時計は部屋の端っこにあるので、ハッキリとは見えないですね。」


 (早めに終わって欲しいなぁ)と思いながらお手洗いに行こうとしたとき、入り口からガチャンと音が鳴った。避難が遅れた人か、終わりを告げる兵の方かな。

 扉が開く音がすると、カチャカチャと動く音がする。兵の方だろう。確か金属の装備を使っていたから、こんな音がしても不思議ではない。


 「〜〜~~」 「〜〜?」 「〜〜〜」


 扉の近くにいた人が、来た人と話している。広がる雰囲気的に終わったようだ。


 「戈星さん、終わったんですかね?」


 「ええ、そのように話していました。一度ここから出て、集合するらしいです。」


 徐々に人が外に出る。最後らへんに出ることになりそうなので、お手洗いに行く。手洗い場はどこも元の世界の形状、性能をしているのでありがたい。トイレットペーパーもすこし粗いが、無いより数億倍マシだろう。

 戻ると、ちょうど順番になりかけていた。外に出ると壊滅的な被害が広がっていた。


 (もともと殲滅されるかどうか、という戦いがあったにしては良い結果だ!)


 所々に建物の跡があり、消えたことが分かる。消えていない建物も瓦礫に埋もれたりして、まともに残っている建物は少ない。

 皆肩を落としながらも、集合場所に向かって歩く。その前にチラッと入ってきた兵を見ると、口角が不気味に上がっていた気がした。


 

 

 

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