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第4話 住むために

 『ポラリス』─それは、突如として現れた『転生者』たちによって大繁栄した街。産業革命、商業革命や農業革命など、この世界で恐ろしい程の短期間で繁栄をしたことで、この世界の特異点の街の言われている。


 「すごい!行ったことないですけど、ヨーロッパの街並みみたいです。」


 戈星さんから受けたワクワクする説明と、街並みのキレイさが合わさり、完全にこの街の虜になっている。


 「すこしこの街の構造を説明します。まず、病院や役所などの施設は集合していて、迷ったり何か分からないことなどがあるときは、とりあえずその施設らがあるところに行ったら何とかなります。

 そしてその場所は野原に近いこちら側にあり、そこを中心にここと反対側に商店が放射状に広がっています。」


 どうやら昔の都の街のようだ。知っている都は碁盤の目のような形をしていたが、この街は全体が楕円形状で、曲線に区切られているらしい。

 これからどの施設に行くのかなと思っていると、戈星さんは腕時計を見て

 

 「本当は戸籍の登録にでも行こうかなと思っていたのですが、まだ役所は空いてないので朝食を食べましょう。」


 「戸籍!?いや、え、あるんですか?」


 「ええ、ありますよ。そんなに驚きますかね?」


 「いや、あの、まさか異世界で戸籍がいるなんて想像していなくて…」


 (やはり、想像していた異世界と違うなぁ)


 まだ、想像と違うところがあるだろうと考えながら、部屋に戻った。

 部屋に戻り、柾木さんから頂いた朝食に水色の野菜などの彩りを加えた朝食を作ってもらい、それを食べた。


 「そういえば、この世界の時計ってどう見るんですか?言葉とかも気になります」


 そう言うと、戈星さんが時計に近寄り指を差しながら


 「そうですね、まず時計なんですけど、この世界の時計の特徴は反時計回りなことと、ここと、ここまで色が塗られているんですけど、この色が塗られているところが夜です。」


 「え、固定ですか?」


 「そうです、季節で時間が変わるとかが無いんです。夜はずっと10時間です。」


 ゲームのチュートリアルのように淡々と進んでいく。


 「季節はそうですね、春みたいな感じでしょうか。すごく過ごしやすいですよ。しかも、なぜだか分かりませんが、植物たちには一定の周期があるので、景色は移ろいで綺麗ですよ。」


 「花とか、見るの好きなのでそれはうれしいです。」


 「もしご興味があるなら、近くに花屋があるので行ってみると良いと思います。」



 そんな会話をしていると、どうやら役所が開く時間になったようだ。


 「そろそろですね、行きましょうか。」


 「ですね、行きましょう。」


 街に出ると、恐らく仕事に行く人たちで道いっぱいとは言わないが、そこそこの人数がいる。このくらいでは人酔いしなさそうだが、もう少し人が増えるともう外には出られないだろう。


 「かなりの人数ですね。」


 「そうですね、元々住んでいた方たちも出ているので気になるかと思いますが、あまりジロジロ見ずについてきてください。」


 初日でのことを戒め、好奇心に負けないようにとりあえず、戈星さんの背中を見ながらついていくことを決心した。

 背中を追いかけること8分ぐらい、どうやら役所に着いたようだ。役所は4階建てで、他の建物はだいたい最高2階なので、かなりでかく感じる。


 「ここが役所です。さっそく入りましょう。」


 役所に入るとまず受付に行き、戈星さんが用件を話すと、いろいろな部署の受付があるなか一番奥の部屋へと案内された。ちなみに、受付の人は耳がとんがっていてエルフの様で、

 (まさか、エルフを見れるとは…異世界だわぁ)

と勝手に感動していた。

 その奥の部屋に行くと


 「はじめまして、転生者の戸籍を管理しています『荒島 大輝《アラシマ ダイキ》』です。よろしくお願いします。」


 と転生者の方が出迎えてくれた。


 「はじめまして、よろしくお願いします。」


 と返すと席に着くよう促され、さっそく本題について始まった。


 「最初に誓約書にサインして頂きます。こちらです。」


 そうして出された内容は、要約すると『転生者の団体に属し、そのルールを守ること。そして、この世界各国の法律を守り、生活すること。』と書いてある。


 「転生者の団体があるんですか?なんというか、すこし当たり前のことが書いてあるような…」


 「はい。この国で活動していくときに作られました。この団体はこの地域を栄えさせたので、この国から信頼を得ています。なので、すこし法律に抵触してしまってもこの国に利があることを示せれば、だいたいの事は許して頂けます。ですが、意味もなく破ったりすると、団体も保護できません。なので、当たり前と思うかもしれませんが、この国から必要とされていることなので。」


 「なるほど…」


 なるほどとは言ったものの、すこしなら法律に抵触しいいとは、この国は寛容すぎる気がする。繁栄をさせたとは言え、本当の意味で突然現れた得体のしれない者たちなのに。

 と、考えるのは一旦置いて、こちらにマイナスなことは無いようなので、サインをする。


 「では次に、こちらの書類にいろいろ書いて頂きます。」


 内容は、転生前についての最終学歴やら、職業やら、持病の事についてなど、いろいろな項目がある。全部書くことを考えるだけで疲れそうだ…

 

 ∶


 書き終わったが、この世界に来てからの積み重なった疲れがかなり感じられる時間となった。だが、これでこれから住む資格を得られたのなら、許容できる範囲内だろう。


 「お疲れ様でした。今回の書類を国に登録すると、資格を示すカードをお渡ししなければならないので、3日後にまたお越しください。」


 「わかりました。ありがとうございました。」


 そうしてまた案内され、役所の外に出た。


 「お疲れ様でした。」


 そう戈星さんに言われて、すこし後悔した。先に言ったほうがよかったな、と。


 「いえいえ、戈星さんこそお疲れ様でした。」


 まだ昼前だが、疲れの蓄積と環境の変化のストレスで部屋に戻りたいという欲が肥大化し、とりあえず帰ることを提案した。

 環境の変化はストレスだけれど、見たこと無い街並みを見るのは楽しいため、昼の後はまた外に出ようか。そんなことを考えながら、戈星さんの背中を追いかけるのだった。

 


 


 

 


 

 

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