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第2話 新しい生活

 「よし、とりあえずここで体が慣れるまで寝ておいたほうが良い。慣れたらこの世界のことと、生活やらなんやら教える。」


 「わかりました、ありがとうございます。」


 この街に入って10分ほどにある集合住宅にいるようで、部屋は綺麗だが広々という感じではない。照明があり電気が通っているようにみえる。いろいろ気になるところが多いが、疲れが溜まったようでとても眠い。とりあえず寝ることにする。


 「いやぁ、マジかぁ…」


 あの現代生活との別れと、異世界転生したことに思わず声が漏れる。


 「とりま、頑張りますかぁ」


 そう独り言をいって眠りに落ちた。


  ∶

  ∶      

  ∶

 

 「うぅうん、あ、あぁ」


 眠りから覚め天井をみると同時に、夢ではなかったことと、体が軽く地面に縛られる様な気だるさを同時に感じとり、声が漏れた。

 とりあえず上半身だけでも起こそうと思い、枕などを使って角度をつけた。ずっと寝ている状態よりはマシになったと思う。などとしていると、扉のノックする音が聞こえた。


 「おーい。起きてるかぁー?」


 (柾木さんか…朝からなんだろう?)と思いながら周囲に配慮した声で


 「はい、起きています。何用ですか?」


 「ああ、朝食を食わせるのと、この世界の軽い説明をしようと思ってな。入っていいか?」


 「なるほど、どうぞ」


 ガチャ、と扉を開ける音と同時に食欲をそそるいい匂いがしてきた。


 「これ、朝食だから食っとけ」


 そう言って出されたのは、よく見るパンと明らかに食べては行けないような色をしたベーコンの様なもので、そのベーコンの色は緑である。


 「あ、ありがとうございます。えっと、このベーコンのような肉の色は大丈夫なんですか?」


 「結構すごい色をしているが、ベーコンと同じようなもんだ。最初は抵抗感あるけどな。」


 そう言いながら、ベッドの横にある小さめの椅子に座る。


 「そうなんですね。では、いただきます。」


 食べてみると、ちょっと元の世界のベーコンと違ってクリーミーで美味しい。


 「食っている途中で悪いが、ココの説明は結構長くなると思うから、今から説明してもいいか?」


 「あ、はい。大丈夫です。」


 「よし、では説明を始める。まずこの街は我々転生者の拠点で、ほとんどの転生者がここに住んでいる。で、この街の建設を手伝ってくれたのがこの国『ハリル国』の住民で、『ハリル語』を話す。その人達と争っているのが『タリス共和国』の人々と『ヤタミ連邦』の人々だ。この3つの国がこの『ハタヤ大陸』を支配していて、今は三つ巴状態だ。ちなみに、この国以外の地域では俺達転生者は、あんまりよく思われていない。ここまでで何か質問はあるか?」


 「は、はい。かなり混乱してますが大丈夫です…恐らく。」


 説明に耳を傾けるのにしい一杯で、朝食を食べる速度がとても遅い。食べながら話を聴くのは相手に悪いので、頑張って食べることにする。が、


 「クフッッ、ゴホッゴホッ、ゴホッ」


 「急いで食べすぎだ、もっとゆっくり食え。まぁ、水分を用意してない俺も悪いか。」


 と言って椅子から降りて玄関の方へ行き、コップに水を注ぐような音がしてから、こちらへ戻ってきた。その手には水色の液体が入った透明なコップが握られていた。


 「この飲み物は牛乳みたいなもんだ、はいよ。」


 「すみません、ありがとうございます。」


 飲んでみると、少し薄い牛乳という感じですぐに慣れそうだ。


 「そろそろ次のことを説明しようか、今度は『転生者』の事だ。現在100人ちょっとがいる。この世界換算で、1カ月に1人のペースで転生してきている。たしか1番の古参は10年前だったかな。皆んなは転生前の職種とか知識を活かしてそれぞれの分野を発展させてる。ちなみに昔に冒険をした転生者の人は何人か行方不明になったらしい。けど、それ以外で人は失われてない。」


 あの牛乳の様な飲み物のおかげで、少し早く食べ終わることができ話を聴けたが、あまり頭に残っていない…(もっと日にちをかけて教えるべきでは!?)


 「あーそうだ、『元の世界』で1カ月で1人行方不明者が出てるけどニュースとかで聞いたことある?皆んなは無いと言っているし、ちょっとおかしいと思うんだよな。」


 「聞いたこと無いです。確かにそうですよね、1カ月で1人行方不明はさすがに耳に入ると思います。」


 「他にもいろいろあるが、議論は後にしておこう。あ、そうだ。ちなみにこの世界、魔法とか無いくせに魔王みたいな奴がいるんだよな。そいつを倒すための国際部隊があったらしいんだが、いま争ってる最中で休止中。」


 「魔法使えないんですか…マジですか…の割に魔王は居るんですか…あ、じゃあ英雄伝説とか無いんですか?」


 「いや、英雄やら勇者は今も昔も居ない。特別な剣とかもない。異世界に来たというよりかは、違う国に来たという感覚のほうが受け入れやすいと思うぞ。」


 「ええと、一応魔王の位置を教えて貰ってもいいですか?」


 「ああ、この島から少し離れたところに大きめの島があってそこに魔王がいて、『バティール国』と言われている。ちなみにまだ大陸があるんだが…」


 「もう頭が破裂しそうです…」


 「まあ、はじめはそんなもんだろう。じっくり慣れていけばいいさ。」


 そんな会話をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。


 「柾木さんいますか?後少しで会議なのでそろそろ行きましょう。」


 「ああ悪い旱箕。会議があるからまだ話してないことは後で話そう。」


 そう言うと柾木さんは足早に去って行った。


 「まずい…話は聴いていたけどあんま覚えられてない…これからいろいろ覚えなきゃかぁ…」


 そんな独り言を天井を見ながら呟いた。


 

 


 


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