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指輪物語

作者: 蟹地獄

ある晴れた日の午後、お婆さんは家の中で大慌てだった。


若い頃にお爺さんから貰った形見の指輪を失くしてしまったのだ。


彼女は部屋中を探し回り、ソファの下、キッチンの引き出し、さらには洗濯機の中まで、まるで宝探しのように探し続けた。


「どこに行ったのかしら…」と呟きながら、彼女は自分の思い出を辿る。


お爺さんとの初デート、プロポーズの瞬間、そして結婚式の日。

指輪はそのすべてを象徴していた。


やがて、彼女はクローゼットの奥で小さな箱を見つけた。


ドキドキしながら開けると、そこには指輪が!


そしてなんと指輪を手に取った瞬間、彼女は突然若返り、まるで青春の頃に戻ったかのような感覚に包まれた。


「お爺さん、あなたがひとりになったあたしを見て、あたしに奇跡をくれたのね!」と涙を流しながら感謝した。


しかし、喜びも束の間、彼女はすぐに元の姿に戻ってしまった。


驚きと共に、彼女は思わず口を尖らせた。


「ちっ、もう終わりかい、ケチな奇跡だね」と呟き、地団駄(じだんだ)踏んで指輪を思い切り床に叩きつけた。


その瞬間、彼女はお爺さんの笑い声を耳にしたような気がした。 


「なんだ、そういうことかい。本当にあんたは地獄に行っても悪戯好きだね。」


彼女はお爺さんと生前、フェンシングのように仲良く悪態を突き合っていたことを思いだし、思わず微笑みがこぼれ、指輪を取り戻すことを決意した。


「次はもっと素敵な奇跡をお願いね!」と心の中でつぶやきながら、投げ捨ててどこかに転がっていった指輪を再び探し始めた。






あとがき


彼女は指輪を見つけては失くしてしまうこの生活を、もうかれこれ五年繰り返しているとかなんとか…。


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