番外編② ローゼンとリリアンヌ
アリストクラット学園は、貴族が通う学校のため、上履き一つをとっても高い。
リリアンヌの切られた上履きを買い直すのに20,000ルドかかる。※およそ1ルド=1円
(たかが上履き一つに20,000ルドって……。お貴族様は、上履き一つでも素材が違うってことなの!?)
心のなかで盛大に溜め息を吐いたからと言って、何かが解決するわけではない。
教科書の時は冊数が多くなかったので、自分の貯金と持っていた数少ない装飾品を売ってどうにかした。
けれど、今のリリアンヌには売るものも貯金ももうない。
(お父さんとお母さんには言えない。やっぱりバイトをするしか……)
そう決意したリリアンヌは、もうすぐ婚約者となるローゼンへと相談した。
「ローゼンさ……、んんんっ!!
……ゼン、学園ってバイトは禁止でしたっけ?」
「そんな話は聞いたことないな。リリはバイトをしたいのか?」
「まぁね。夏期休暇の間だけでもと思って」
「何か欲しいものでも?」
(思ったより、突っ込んで聞かれたぁ!!今まではこんなことなかったのに。
これが、恋人の距離ってやつなの!?はぁぁ、ときめくーーー!!
って、喜んでる場合じゃなくて何て答える?正直には言えないけど、嘘もつきたくないし)
思わず黙ってしまったリリアンヌに、ローゼンは勘づいた。
「上履きか?」
「んふぇぇ!!」
咄嗟に出た自身の声にリリアンヌは穴があったら入りたくなった。そんなリリアンヌの頭をローゼンがなでる。
「俺が用意するから心配するな」
ローゼンの気遣いにリリアンヌは目を見開いた。そしてーーー
「絶対にダメ!!」
と強めの拒否をした。
まさかの拒否にローゼンがリリアンヌの意図を探ろうとすれば、探るまでもなくリリアンヌ自らが訳を話し出す。
「いいですか、ローゼン様?善意だとは分かってはいます。
分かってはいますが、我が家が持参金もろくに用意できない貧乏貴族だとしても、無闇矢鱈に施すことは互いのためになりません。
私はローゼン様から金銭的に支えてもらったが最後、言いたいことが言えなくなります。対等じゃなくなるんです。
もし、仮に婚約後で、婚約者がバイトをするとカフス家の体面が悪いようでしたら仕方がありませんけど、今は婚約もしてなければ、婚約予定だと知る者もわずかです。
えーっと。何が言いたいのかと言うと、一方的に支えて貰うなんて嫌なんです!!自分に必要なお金くらい、自分で稼いでみせます。
まぁ、持参金は無理ですけど……」
最後をぼそりと呟いたリリアンヌは、申し訳なさそうに下を向いた。
そして、その様子にローゼンは理解した。彼にだって言い分はある。それでもローゼンはリリアンヌの言い分を受け入れた。
「リリの気持ちを考えないで悪かった。ただ、俺も心配なんだ。分かってくれるか?」
「……うん。ごめん」
「せめて、バイトは俺の知り合いの店でやってくれないか?そしたら、俺も安心できる」
「紹介してくれるの!?」
予想もしてなかった提案にリリアンヌは瞳を輝かせた。
そして、そこが珈琲店だったと知ったとき、リリアンヌはローゼンに抱き付いたのであった。
ー第四章 不穏な空気とリリアンヌの恋ENDー
リリアンヌも前世の感覚を大切にしています。そこは、イザベルと一緒です。
次回からはイザベルの話に戻ります。リリアンヌはしばらくお休みです!!
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